著者
根立 恵子 石井 幸江 米田 泰子 由比 ヨシ子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.215-222, 2012 (Released:2014-02-28)
参考文献数
27
被引用文献数
4

食生活管理者を目指している女子大学生224名を対象として,魚類や肉類の利用状況と,食経験や居住環境がその利用状況にどのように影響するかを調べた。 育った環境が海から離れていても,新鮮な魚類を食べて育つという食経験が,魚類に対する嗜好を高めていた。調理技術の伝承は家庭が多くの役割を担い,魚料理では53.6%,肉料理は62.9%の学生が母・祖母から伝承されていた。学校教育の関与も見られ,魚料理は27.7%,肉料理は18.8%の学生が学校からと答えた。 魚類や肉類の摂取頻度に居住形態が影響し,1人暮らしの学生は豚肉と鶏肉を多く食べる傾向にあった。自宅生は比較的魚類,牛肉の利用が多かった。居住形態によって使われる調理操作も多少異なり,自宅生は魚類では生,牛肉では焼く,鶏肉では揚げる操作を比較的多く使っていた。1人暮らしの学生は魚類,肉類ともにフライパンがあれば調理が可能なソテーを多く使い,揚げる操作の利用は少なかった。
著者
由比 ヨシ子 浅沼 アサ子 伊東 清枝
出版者
昭和女子大学
雑誌
學苑 (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.770, pp.74-80, 2004-12-01

本報では,食品,調理,献立作成,食品の分量知識について調査AとBの比較を行った。1)食品の利用法に関しては,小学校5年〜中学校3年に至るまで,伝統的な食品の正答率はAが高くBでは低かった。逆に比較的新しい食品であるバターやハム,ソーセージ等に関しては,Bが高くAが低下傾向を示した。しかし,伝統的な食品であっても,家庭科の調理実習教材として取り上げられている"にぼし,かつおぶし,とうふ"についてはA・B間の有意差もなく正答率もかなり高かった。加工食品の原料に関しては,利用法と同様に伝統的な食品の正答率はAが高く,Bでは特に"にぼし,きなこ,しん粉,やきふ"が低かった。にぼしは,利用法の設問で高い正答率を示したが,その原料に関しては小学校5年〜中学校3年に至るまで理解度に変化は見られず平均5%前後であった。またハムやソーセージ,バターについてはやはりBが高い傾向を示した。2)調理では,まず青菜のひたしの作り方を見ると,正答率は全体に低く,A・B間の有意差も見られず,中学校3年で約50%程度である。また,その他の野菜を見ると,更に低く中学校3年女子ですら40%に満たない状況であり,調理法の知識に関しては高いとはいえない。3)献立作成に関しては,みそ汁の実と昼食の弁当のおかずを選択するものである。みそ汁の実については中学校全段階において,Bが圧倒的に高く,献立作成と栄養素の働きを結びつけた指導の成果がうかがえた。昼食の弁当のおかずに関しては,調査当時状況の中では設問自体が適切ではなかったようである。4)食品の分量に関する知識は,A・Bとも正答率は低く,それぞれにマイナス要因が考えられた。つまりAでは,計量単位の不統一と計量指導が不十分であった。Bでは計量指導後の応用や活用の機会が不足していることが上げられる。特にBにおいては,中学校3年になっても50%の正答率も得られない状況から,まず食生活の指導の課題でもある"なにをどれだけ食べたらよいか"の具体化のためにも指導法の研究が必要であったであろう。