著者
村上 優
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.201-205, 2000-05-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
8

近年薬物依存・乱用の状況は深刻さを増しており, とくに覚せい剤は第三次乱用期を迎えているといわれる. 一方, 臨床の現場で出会う薬物依存は覚せい剤や有機溶剤が主であるとしても, 依存している薬物は多様となってきている. 精神科以外の一般科でも遭遇する医師の処方する薬物や, 薬局で市販されている薬物への乱用・依存について論じた. 薬物関連問題を表現する用語として乱用, 急性中毒, 依存, 慢性中毒があり, ただしく使い分けるべきである. 睡眠薬, 抗不安薬および鎮静剤の依存は, 不眠や不安, または鎮静を目的として使用する薬物は大別すると, プロム剤, バルビツール酸剤, 非バルビツール酸剤, ベンゾジアゼピン系剤(BZ系剤と略)に分けられる. なかでもBZ系剤はその効果と安全性より広く用いられるようになった. BZ系剤の依存については高容量依存と常用量依存, さらにはアルコールやその他の薬物との併用による依存と3型に分類して検討をすべきである.
著者
吉田 麗玖 増村 侑希 笠原 一希 村上 優太 佐藤 成 中村 雅俊
出版者
新潟医療福祉学会
雑誌
新潟医療福祉学会誌 (ISSN:13468774)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.71-77, 2023 (Released:2023-03-31)
参考文献数
11

本研究の目的は、異なる角度のインクラインベンチプレスにおいて、大胸筋の鎖骨部・胸肋部、三角筋前部線維、上腕三頭筋の筋活動の違いを明らかにすることである。対象はレジスタンストレーニングの経験がある健常成人男性16名とした。相対重量として各傾斜角度における1RMの70%の重量、絶対重量として40kgを負荷として設定し、各傾斜角度において筋電図測定を行った。結果は70%1RM条件にて、大胸筋胸肋部で傾斜角度の増加により有意に筋活動が減少した。一方、他の部位では、各傾斜角度において筋活動に有意な差は認められなかった。また、40kgの条件では、大胸筋鎖骨部、三角筋前部では傾斜角度の増加により筋活動は増加し、大胸筋胸肋部では筋活動が減少した。本研究の結果、70%1RMの重量において、フラットベンチプレスが4筋に高い筋活動を生じさせる最も効率的な種目であると示唆された。一方、同じ重量を用いた場合、20°、40°、60°のインクラインベンチプレスにおいて大胸筋鎖骨部の高い筋活動を生じさせる種目であると示唆された。
著者
村上 優 杠 岳文 比江島 誠人 遠藤 光一 西村 直之
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.206-211, 2000-05-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
9

薬物依存の専門医療機関の必要性は国の政策医療として取り上げられるところであるが, 現在では国立に専門病棟が1ヵ所で, アルコールとの併用を入れると国立には2ヵ所, 公立で3ヵ所, 民間を入れても10ヵ所にも満たないのが実情である. 医療的には薬物依存もアルコール依存の治療システムの延長線上に位置していると考えられるにもかかわらず, これまでその特殊性が強調される傾向にあった. 肥前療養所においてアルコール依存の治療システムに追加する形で薬物依存の治療を検討し, 薬物依存リハビリテーションプログラムDRPをアルコール病棟に併設した. そうすれば薬物依存への専門治療を担いうる施設は飛躍的に増加することが期待できるからである. この際に薬物依存治療における思春期心性への配慮と, 処罰モデルから治療モデルへの移行(ダイバージョン), 自助グループの重要性を強調した.
著者
涌井 架奈子 松井 成明 安田 政実 伊藤 仁 平林 健一 梶原 博 村上 優 佐藤 慎吉 長村 義之
出版者
特定非営利活動法人日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 = THE JOURNAL OF THE JAPANESE SOCIETY OF CLINICAL CYTOLOGY (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.269-274, 2008-07-22
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

