- 著者
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渡部 達
福家 辰樹
田島 巌
野村 伊知郎
- 出版者
- 一般社団法人 日本アレルギー学会
- 雑誌
- アレルギー (ISSN:00214884)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.11, pp.1541-1547, 2013-11-30 (Released:2017-02-10)
今回,我々は蛋白漏出性胃腸症を伴う消化管アレルギーを呈した乳児例を経験したので報告する.症例は5カ月の女児である.2320gの低出生体重児で,完全母乳栄養で育ち,成長発達に異常は認めなかった.生後55カ月頃に暇吐,下痢を主訴とした胃腸炎の診断で入院した.入院時に全身浮腫,胸腹水,血便を含む消化器症状を認め,低アルブミン血症,低ガンマグロブリン血症の状態でCRPも高値であった.消化管アレルギーが原因と考え,診断的治療として新生児乳幼児用成分栄養剤(エレンタール[○!R]P)の摂取を開始した.その後症状は改善したが3週間後に症状が再燃した為,国立成育医療研究センターに入院となった.消化管内視鏡検査では大腸に多発する輪状発赤斑を認め,生検組織検査では盲腸から直腸にかけて中等度の慢性炎症性病変を認めた.臨床経過とあわせてエレンタール[○!R]Pによる消化管アレルギーと診断された.アミノ酸調整乳(エレメンタルフォーミュラ[○!R]に変更して症状は改善し,成長・発達を含めた経過は順調である.近年注目されている本疾患について若干の考察を加えた.