著者
古味 一洋 荒川 良 天野 洋
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 = Journal of the Acarological Society of Japan (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.29-35, 2008-05-25
参考文献数
17
被引用文献数
1 10

高知県の果菜類栽培施設で発生する土着カブリダニ6種(ヘヤカブリダニ,コウズケカブリダニ,ミチノクカブリダニ,サイタマカブリダニ,キイカブリダニ,ニセラーゴカブリダニ)および生物農薬資材として販売されているククメリスカブリダニの,ミナミキイロアザミウマ1齢幼虫に対する捕食能力を評価した.供試した土着カブリダニ6種のなかで,キイカブリダニの日当たり捕食量と産卵数が最も多く,3日間平均で,12.2頭,6.5卵であり,この値はククメリスカブリダニの3倍程度の高いものであった.また,ニセラーゴカブリダニの捕食量も5.8頭とククメリスカブリダニより多かった.以上の結果より,キイカブリダニとニセラーゴカブリダニはアザミウマ類の天敵として有望な種と考えられた.ヘヤカブリダニ,コウズケカブリダニ,ミチノクカブリダニ,サイタマカブリダニもミナミキイロアザミウマ1齢幼虫に対する捕食性が認められた.
著者
松尾 智英 大倉 信彦 角田 浩之 矢野 泰弘
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 = Journal of the Acarological Society of Japan (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-23, 2013-05-25
参考文献数
105
被引用文献数
7

マダニ上科は主に2つの科,すなわちマダニ科(Hard tick)とヒメダニ科(Soft tick)とに分類され,マダニ科はさらにそれらの繁殖の違いによって Prostriata(マダニ科マダニ属)および Metastriata(マダニ属を除くマダニ科の属)に分けられる.すなわち,各グループに属する種はそれぞれ特徴的な繁殖システムや器官を有している.加えて,マダニ類は様々な病原体のベクターとしても重要な生物群である.Metastriataグループに属するフタトゲチマダニは単為生殖系統と両性生殖系統が存在するという特徴をもち,オーストラリア,ニュージーランド,ニューカレドニア,フィジー諸島,日本,朝鮮半島および中国・ロシア北東部に広く分布している.本種はまた Q熱リケッチア,ロシア春夏脳炎ウィルス,タイレリアおよびバベシア原虫のベクターとしても知られており,我が国における牧野の最優占種であるフタトゲチマダニは放牧牛にピロプラズマ病を媒介するという点で農学・獣医学上重要であると考えられている.そこで,我々がこれまでに明らかにしてきたフタトゲチマダニ両性生殖系統の繁殖に関する知見をここにまとめる.
著者
山内 健生 高野 愛 丸山 宗利 川端 寛樹
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 = Journal of the Acarological Society of Japan (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.143-148, 2012-11-25
参考文献数
15
被引用文献数
8

A Japanese male repeatedly infested with <I>Amblyomma testudinarium</I> in Malaysia was reported. He visited to Ulu Gombak, Malay Peninsula, Malaysia on April and May 2007, and he recalled three times of tick bite during traveling. The first tick bite was by one nymph infested on the inner side of the brachium of the patient. After a few days, erythema with a diameter of 2 cm was found at the site of tick attachment. Pain of the site remained for 20 days. The second tick bite was by larvae infested on the skin surface of the abdomen, basal portion of the thigh, and scrotum of the patient. He felt a pain at the moment of tick infestation. The pain remained for 15 days. The third tick bite was by a larva, and the tick was found in the phyma of his back immediately after his return Japan.
著者
田神 一美
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 = Journal of the Acarological Society of Japan (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.91-99, 2013-11-25
被引用文献数
1

本邦産のヒゲジロハサミムシ <i>Gonolabis marginalis</i> Dohrn, 1864(Dermaptera: Anisolabididae)に便乗しているヒゲダニの第二若虫を飼育して得られた第二若虫を第 1脚長が短いと言う相違はあるが<i>Histiostoma mahunkai</i> Fain, 1974と同定した.また,飼育から得た雌雄成虫形態を記載した.ハサミムシに便乗するヒゲダニに関する知見は,欧州産の <i>H. polypori</i> と <i>H. feroniarum</i> に偏っていたが,最近になって豪州産の3種類が追加され本種が新たに加わった.本種はアフリカのコートジボワールが原記載地である.ハサミムシとヒゲダニの便乗関係を更に詳細に調べる必要がある.
著者
田神 一美
出版者
日本ダニ学会
雑誌
日本ダニ学会誌 = Journal of the Acarological Society of Japan (ISSN:09181067)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.91-99, 2013-11-25
参考文献数
14
被引用文献数
1

本邦産のヒゲジロハサミムシ <i>Gonolabis marginalis</i> Dohrn, 1864(Dermaptera: Anisolabididae)に便乗しているヒゲダニの第二若虫を飼育して得られた第二若虫を第 1脚長が短いと言う相違はあるが<i>Histiostoma mahunkai</i> Fain, 1974と同定した.また,飼育から得た雌雄成虫形態を記載した.ハサミムシに便乗するヒゲダニに関する知見は,欧州産の <i>H. polypori</i> と <i>H. feroniarum</i> に偏っていたが,最近になって豪州産の3種類が追加され本種が新たに加わった.本種はアフリカのコートジボワールが原記載地である.ハサミムシとヒゲダニの便乗関係を更に詳細に調べる必要がある.