著者
吉川 博 佐藤 智人 檜山 洋子 福島 隆宏 佐伯 康之 畝井 浩子 松尾 裕彰
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.691-695, 2020-10-31 (Released:2020-10-31)
参考文献数
10

救急・集中治療領域の患者は重症度が高く,過少投与や必要薬剤の不使用など,薬物治療効果が適正に得られない状態は不利益となる可能性がある。そのため薬物治療効果を最大限に得るための適正使用(以下,適正使用)は重要である。本調査は2016年1月〜2017年12月にICU,高度救命救急センター,HCUでの薬剤師による適正使用介入事例を調査した。 対象期間での適正使用介入事例は227件。薬剤の種別として抗微生物薬が117件(51%),抗凝固薬23件(10%),消化器系薬14件(6%),循環器系薬11件(5%)であった。介入の種類として投与量の増量が105件(46%),薬剤追加が59件(26%),投与方法変更が30件(13%),薬剤変更が20 件(9%)であった。薬剤師は適正使用において,とくに抗微生物薬の増量,排便・血糖コントロールやDVT などの予防薬剤の追加について貢献していると考えられた。
著者
加藤 隆寛 田中 聡 渡邉 暁洋 織田 順 浅香 えみ子 有賀 徹 畝井 浩子 鏑木 盛雄 菊池 憲和 桑原 健 篠原 高雄 峯村 純子 眞野 成康 西澤 健司 定光 大海
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.725-734, 2016-12-31 (Released:2016-12-31)
参考文献数
18

目的:救急医療における薬剤師のおかれた状況や不足するスキルは不明であり,これらを把握することを目的にアンケートを実施した。方法:日本臨床救急医学会の薬剤師会員を対象に,救急医療・集中治療への従事,現在および今後実施したい業務,実施希望のトレーニングコースについて調査した。結果:195名より回答を得た。救急医療への従事は23.1%,集中治療が68.2%であった。救急医療での業務は主に薬品管理で(77.8%),患者対応はおもに依頼された時のみ(64.4%)行われていた。トレーニングコースは中毒,循環器系が求められていた。集中治療では抗菌薬,循環器系薬の介入が多かったが,フィジカルアセスメントの実施率は低かった。結論:救急医療に従事する薬剤師は少ない。全患者へ対応できる体制の整備,中毒,循環器系に関するトレーニングが有効と考えられた。集中治療ではフィジカルアセスメントの活用が次の課題になると考えられた。