著者
高木 祐介 和久利 久 小野寺 昇 小野 ミツ
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.704-710, 2011 (Released:2011-10-12)
参考文献数
39

Objectives: There are several recommendations on the prevention of hypothermia during snow shoveling. However, there seemed to be insufficient evidence supporting these recommendations because they are not based on data from actual snow shoveling research. The purpose of this study was to investigate changes in brain temperature (tympanic temperature) and visceral temperature (rectal temperature) during snow shoveling among healthy young males. Methods: Eight healthy young males (age, 23.6 ± 2.4 years; weight, 69.7 ± 6.1 kg; height, 172.8 ± 7.3 cm) performed snow shoveling with an ordinary-size shovel for 15 min at their own pace in a rural snowfall area in December, 2009. Rectal temperature (Tre) and tympanic temperature (Tty) were measured 5 times (at rest, 5th (Ex5), 10th (Ex10), and 15th (Ex15) minute of snow shoveling; and 5th (Rec5) minute of recovery phase). The room temperature was 18.6 ± 0.7°C and the atmospheric temperature was 3.8 ± 2.6°C. Results: Tre continued to increase from at rest to Ex15. Tre at Ex15 (37.7 ± 0.3°C) was significantly higher (p < 0.05) than that at rest (37.2 ± 0.3°C). Tty at rest (36.7 ± 0.2°C) and Tty at Ex5 (36.6 ± 0.3°C) decreased significantly (p < 0.05) at Ex10 (36.2 ± 0.6°C). A significant negative correlation between changes in Tre and Tty were observed during snow shoveling (r = -0.49, p < 0.05). Conclusion: Discrepancy between changes in brain temperature (tympanic temperature) and visceral temperature (rectal temperature) should be taken into consideration in the prevention of disease development during snow shoveling in a cold environment.
著者
"関 和俊 石田 恭生 小野寺 昇 田淵 昭雄"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.113-119, 2007

"高所において生体は,いわゆる急性高山病(Acute Mountain Sickness ; AMS)症状に悩まされることが少なくない.動脈血酸素飽和度(SpO_2)を簡易に測定ができるパルスオキシメータは,酸素不足と高所順応の状態を的確に把握し,ヘモグロビンの透過率を測定できる機器であり,最近の登山には必要不可欠な装備とされている.富士山は,海抜3,776mの日本最高峰であり,低圧低酸素環境下にある.本研究では,心拍数,SpO_2およびAMSスコアを用い,富士登山における生体変化を明らかにすることを目的とした.被験者は健康な成人男女26名(男性15名,女性11名)であった.登山中の心拍数およびSpO_2の測定にはパルスオキシメータを用いた.AMSスコアの事後アンケート調査を実施した.心拍数は五合目登山前(88.8±11.8bpm;beats per minute)と比較して,富士山頂(101.2±19.3bpm)において有意に上昇した(p<0.05).SpO_2は,五合目登山前(91.4±2.0%)と比較して,富士山頂(82.1±6.5%)において有意に低下した(p<0.05).AMSスコアは「頭痛」および「めまい及び/またはふらつき」に関して山頂時に有意に高値を示した(p<0.05).このことから,富士登山においても心拍数やSpO_2は高所順化の指標となることを示唆する結果となった.また,SpO_2の測定は富士登山における高所順応が順調に獲得されているかどうかを知るための適切な指標であることが示唆された.心拍数,SpO_2およびAMSスコアを用いることによって,富士登山における急性高山病を事前に防ぐことが可能であると考えられた."
著者
及川 和美 荒金 圭太 倉藤 利早 斎藤 辰哉 松本 希 高木 祐介 河野 寛 藤原 有子 白 優覧 小野寺 昇
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.453-456, 2011

本研究は,「水中だるまさんがころんだ」運動時の心拍数と酸素摂取量の変化から水中運動としての「だるまさんがころんだ」の特性を明らかにすることを目的とした.被験者は,健康成人男性8名(年齢 : 21±2歳,)とした.被験者は,鬼が「だるまさんがころんだ」と発声している時に最大努力で水中を移動し,声が止んだ時に静止した.鬼までの距離を20mとした.鬼に到着するまでを1セットとし,3セット繰り返した.セット間には,3分間水中立位安静を行った.測定項目は,心拍数と酸素摂取量とした.運動後の心拍数および酸素摂取量は,1セット目の運動時と比較して,1セット目以降の運動時が,同等あるいはそれ以上の値を示した.水中でも陸上の「だるまさんがころんだ」と同様にインターバルトレーニング様の心拍数と酸素摂取量変化を示した.運動生理学的な分析から「水中だるまさんがころんだ」が身体トレーニングの要素を持つことが明らかになった.
著者
倉藤 利早 斎藤 辰哉 及川 和美 荒金 圭太 松本 希 高木 祐介 河野 寛 藤原 有子 白 優覧 小野寺 昇
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.461-464, 2011

