著者
久保山 昇 藤井 彰 田村 豊幸
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.579-596, 1981 (Released:2007-03-09)
参考文献数
35
被引用文献数
16 16

熊笹葉エキス(bamboo Leaf extracts,BLE)および熊笹葉リグニン(bamboo leaf lignin,BLL)の抗腫瘍作用を,in vivo で benzopyrene(BP)および4-nitroquinoline-1-oxide(4NQO)誘発腫瘍マウス,ラットを用いて検討した.またその作用機序を in vitro で,Rec-assay 法および Ames test を用いて検索した.in vivo 抗腫瘍作用は,ddY 系雄性マウス1群20~30匹,16群を使用し,実験期間は120日間とした。対照群は水,実験群には1%,10% BLE および0.1% BLL を自由飲水させた.実験開始と同時に週1回の割で,BP を5回,4NQO を3回背部皮下に投与し誘発腫瘍を作成した。ラットを用いた実験では, Wistar 系雌性ラット1群10匹,9群を用い,実験期間は150日間とした.あらかじめ1%,10% BLE を自由飲水させ,30日後に週1回の割で3回 BP を皮下投与した.抗腫瘍性はマウス,ラットの各群における腫瘍出現率,摘出腫蕩重量,発癌性指数,および腫瘍抑制率を用いて算出した.また,体重変化,一般症状も観察した.実験期間を通じて,BLE および BLL を自由摂取したマウス,ラットは体重変化,一般症状,および主要臓器の病理組織学的所見において,特に異常は認められなかった.よって,BLE および BLL の毒性はきわめて低く,長期大量投与の可能性も示唆きれる.抗腫瘍作用に関してはマウス,ラット共に1% BLE 群(0.71mg/ml)が腫瘍抑制効果が最も高いことが認められた.また弱い抗腫瘍性が10% BLE,0.1% BLL に認められた,このことから BLE の最適投与量は1%溶液であることが示唆される.in vitro の実験では,Rec-assay 法において BLE 1.4mg/disc から DNA 損傷作用が現われ,また,Ames testにおいて BLL(0.565mg/plate)のラット S-9 代謝産物に,TA98 で spontaneous mutation の約2倍の His+ の出現がみられた.このことから,BLE およびこの成分中の BLL の抗腫瘍作用は,腫瘍細胞に直接的に作用する可能性を示唆している.
著者
田村 豊幸
出版者
一般社団法人 日本臨床薬理学会
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.119-123, 1973-06-30 (Released:2010-06-28)
参考文献数
8