著者
伊藤 雅道 田神 一美
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.81-83, 1993-01-25 (Released:2009-06-12)
参考文献数
1
被引用文献数
3

茨城県つくば市、筑波大学構内の屋外プールにある水道水出口にプランクトンネットを設置し、50~100トンの水道水を流下させた後、残さ物中の生物相を調べた。この中には線虫類、輪虫類、ソコミジンコ類などが見られたほか、クマムシ類もかなりの個体数が見出された。得られたクマムシは1種類であったが、分類学的検討の結果、イボヤマクマムシ属(lsohypsibius)に属する新種であることが判明し、ここに記載を行った。本種Isohypsibius hydrogogianus sp.n.(和名:スイドウクマムシ)は、第1脚~第3脚の内爪の下側に明瞭なcuticular barが存在することで他種と区別することができる。なお、水道水から見出された淡水性クマムシの記録は今回が世界で初めてと思われる。
著者
田神 一美
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 = Journal of the Acarological Society of Japan (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.91-99, 2013-11-25
被引用文献数
1

本邦産のヒゲジロハサミムシ <i>Gonolabis marginalis</i> Dohrn, 1864(Dermaptera: Anisolabididae)に便乗しているヒゲダニの第二若虫を飼育して得られた第二若虫を第 1脚長が短いと言う相違はあるが<i>Histiostoma mahunkai</i> Fain, 1974と同定した.また,飼育から得た雌雄成虫形態を記載した.ハサミムシに便乗するヒゲダニに関する知見は,欧州産の <i>H. polypori</i> と <i>H. feroniarum</i> に偏っていたが,最近になって豪州産の3種類が追加され本種が新たに加わった.本種はアフリカのコートジボワールが原記載地である.ハサミムシとヒゲダニの便乗関係を更に詳細に調べる必要がある.
著者
田神 一美
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 = Journal of the Acarological Society of Japan (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.91-99, 2013-11-25
参考文献数
14
被引用文献数
1

本邦産のヒゲジロハサミムシ <i>Gonolabis marginalis</i> Dohrn, 1864(Dermaptera: Anisolabididae)に便乗しているヒゲダニの第二若虫を飼育して得られた第二若虫を第 1脚長が短いと言う相違はあるが<i>Histiostoma mahunkai</i> Fain, 1974と同定した.また,飼育から得た雌雄成虫形態を記載した.ハサミムシに便乗するヒゲダニに関する知見は,欧州産の <i>H. polypori</i> と <i>H. feroniarum</i> に偏っていたが,最近になって豪州産の3種類が追加され本種が新たに加わった.本種はアフリカのコートジボワールが原記載地である.ハサミムシとヒゲダニの便乗関係を更に詳細に調べる必要がある.
著者
細川 淳一 田神 一美
出版者
筑波大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

競技スポーツ選手として、思春期から成人に至るまで激しい運動を続けてきたことが、その後の健康状態にどのような影響を及ぼすかを衛生学的観点より研究した。競技スポーツ選手は、現役引退に際して永続的な運動量減少を体験する。この時期の一般人は、成人病リスクが高まり運動を推奨されるが、この時期に運動量を低下させる競技スポーツ選手の場合、その後の健康にマイナスの要因となっているか否かを動物実験モデルにより細胞性免疫機能の一つであるナチュラル・キラー細胞の活性を指標として検討した。水泳運動中止13週間後では、対照群との間に細胞性免疫能に明かな違いは認められなかった。つまり、運動の有無にかかわらず、健康な状況下では細胞性免疫機能に検出可能な差異は現れないと考えられる。そこで、免疫抑制剤(シクロスポリン)を投与し、この負荷に対する耐性をナチュラルキラー細胞の活性を指標として測定することにした。運動トレーニングとして、ラットに穏やかな流水遊泳(30分/日、4回/週)を17週間(7週齢から24週齢まで)負荷した。負荷中止後9日目に50mg/kgのシクロスポリンを腹腔投与し、10日目にネンブタール麻酔下に開腹して無菌的に脾臓を摘出、ホモジナイズした後、これをコンレー・フィコル液に重層して比重遠心分離する方法で白血球を得た。この白血球と^<51>CrでラベルしたK562細胞とを混ぜ合わせて4時間培養し、この間に破壊された標的細胞から培地中に流出した^<51>Crをガンマー線カウントする方法で測定した。比較は運動負荷を行なっていない対照群との間で行なった。この結果、運動はナチュラル・キラー細胞に対する免疫抑制剤の作用を緩和することが分かった。この作用を通じて運動は、腫瘍などの成人病から防護していることを示唆するものと考えられる。