- 著者
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田邉 洋
- 出版者
- 公益社団法人 日本皮膚科学会
- 雑誌
- 日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
- 巻号頁・発行日
- vol.131, no.12, pp.2563-2572, 2021-11-20 (Released:2021-11-22)
- 参考文献数
- 55
毛包虫(毛囊虫)と皮膚科で呼称されるニキビダニ類は,終生ヒトを固有宿主として寄生する節足動物であり分類上はクモの仲間である.健常者顔面から高率にニキビダニ類の寄生が確認できるので,ニキビダニの病原性について以前から議論があったが,近年酒皶や睫毛炎の病態への関与が報告されている.また,その過剰寄生による皮膚障害であるニキビダニ症は臨床で留意すべき疾患である.ニキビダニ症の臨床像は多彩だが,ステロイド外用薬で改善しない鱗屑を伴う顔面の紅斑丘疹膿疱には,直接鏡検やダーモスコピー検査によりニキビダニ症を鑑別し,ステロイド外用の漸減や中止を考慮する必要がある.ニキビダニ症の治療は酒皶や痤瘡に準じるが,スキンケアの修整が重要であり,時に抗ダニ療法が奏功する場合がある.本稿では,いまだ不明な点が多いニキビダニ類とその関連するニキビダニ症について概略する.