<b>目的</b>: 子宮体部明細胞腺癌 (以下, 体部明細胞腺癌)における腫瘍細胞の出現パターンについて検討を行った.<br><b>方法</b>: 当院で組織診, 細胞診のいずれからも体部明細胞腺癌と診断された 6 例 (純粋型 3 例, 混合型 3 例) を対象とした. 細胞材料は全例エンドサイトで採取されたものを用い, 1) 細胞集団の出現パターン, 2) 散在性裸核細胞に着目した検討を行った.<br><b>成績</b>: 腫瘍細胞は大型乳頭状集団, 11.4%; 小型乳頭状集団, 41.8%; シート状集団, 38.0%; 重積性集団, 8.9%の出現率を示していた. ミラーボール集団はみられず, 基底膜様物質の出現はわずかであった. 一方, 類内膜腺癌においては小型乳頭状集団, 重積性集団が比較的高い頻度で認められた. 散在性裸核細胞は明細胞腺癌 6 例すべてに認められ, 平均 10 個, 核面積は平均 138.1&mu;m<sup>2</sup>を示していた. また, これらを類内膜腺癌に出現する散在性裸核細胞と比較した場合, 出現数, 核形態に相違を認めた.<br><b>結論</b>: 子宮体部明細胞腺癌は主だった 5 つの出現パターンを示す腫瘍細胞が混在し, 特に小型乳頭状集団, シート状集団, 散在性裸核細胞に留意することが重要と考えられた. また, 散在性裸核細胞は類内膜腺癌と比較して, 出現数, 核形態に相違があり, 両者の鑑別に有用な情報を与えるものと考えられた.
著者
大槻 涼 村上 優香 小林 護
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<p><b>概要</b></p><p></p><p> 駒澤大学マップアーカイブズは、駒澤大学が所蔵する地図資料の周知、保存、活用を目的として、2004年に始まった、学生主体のプロジェクトである。設立から10年以上経過した現在も、新規地図資料の収集と整理作業を継続している。学生が主体であることと、現在も整理作業が続いていることの2点は他に例のないプロジェクトである。これまでに成果として2冊の目録、『駒澤大学所蔵外邦図目録』(2011)と『駒澤大学所蔵外邦図目録 第2版』(2015)を刊行した。刊行以降も駒澤大学の学内から外邦図を含む新たな地図資料の受け入れを行い、整理作業と目録編纂作業を行なっている。次期地図目録編纂にあたり現状を報告する。</p><p></p><p></p><p></p><p><b>外邦図とは</b></p><p></p><p> 明治期から第二次世界大戦終戦まで、旧日本陸軍参謀本部・陸地測量部が作成した、日本領土以外の地域の地図である。駒澤大学には、多田文男教授(1966〜1977)より寄贈された外邦図を中心としたコレクションが所蔵されている。『駒澤大学所蔵外邦図目録 第2版』時点で、収蔵されている地域は、樺太千島126枚、朝鮮1277枚、台湾97枚、中国3196枚、インド1293枚、東南アジア1641枚、オセアニア地域188枚、アメリカ国内111枚、ヨーロッパ34枚、海図947枚など、地域としては中国が多い傾向にある。</p><p></p><p></p><p></p><p><b>新規受け入れ資料</b></p><p></p><p> 駒澤大学外邦図目録 第2版の刊行(2016年)以降、新たに図書館と駒澤大学地理学科から新しく地図資料を受け入れた。この中には前述の外邦図ばかりではなく、国内を対象地域とした旧版地形図や、海図、兵要地誌、航空図のほか、関東大震災発生時の消失地域図といった主題図、海外の旅行図も含まれる。</p><p></p><p></p><p></p><p><b>新規受け入れ資料の概要</b></p><p>駒澤大学図書館から地理学科地図室へ移管:454枚(航空図7枚含む外邦図のほか、日本国内の主題図や中国の地質図などが含まれる。) 地理学科所蔵の旧版地形図:2234枚 駒澤大学外邦図目録に未収録資料:204枚</p><p>外邦図22枚</p><p></p><p>海外の領域の海図10枚</p><p></p><p>旧版地形図23枚</p><p></p><p>米軍作成都市計画図18枚</p><p></p><p>駒澤大学 地理学教室からの受け入れ資料</p><p></p><p>高木正博名誉教授から 79枚</p><p></p><p>橋詰直道教授から 401枚</p><p></p><p>(千葉県内の二万分の一正式図と全国の五万分の一の地形図など)</p><p></p><p></p><p></p><p><b>学生主体の地図整理作業の意義</b></p><p></p><p> 駒澤大学マップアーカイブズの活動の特徴として、学生主体であることが挙げられる。作業方針や資料の収集、日々の整理作業は、課外活動として学生自身の自主的な活動で行われている。確かに目録の完成だけを目指すのであれば業者やアルバイトに依頼する方が短時間で完了することが期待できる。しかし、学生が時間をかけ、一枚一枚地図を読み取ってリスト化する作業の過程では作製年代や目的、作製方法、用途も様々な地図を直接読み取る経験を得ることができると考えられる。</p><p></p><p></p><p></p><p><b>駒澤大学マップアーカイブズの活動</b></p><p></p><p> 現在、学部生17名(1年生1名、2年生5名、3年生2名、4年生9名)、大学院生1名が週1回(90分)集まり整理作業を行なっている。未整理の地図資料については駒澤大学での整理番号(駒大番号)を付け、図幅名、縮尺、経緯度、製作者などを読み取りリスト化している。すでにリスト化が完了している地図は地域ごとやコレクションごとに分類し整理を続けている。また、受け入れた地図資料のうち、未整理のコレクションは地図ケースに納め管理している。</p><p></p><p> また、駒澤大学学園祭「オータムフェスティバル」や駒澤大学禅文化博物館での企画展示、地理学科の授業への資料提供を実施している。</p><p></p><p></p><p></p><p><b>今後の展望</b></p><p> これまでの外邦図、海図ばかりではなく、多くの地図資料を盛り込んだ、第3版の目録編纂作業を実施している。また、作製されてから70年以上が経過した地図も多く、退色や劣化、破損が目立つ資料も多い。今後はこうした地図の修復や管理も行う予定である。</p>
著者
小林 護 村上 優香 大槻 涼
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.151, 2020 (Released:2020-03-30)

