著者
魏 興福 田村 隆善
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18824544)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.124-129, 2014 (Released:2015-06-27)
参考文献数
22

中国不動産業は,中国における新たな産業として過去35年間に順調に発展してきたと言える。中国における不動産供給側のおもな担い手は,不動産開発企業であり,都市部での旺盛な住宅需要と豊富な投資資金の流入を背景に,それら企業は住宅開発を中心に急拡大してきた。本研究では,中国不動産業研究の第一歩として中国不動産業発展の歴史を政府の土地政策や金融政策などの視点から整理し,中国不動産業の特徴と課題を示す。また,中国不動産業の現状を開発規模,民間企業と国有企業の混在,住宅購入プロセスなどによって特徴づける。
著者
小島 貢利 田村 隆善
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18824544)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.106-111, 2015 (Released:2016-09-15)
参考文献数
16

長期的な円高が進行し,日本の製造業は生産拠点の海外移転を加速させた。海外進出した企業は,為替変動のリスクが少なくなることを,利益面のメリットとして押し並べて主張している。一方,東日本大震災以降原子力発電が停止し,石油の輸入が増加したがために貿易収支が赤字に転換し,政権交代後に急激な円安が進行した。本研究では,一例として自動車メーカーを取り上げ,為替変動が輸出企業の利益率に与える影響を統計分析する。次に,経済性分析モデルを考え,為替レートや変動費の連動性が輸出企業の損益に与える影響を評価する。また,生産拠点のグローバル展開が必ずしも企業収益にとってメリットばかりではなく,むしろ円安のリスクを負い,増収のチャンスを失うことを数値例などで紹介する。
著者
魏 興福 田村 隆善 老平 崇了
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18834930)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.108-114, 2017

中国政府は,国民生活の向上を図るため,不動産業を国の主要産業と位置づけ支援してきた。このため,中国では経済の発展に伴って不動産業は飛躍的に拡大し,多くの不動産企業が設立され,規模を拡大させてきた。そのなかで,中国不動産大手企業は,販売用不動産を中心とした棚卸資産を増大させ,棚卸資産回転率は日本の大手企業と比較して低い値となっている。しかし,中国不動産中堅企業についての経営財務状況についての分析はこれまでなされていない。また,中国では,2010~2014年にかけてGDP成長率と住宅投資伸び率は鈍化傾向にある。そのような中国経済の減速は,中国不動産企業,とくに中堅不動産企業ないしはそれより規模の小さい企業の経営財務に大きな影響を与えていることも懸念される。本研究では,中国不動産中堅企業の経営財務を分析し,大手企業と比較しての中堅企業の特徴を明らかにする。結果として,中堅企業は大手企業に比べて棚卸資産回転率が高く,事業の多角化が進んでいるなどの特徴を明らかにする。
著者
田村 隆善
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
生産システム部門講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.45-46, 2012

多段階生産システムを取り上げ、指数平滑法を使った平準化生産指示方式を提案し、平滑化係数と在庫水準の近似最適化手順を提案する。平滑化係数の決定は実験計画を、在庫水準の決定は新聞売り子問題の解法を適用して行う。さらに、数値実験を行って生産平準化の効果ならびにSCMにおける全体最適と部分最適の重要な相違点を議論する。
著者
小島 貢利 田村 隆善
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18824544)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.98-102, 2010-02-15 (Released:2011-01-20)
参考文献数
26

ジャストインタイム(JIT)は,「必要なものを,必要なときに,必要なだけ生産する」思想として,特にものづくりの分野で,高品質,低価格,迅速な生産を実現する上で,大きな影響を与えてきた。自動車業界において,JIT 生産システムを採用した企業が世界の頂点を極めた。さらに,JIT はものづくりの分野に限らず,先端技術を応用した製品,サービスや社会システムなど,様々な分野に応用されている。本研究では,JIT の観点で必要とされるであろう,製品やサービスなどに関して紹介し,JIT の応用分野や今後の発展性に関して説明する。さらに,JIT を推し進めることで,今後顕在化するであろう,社会的な問題に関しても言及する。
著者
田村 隆善
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.101-113, 1987-03

性能の異なるm台の機械の段取りを1人の作業者が担当しているシステムにおいて、段取りの優先規則を操作して実現できる最大生産率の領域が、どのような性質を持つかについて検討する。最大生産率は、一部もしくは全ての機械でのジョブの待ち行列長さが無限のときのジョブのアウトプット・レイトと考えられるが、ここでは特に、全ての機械での待ち行列長さが無限のときに限定して解析を行う。この場合の生産率は、機械毎に故障率と修理率の異なる故障・修理モデルにおける単位時間当たり修理回数と見なすことができる。ここでは、加工時間と段取り時間は各々独立な指数分布で、それらは機械毎に異なった平均を持ち、割り込み優先は認めないと仮定される。本稿の主な目的は、優先規則を操作して実現できる生産率の領域が生産率ベクトル空間上の凸多面体となり、その頂点が確定的規則によるときの生産率からなること、ならびにその稜線が隣接した確定的規則を用いたときの生産率を結ぶ線分によって構成されること、を示すことである。