著者
高橋 幸子 山本 賢司 松浦 信典 伊賀 富栄 志水 哲雄 白倉 克之
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.167-175, 1999-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
24
被引用文献数
2

音楽聴取が情動にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために実験を行った.被験者は健康な女子大学生31名.セッションは, 安静保持と検者が選択した音楽と被験者が選択した好みの音楽(どちらも落ち着くことを目的として選択された)を用いた.情動変化を測定するために心理テストProfille of Mood States(POMS)を用い, その絶果を解析した.短時間の音楽聴取により, POMSの「活気」以外の各因子において, 明らかに一時的な情動変化が観察された.その変化は音楽のジャンルに関係なく, 一貫したパターンを示した.これらの結果から, 音楽聴取はホメオスタティックな情動変化を起こしていることが考えられた.
著者
白倉 克之
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.301-308, 1998-06-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
13

近年わが国のアルコール依存症者数の増加傾向が指摘され, 依存症者およびアルコール関連問題を有する患者数は, 全国で約230万ないし250万人に達すると推定されている.事実アルコール依存症者像についても, 30数年前の中年ブルーカラー男性という固定したイメージは払拭され, 産業メンタルヘルス領域で問題とされる「職場の3A」の一つとして, ホワイトカラー族はいうに及ばず, キッチン・ドリンカーという造語にみられるように家庭婦人やOLなどの女性患者, 最近では未成年者や高齢者にもその急増が指摘されるなど, アルコール依存症ないしアルコール関連問題を抱える患者層の多様化が顕著となっている.一方では近年の国民医療費の急増, 高齢化・少子化現象に基づく就労人口の激減などに直面している事実に鑑み, アルコール問題は早急に解決されなければならない焦眉の社会問題の一つといっても過言ではない.厚生省も従来の成人病という概念を修正して, 1996年より生活習慣病という概念を導入し, がん・脳血管障害・高血圧症・糖尿病などとともにアルコール症についてその対策や予防に全力を傾けている状況である.以上のような状況に鑑み, 本稿では前半でアルコール医療について簡単に解説するとともに, 後半ではストレス・コーピングの立場から飲酒行動について述べてみたい.
著者
高橋 幸子 山本 賢司 松浦 信典 伊賀 富栄 志水 哲雄 白倉 克之
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.167-175, 1999-02-01
被引用文献数
7 5

音楽聴取が情動にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために実験を行った.被験者は健康な女子大学生31名.セッションは, 安静保持と検者が選択した音楽と被験者が選択した好みの音楽(どちらも落ち着くことを目的として選択された)を用いた.情動変化を測定するために心理テストProfille of Mood States(POMS)を用い, その絶果を解析した.短時間の音楽聴取により, POMSの「活気」以外の各因子において, 明らかに一時的な情動変化が観察された.その変化は音楽のジャンルに関係なく, 一貫したパターンを示した.これらの結果から, 音楽聴取はホメオスタティックな情動変化を起こしていることが考えられた.
著者
武田 綾 鈴木 健二 白倉 克之
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.513-519, 2002-08-01
被引用文献数
3

アルコール依存症を合併した摂食障害(合併群)の転帰について摂食障害単独群(単独群)との比較研究である.1990〜1998年に受診した30歳以下で半構造化面接のできた摂食障害患者130名に対し,2000年10〜12月にアンケートと電話で追跡調査を行った.対象者のうち102名(78%)が回答し,平均追跡期間は4.6年であった.2つの群は初診時において,初診年齢,パーソナリティ障害,AN-Rの割合,結婚・離婚経験など多くの点で違いがあった.調査時点で合併群は非常に高い死亡率(25%)があり,離婚経験は38%,問題飲酒も42%がもっており,症状消失とED-NOSが半数を占めた単独群と比較して,合併群の長期転帰は非常に悪かった.両群に共通した転帰良好因子は嘔吐が少ないことであった.