外邦図とは、明治以降第二次世界大戦終戦まで、旧日本軍参謀本部・陸地測量部などが作成した、日本領土以外の地域の地図である。外邦図の多くは軍事用に制作されたため、実情は秘密にされてきた。また、大戦末期のひっ迫した状況や終戦時の混乱によって多くの資料が消失したため全体として何種類、何枚作られてきたかというようなデータは残っていない。また日本の敗戦直後、連合軍が進駐してくる前に多くの外邦図が焼却された(塚田・富澤2005)。 戦後70年以上が経過し、現在の景観と比較すれば、環境や土地利用、都市域など様々な変化を長期的な視点で読み取ることができると考えられる。 駒澤大学には9481枚の陸図外邦図が所蔵されている。しかし、これまでは一覧形式の目録しか作成していなかったため所蔵地図の分布や網羅状態の直感的な把握は難しかった。また、外邦図と現代では地名が大きく異なる地域が多いため、必要な地図を探すには緯度経度の数字から探すほかなかったため活用するのに多大な労力がかかっていた。そこで、目録に掲載されている図郭範囲の緯度経度データを基にインデックスマップを作成した。駒澤大学以前には岐阜図書館によるものや、それを元に発展させた東北大学附属図書館/理学部地理学教室による外邦図デジタルアーカイブ内で公開されているインデックスマップが知られている。 インデックスマップの作成にはGISソフトであるArcGIS10.7.1(ESRI)を使用した。駒澤マップアーカイブズ(2015)の各図幅の緯度経度情報を基に四端のポイントを自動処理で作成し、ArcGISの追加ツールである「ジオメトリ変換ツール」を用いてその4ポイントをつなぐ四角形のポリゴンを作成した。外邦図の中には陸地測量部が一から作成したものの他に占領時に現地で徴用しそのまま複製したものも多く含まれる。それらの地図には本初子午線を一般的な英グリニッジではなく独自の子午線を用いているものがある。それらはいずれも英グリニッジを基準とした経度に補正して用いた。また、測地系はWGS84を用いた。戦前に作られた外邦図は当然WGS84ではなくベッセル楕円体などの旧来の測地系を採用しているため多少の誤差が予想される。(1)所蔵外邦図の分布や傾向が明らかになり、面的把握が容易になったことによって従来の目録ではわかっていなかった様々な事実が後述のように明らかになった。(2)ESRI社が提供するベースマップと重ね合わせたところ予想の通り数100mの誤差が確認できた。これは前述の通り測地系の違いによるものと、当時の未熟な測量技術による測量誤差が複合して発生したものと考えられる。 駒澤大学の外邦図コレクションは東北大学らのコレクションと比較すると不完全なものであることは経験則で把握されていたが、地図の形になったことによりはっきりとわかるようになった。 従来全図幅がほぼそろっていると考えられていた地域についても実際には相当量の歯抜けがあることが判明した。 駒澤大学が所蔵する外邦図の中には緯度経度の情報がないものも一定数存在している。座標がない地図はGISを用いた処理でインデックスマップを作成できないため今後、手作業での同定が必要となる。 また、目録作成時の入力ミスと考えられる不自然な形状の地図も幾分か発見された。従来は目視による確認のみとなっていた目録記載情報の新たな確認方法としての活用も期待できる。
著者
興梠 征典 掛田 伸吾 中村 純 森谷 淳二 香月 あすか 吉村 玲児 小笠原 篤 村上 優 宮田 真里 阿部 修 渡邉 啓太 上田 一生 井形 亮平 杉本 康一郎
出版者
産業医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