「だるまさんがころんだ」は,日本の伝承遊びであり,幼稚園や保育所の保育教材として広く導入されている.しかしながら,今までに,「だるまさんがころんだ」を運動と捉え,運動生理学的な分析を行った研究は,見当たらない.本研究は,「だるまさんがころんだ」遊びの心拍数と酸素摂取量変化から運動と捉えたときの運動生理学的な特性を明らかにすることを目的とした.被験者は,健康成人男性10名であった.被験者は,鬼が「だるまさんがころんだ」として発声している時間に全速で移動し,声が止んだ時に静止した.鬼までの距離を20mとし,3回繰り返した.その間,心拍数と酸素摂取量を測定した.結果から,「だるまさんがころんだ」は,インターバルトレーニング時にみられる心拍数と酸素摂取量変化を示した.運動生理学的な分析から「だるまさんがころんだ」が身体トレーニングの要素を持った伝承遊びである可能性が示唆された.
著者
小野 三嗣 渡辺 雅之 長尾 憲樹 池田 道明 山本 隆宣 小野寺 昇 田中 弘之 原 英喜 湊 久美子 大橋 道雄
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.191-204, 1980-12-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
48

低糖高蛋高脂食をあたえた青年健康男子5名に20km走を行わせ, それが血圧, 心拍数, 体重, 皮脂厚, 血液成分, 尿所見の経過に如何に反映するかを見ると共に, タウリン投与がそれをどのように変動させるかを二重盲検法によって研究し, 概ね次のような所見を得た。1) 20km走による体重減少度はタウリン投与時の方がプラセボ投与時より多かった。2) 20km走による最大血圧上昇度はタウリン投与時の方がプラセボ投与時より少なかった。3) 20km走後に上昇してくるCK-MB/CK比はタウリン投与によって減少させることができた。4) 20km走によるLDHの増加率はプラセボ投与時よりタウリン投与時の方が小さい。5) プラセボ投与時には20km走によってトリグリセライドが上昇したが, タウリン投与時には減少した。6) タウリン投与は20km走による個々の脂肪酸構成比に大きな影響をあたえる。7) 20km走によるアドレナリン値はタウリン投与時の方が大きい。8) その他の血液成分や尿中カリクレインに対しては有意の変動が見られなかった。
著者
関 和俊 石田 恭生 小野寺 昇 田淵 昭雄
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.113-119, 2007

高所において生体は,いわゆる急性高山病(Acute Mountain Sickness ; AMS)症状に悩まされることが少なくない.動脈血酸素飽和度(SpO_2)を簡易に測定ができるパルスオキシメータは,酸素不足と高所順応の状態を的確に把握し,ヘモグロビンの透過率を測定できる機器であり,最近の登山には必要不可欠な装備とされている.富士山は,海抜3,776mの日本最高峰であり,低圧低酸素環境下にある.本研究では,心拍数,SpO_2およびAMSスコアを用い,富士登山における生体変化を明らかにすることを目的とした.被験者は健康な成人男女26名(男性15名,女性11名)であった.登山中の心拍数およびSpO_2の測定にはパルスオキシメータを用いた.AMSスコアの事後アンケート調査を実施した.心拍数は五合目登山前(88.8±11.8bpm;beats per minute)と比較して,富士山頂(101.2±19.3bpm)において有意に上昇した(p<0.05).SpO_2は,五合目登山前(91.4±2.0%)と比較して,富士山頂(82.1±6.5%)において有意に低下した(p<0.05).AMSスコアは「頭痛」および「めまい及び/またはふらつき」に関して山頂時に有意に高値を示した(p<0.05).このことから,富士登山においても心拍数やSpO_2は高所順化の指標となることを示唆する結果となった.また,SpO_2の測定は富士登山における高所順応が順調に獲得されているかどうかを知るための適切な指標であることが示唆された.心拍数,SpO_2およびAMSスコアを用いることによって,富士登山における急性高山病を事前に防ぐことが可能であると考えられた.
著者
及川 和美 荒金 圭太 倉藤 利早 斎藤 辰哉 松本 希 高木 祐介 河野 寛 藤原 有子 白 優覧 小野寺 昇 Oikawa Kazumi Arakane Keita Kurato Risa Saito Tatsuya Matsumoto Nozomi Takagi Yusuke Kawano Hiroshi Fujiwara Yuko Baik Wooram Onodera Sho
雑誌
川崎医療福祉学会誌 = Kawasaki medical welfare journal
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.453-456, 2011

