著者
福嶋 真志 來村 徳信 溝口 理一郎 山本 瀬奈 間城 絵里奈 淺野 耕太 田墨 惠子 青木 美和 中村 成美 荒尾 晴惠
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.SWO-058, pp.05, 2022-11-22 (Released:2022-12-03)

本研究の目的は,がん治療の副作用による生活上の問題点を感じているがんサバイバーの生活改善を支援するために,問題を解決する生活の知恵を知識モデルとして記述し,患者同士が生活の知恵を共有・活用できるシステムを開発することである.文献や患者インタビューの分析結果に基づいて,行為分解木というオントロジカルな枠組みを援用して,投薬から症状の発現,症状から日常生活における問題点と,それに対する対処方法を,原因—結果の因果連鎖として構造化し,対処方法を分類して,知識モデルとして記述した.記述した知識モデルに基づいて,患者がWebブラウザ上で生活上の問題点から対処方法を閲覧・共有できる知識共有システムのプロトタイプを開発した.本稿では設計思想,プロトタイプの機能と動作などについて報告する.
著者
森尾 佳代子 津金 麻実子 岡本 禎晃 糀 桂子 田墨 惠子 上島 悦子
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.381-387, 2013-06-10 (Released:2014-06-10)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

Dacarbazine (DTIC) produces adverse reactions including local venous pain during the intravenous injection. DTIC is reported to be photolyzed to produce certain kinds of pain producing substances. 5-diazoimidazole-4-carboxamide (Diazo-IC) is considered to be a causative photolyte of venous pain. A newly designed cover shield has been used at Osaka University Hospital when DTIC is administered for the last 4 years. This shield comprises black cotton and covers both the infusion bag and route of infusion. We evaluated the effectiveness of this new shield against photodegradation of DTIC by determining the concentration of Diazo-IC. DTIC was dissolved with an injection solvent and mixed with 5% dextrose in water. Prepared samples were divided into 3 groups (without shield, infusion bag covered with shield, and infusion bag and infusion route covered with shield) and exposed under natural light conditions indoors. Prepared solutions ran down through the route and those samples were taken before and after passing the route pipe. Diazo-IC in the samples was measured by HPLC. Production of Diazo-IC in the non-covered bag was significantly increased in comparison with that in covered infusion bags. Diazo-IC production in samples after passing through the route was significantly increased compared with that in samples taken before passing through the route of the non-covered shield and covered infusion bag only. For the covered infusion bag and infusion route, the samples taken before and after passing through the route did not show significant differences. These data suggest that the new shield, which almost perfectly covers both the infusion bag and route of infusion, is effective in preventing DTIC photodegradation.
著者
荒尾 晴惠 小林 珠実 田墨 惠子
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

【研究目的】本研究は、化学療法を受ける乳がん患者の認知機能障害について明らかにし、患者自身が必要なセルフケアを実行できるよう支援する有効な看護介入を考案することにある。最終年度の平成22年度は、化学療法を受ける乳がん患者の認知機能障害の様相を明らかにすることを目的として2つの研究に取り組んだ。【研究方法】研究(1)外来通院中の化学療法を受ける乳がん患者を対象に、認知機能障害の様相について質的研究を行った。半構成的面接法を行い共通したコードを集めてカテゴリー化した。研究(2)在宅療養中の乳がん患者を対象に研究者らが作成した認知機能障害の項目について自記式質問紙による調査を行った。研究の実施にあたっては、調査施設の研究倫理委員会で審査を受け承認を得た後に実施した。【結果と考察】研究(1)対象者は10名で、全員が女性、平均年令は53.5歳、2名が術前化学療法。〈自覚する認知機能の変化〉として《記憶力の低下》《思考力の低下》《注意力の低下》があった。さらに、《家族からの認知機能の評価》があり、自分では気づかないが同居者から指摘を受けていた。影響を与える状況として、末梢神経障害や倦怠感などの〈身体機能の変化〉と同時に〈心の在り様の変化〉があった。これらは《注意力の低下》に影響し〈いつもの暮らしの継続の支障〉として《自動車運転への支障》《対人関係への支障》を来していた。また《記憶力の儀下》は、《家事遂行の支障》を引き起こしていた。研究(2)対象者は30名(回収率62.5%)全員が女性平均年齢は55.3歳。認知機能障害の項目として対象者の自覚があったのは短期記憶、運動機能、情報処理速度だった。以上の研究成果から、化学療法を受ける乳がん患者の認知機能障害の様相の特徴が明らになったが、加齢による認知機能障害との識別など課題も明確になっており、対象者の人数を増やし程度や時期による変化についても検証していくことを今後の課題とした。