うつ病患者と健常者におけるCOMT遺伝子多型とNET遺伝子多型が、脳微細構造に及ぼす影響を、MR統計画像解析を用いて検討した。3次元高分解能MR画像による脳容積解析では、COMT遺伝子多型のMet carrier群において、健常群に比し患者群では尾状核の体積が有意に小さかった。Valine/ Valine型においては差がなかった。NETではG1287A多型において有意な関連が見られ、G/A型やA/A型に比べG/G型では左前頭前皮質の容積減少の程度が、健常群よりも患者群において有意に大きかった。これらの所見が、MDD患者の症状に関連している可能性が示唆された。
著者
宮下 武則 森 芳史 村上 優浩
出版者
香川県農業試験場
雑誌
香川県農業試験場研究報告 (ISSN:03748804)
巻号頁・発行日
no.57, pp.1-10, 2005-03

移植期と施肥法を変えた3年間の栽培試験結果を用いて、登熟期の気温が「ヒノヒカリ」の玄米品質とタンパク質含有率に及ぼす影響を検討した。1.「ヒノヒカリ」は、登熟期間中に高温に遭遇することによって玄米品質が低下しやすい品種である。登熟期の平均気温が24℃を超える場合、あるいは出穂後10日間の平均気温が27℃を超える場合は、主に高温の影響で玄米品質が低下する。2.登熟期の平均気温が23-24℃の場合は、単位面積当たり籾数の過剰によって玄米品質が低下する。この温度域で玄米品質を確保するためにはm2当たり籾数を2万8千粒以下にする必要がある。3.タンパク質含有率は、施肥窒素量だけでなく登熟期の気温によっても変化し、平均日最低気温が17℃以下もしくは平均気温が22℃以下の時は、それ以上の気温の時よりも低くなる。4.気象生産力指数から推定した香川県の平坦部における玄米品質と食味の向上のための最適出穂期は、8月30日から9月3日までであった。
著者
伊藤 善也 奥野 晃正 村上 優利香 内山 聖 岡田 知雄 坂本 元子 梁 茂雄 衣笠 昭彦 貴田 嘉一 大関 武彦 本田 悳 村田 光範
出版者
日本小児保健協会
雑誌
小児保健研究 (ISSN:00374113)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.752-756, 1996-11-30
参考文献数
11
被引用文献数
26

平成2年度厚生省身体発育調査結果から得られた身長別体重表を基礎資料として身長に対応する平均体重を求めた。さらに各身長と平均体重の二次回帰分析により体重の身長への回帰を二次相関式として表した。その二次回帰式は男児ではy=1.83×10^<-3>x^2-0.071x+4.43,女児ではy=2.34×10^<-3>x^2-0.157x+7.71(y:標準体重(kg),x:実測身長(cm))である。この二次回帰式を標準体重を表わす標準身長体重曲線とし,これに肥満度?30%,+20%,+15%,-15%と-20%の曲線を加えたチャートを肥満度判定用に作成した。この肥満度判定チャートを用いれば視覚的に容易に肥満度を判定できる。また経過観察や教育指導用の材料として用いることができる。