著者
中村 順一 大庭 美香 甲斐 郷子 吉田 將
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.79-80, 1992-02-24

自然言語では、一つの意味内容を表現するために様々な形式の表現を用いることが可能である。しかし、個々の発話状況においては、そのすベてが自然なものとは限らない。「太郎が花子を手伝った」は、太郎や花子が話者よりも目上であれば、「太郎さんが花子さんを手伝われた」の方が自然である。このような現象を扱い、機械翻訳システムや自然言語インタフェースなどの出力文をより自然なものにするためには、統語論・意味論上の処理だけではなく、語用論的な処理も必要である。本報告では、特に敬語などの待遇表現に注目し、話者、聴者、動作の関係者の間の関係に従って自然な待遇表現を用いた文を生成するモデルについて報告する。待遇表現としては、尊敬語・謙譲語・ていねい語を対象とし、登場人物間の身分的上下関係を与えることによりこれらを選択する。選択の対象は、「行く/参る/いらっしゃる」などの動詞、「φ/ます」の動詞語尾表現、「ぼく/わたし」、「太郎/太郎さん」などの人の呼び方、である。文生成には語彙機能文法(LFG)の考え方を用い、待遇表現の選択に関する規則性を個々の語彙記述中の制約として記述する。
著者
甲斐 郷子 中村 順一 吉田 將
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 自然言語処理研究会報告
巻号頁・発行日
vol.95, no.27, pp.79-84, 1995-03-09
参考文献数
10
被引用文献数
4

科学技術論文などの論理的文章にとって,論旨展開が明確であること,事実,主張,根拠などがバランスよく述べられていることは重要である.しかし初心者にとってこれらの適切さを認識することは容易ではない.本稿では,このような論文作成の初心者に論文改訂作業を支援するシステムの試作と改訂実験によるシステムの評価について述べる.本プロトタイプシステムでは,表層的な情報を基に改訂対象の文章構造を解析し,その結果を筆者に提示することにより支援を行う.改訂実験により明かになった本プロトタイプシステムの有効性と限界についても論じる.
著者
山本 秀樹 甲斐 郷子 大里 真理子 椎野 努
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.849-860, 1990-06-15
被引用文献数
9

本論文では 会話シミュレーションを基にした語学訓練用知的 CAI システムにおいて 学習者に適切な指導を行うための意図の理解とそれに基づいた会話制御を行う方式について述べた.本システムを使用する学習者は シミュレートされている場面に関係した意図だけでなく 英語の知識に関した意図を持つ.この意図が 明示的に示されない場合 システムは それを学習者の誤り 発話文の表層の情報などから理解しなければならない.学習者の意図を考慮した発話を行うために システムの会話制御部を シミュレーション会話制御部 教育会話制御部 および会話制御切替部から構成する.シミュレーション会話制御部は 目標指向の会話モデルに基づいた会話を制御する.発話の中に 目標-副目標関係 目標-手段関係が検出できる場合は 発話は会話の流れに沿っているといえる.会話制御切替部は 学習者からの教育会話の要求や 会話の中の誤りによって教育会話を起動する.教育会話は 学習者の誤った知識を正すなどの教育目標を連成すべく制御される.教育会話の目標が達成されたら 教育会話が起動される以前のシミュレーション会話に制御を移動する.本方式により 従来のシステムと比較して柔軟な教育が可能になり学習効果が向上する.本システムで採用した会話制御部の構成は シミュレーション会話制御部を他の教育対象のシミュレータと入れ換えることにより 英会話以外の知的 CAI システムに対しても応用可能である.
著者
中村 順一 甲斐 郷子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.95, no.168, pp.57-62, 1995-07-20

PACLING-II(The Second Conference of the Pacific Association for Computational Linguistics)が1995年4月19日から22日に,オーストラリアBrisbaneのThe University of Queenslandで開催された.参加者は約50人で,日本,オーストラリア,韓国が中心であったが,その他,米国,カナダや英国からの参加者もあった.4つのキーノート・アドレスと35の論文発表が行われた.筆者らは,これに参加したので,その概要について報告する.