- 著者
-
生坂 政臣
- 出版者
- 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
- 雑誌
- 日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.1, pp.77-79, 2011 (Released:2015-05-30)
- 参考文献数
- 3
- 被引用文献数
-
2
診断推論のプロセスは, 疾患仮説を生成する前半と, 生成された仮説を検証する後半に分けられる. さらに前半の疾患仮説生成のプロセスは, 症例の難易度や医療者の有する経験と知識体系により, 1) 確信のある疾患を即座に思いつく, 2) 自信はないが何とか疾患を想起できる, 3) 何も浮かばない (あるいは絞り込めないほど膨大な鑑別数となる) の3パターンに分けられる. 1), 2) の場合はヒューリスティックバイアスに注意しつつ, そこから疾患仮説の検証作業に入る. 3) の場合は, ①キーワードやキーフレーズを選ぶ, ②Semantic Qualifierに置き換える, ③解剖学的またはVINDICATE+Pから検討する, などにより疾患仮説を生成する. ある疾患と診断することは, 他の疾患の確率を相対的に低下させることになるので, 危険な疾患だけでなく良性疾患を含めて適切に診断する姿勢が大切である.