本研究は,「水中だるまさんがころんだ」運動時の心拍数と酸素摂取量の変化から水中運動としての「だるまさんがころんだ」の特性を明らかにすることを目的とした.被験者は,健康成人男性8名(年齢 : 21±2歳,)とした.被験者は,鬼が「だるまさんがころんだ」と発声している時に最大努力で水中を移動し,声が止んだ時に静止した.鬼までの距離を20mとした.鬼に到着するまでを1セットとし,3セット繰り返した.セット間には,3分間水中立位安静を行った.測定項目は,心拍数と酸素摂取量とした.運動後の心拍数および酸素摂取量は,1セット目の運動時と比較して,1セット目以降の運動時が,同等あるいはそれ以上の値を示した.水中でも陸上の「だるまさんがころんだ」と同様にインターバルトレーニング様の心拍数と酸素摂取量変化を示した.運動生理学的な分析から「水中だるまさんがころんだ」が身体トレーニングの要素を持つことが明らかになった.
著者
小野寺 昇 望月 精一
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1-1, pp.9-14, 2020

「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に基づく,川崎医療福祉大学(以下,本学と略す)における研究倫理研修への取り組みを述べる.本学の学術研究の信頼性及び公正性を確保することを目的に「川崎医療福祉大学における研究者等の行動規範」と「川崎医療福祉大学研究倫理基準」が施行されている.これら2つの規程に基づき,本学の研究費不正防止計画が施行されている.文部科学省が定める「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」が要請する公的研究費の管理・監査にかかる取り組みを「研究費不正使用防止計画」として具体化し,11項目の計画が示されている.平成28年度から e-ラーニングを導入した.研究倫理への理解深化と周知徹底を目的に外部講師を招聘し,コンプライアンス研修会(大学の取り組み・不正使用防止計画に関する事項, 利益相反,安全保障輸出管理に関する事項,知的財産に関する事項など)を開催している.特に,公的研究費(科学研究費等)執行に関する不正使用に関して注意を喚起している.理解不足(知らないこと)から生じる不正使用の案件が生じないように取り組んでいる.社会の研究に対する認識の流動性を鑑み,最新情報を提供する取り組みを継続する.
著者
中尾 善隆 橋本 勇希 田淵 昭雄 小野寺 昇
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.107-111, 2007

富士山(海抜3,776 m)は日本一高い山として,登山客が足を運ぶことが多い.しかし,眼圧は気圧により変化することから,登山中の眼圧の変化には注意が必要である.しかし,これまで富士登山と眼圧との関係を報告した例は我々が調べた範囲内ではなかった.今回,我々は富士登山による眼圧の変化を調べるため,実際に登山を行い平地と山頂での眼圧を計測した.対象は正常眼圧で眼科的疾患を伴わない正常成人23名(男性11名,女性12名),平均年齢26歳であった.眼圧測定は接触型眼圧測定機器TONO-PEN^(R) XLを用い,測定者は視能訓練士1名とした.今回,アセタゾラミド服用による眼圧の変化がないことを確認し,高山病予防のため全被検者にアセタゾラミド250 mgを服用させた.登山前の平均眼圧は右眼13.0±2.4mmHg,左眼11.8±2.9mmHg,山頂での平均眼圧は右眼13.1±2.5mmHg,左眼11.8±2.5mmHgであり,これらに有意な差はなかった.この結果は,富士登山による急激な眼圧の変化はないことを示唆した.
著者
小野寺 昇
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

成長期における不定愁訴の発現と運動の関連性について横断的・縦断的に研究した。横断的研究の対象者は741名、縦断的研究の対象者は41名であった。以下の成果を得た。身体活動量の多い・少ないが不定愁訴発現に関連した。生活習慣が不定愁訴発現に関連した。朝食摂取が不定愁訴発現に関連した。肥満と動脈の硬さが関連した。中学生男子の身長伸び率と動脈の硬さが関連した。横断的研究と縦断的研究の評価が一致した。