著者
鈴木 慎吾 上原 孝紀 生坂 政臣
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.12, pp.2568-2573, 2017-12-10 (Released:2018-12-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

外来診療における診断を目的とした医療面接は,問診票をみた段階で疾患を想起することから始まる.患者の話を頭のなかで映像化しながら,まずはopen questionで概要と問題点,患者ニーズを把握し,続いてclosed questionで想起した疾患仮説の妥当性を検証する.器質的疾患の見逃しを防ぐには精神疾患の除外が重要であり,代表的な精神疾患の特徴を理解し,積極的に診断する訓練が欠かせない.
著者
馬杉 綾子 生坂 政臣 池原 泰彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
2001-07-15

症例:91歳,男性.床屋で髭を剃ってもらっていたところ,突然意識を失ったため救急車で来院.同伴者の話から意識消失時間は数分と推定され,また四肢のけいれんはみられていない.既往歴,家族歴に特記事項なし.来院時,意識は清明,血圧131/80mmHg,脈拍61回/分・整,体温35.1℃.身体診察では,頸動脈にbruitは聴取せず,胸腹部,四肢,神経学的所見に異常所見を認めない.来院時の心電図を示す(図1).
著者
生坂 政臣
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.77-79, 2011 (Released:2015-05-30)
参考文献数
3
被引用文献数
2

診断推論のプロセスは, 疾患仮説を生成する前半と, 生成された仮説を検証する後半に分けられる. さらに前半の疾患仮説生成のプロセスは, 症例の難易度や医療者の有する経験と知識体系により, 1) 確信のある疾患を即座に思いつく, 2) 自信はないが何とか疾患を想起できる, 3) 何も浮かばない (あるいは絞り込めないほど膨大な鑑別数となる) の3パターンに分けられる. 1), 2) の場合はヒューリスティックバイアスに注意しつつ, そこから疾患仮説の検証作業に入る. 3) の場合は, ①キーワードやキーフレーズを選ぶ, ②Semantic Qualifierに置き換える, ③解剖学的またはVINDICATE+Pから検討する, などにより疾患仮説を生成する. ある疾患と診断することは, 他の疾患の確率を相対的に低下させることになるので, 危険な疾患だけでなく良性疾患を含めて適切に診断する姿勢が大切である.
著者
生坂 政臣 大平 善之 野田 和敬 鋪野 紀好 塚本 知子 鈴木 慎吾 上原 孝紀 池上 亜希子
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

医学生のProblem-based learning (以下PBL) テュートリアルにおいて、患者再現VTRを用いることにより、プライマリ・ケアの実臨床に即した幅広い領域での診断推論が行われるか否かを、従来の紙媒体を用いたPBLテュートリアルとの比較において検討した。その結果、患者再現VTRを利用しても鑑別疾患数は増加しなかったが、心理・社会面を含めた多方面からアプローチする診療が意識づけられ、さらにテューターへの負担も少ないなど、患者再現VTR利用のメリットを明らかにすることができた。作成コストは小さくないが、このような患者再現VTRは今後の卒前の医学教育に大きく資するものと期待される。