著者
内藤 悠基 矢矧 宗一郎 須賀 良介 橋本 修 松沢 晋一郎 塚田 浩司 田中 宏哉 服部 佳晋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.423, pp.69-73, 2014-01-23

近年,自動車のHV,EV化に伴い,自動車の電子機器から発生するノイズが自車のAMラジオの受信妨害になることが懸念されている.電子機器からのAMラジオ帯の漏洩磁界の抑制には,電子機器の筐体を模擬した3次元構造の磁界シールド特性の評価方法が不可欠である.本研究では,金属筐体に開口を設けた場合のAMラジオ周波数帯における漏洩磁界の解析モデルを提案する.まず,筐体を構成するアルミ板とコイルのモデル化を検討した.次に,これらのモデルを電磁界解析シミュレーションに取り入れ,磁界シールド特性を評価した.その結果,シールド効果の周波数依存性は,測定結果と定性的に一致することを確認し,本モデルによりシールド特性を評価可能なことを明らかにした.
著者
田所 幸浩 山里 敬也 田中 宏哉 荒井 伸太郎 中島 康雄 平岡 真太郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J102-B, no.6, pp.445-458, 2019-06-01

確率共鳴(Stochastic resonance: SR)とは,系の雑音強度の増大に対して系の応答が向上する非線形現象のことである.従来,雑音は工学的には邪魔なものとしてフィルタ処理等を駆使して積極的に取り除かれてきた.しかし,確率共鳴では異なるアプローチをとる.すなわち,雑音を積極的に利用することで,系の応答を改善する.例えば,生態系は雑音を巧く信号処理に活かすことで,雑音に埋もれた微弱な信号であっても感知できるしくみを有している.このしくみを情報通信に応用することができれば,従来の系では感知できないような微弱な信号を用いた情報通信システムの構築が期待される.そこで本サーベイ論文では,まず確率共鳴現象についての初期の検討から現在に至る研究動向を俯瞰し,確率共鳴現象を支える基礎理論についての概説を試みる.次に,確率共鳴現象の情報通信への応用を促すため,1bit A/D変換器による多レベル信号の復調,仮説検定においても一定の条件下で信号検出確率を改善できるなど,具体的な応用例について概説し,読者の現象応用の手助けとしたい.