著者
白勢 彩子
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.41-50, 2004-09-30 (Released:2017-04-30)

本研究では,幼児期における単語アクセントの獲得過程と,それに影響を及ぼすものと考えられる,幼児が生育する環境に出現する語彙におけるアクセントについて,日本語の代表的な方言アクセントを対象とした比較研究を行なった.対象は共通語アクセント(東京方言),京都方言アクセント,鹿児島方言アクセントの3体系である.単語アクセントの発話実験を幼児に行なったところ,東京および京都方言アクセントとは異なって,鹿児島方言アクセントでは成人と異なるアクセントを生成する,すなわち誤りのアクセントを生成するとの結果であった.この結果は,幼児がアクセントを誤って獲得することがないという従来の見解が言語普遍的ではないことを示唆するものである.幼児を取り巻く環境のアクセント分布を調査したところ,東京方言および京都方言ではアクセントに偏りが見られる一方で,鹿児島方言ではアクセントに偏りが見られなかった.この調査結果と上記実験結果とを総合的に検討し,幼児の単語アクセント獲得過程を議論する.
著者
白勢 彩子
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.41-50, 2004

本研究では,幼児期における単語アクセントの獲得過程と,それに影響を及ぼすものと考えられる,幼児が生育する環境に出現する語彙におけるアクセントについて,日本語の代表的な方言アクセントを対象とした比較研究を行なった.対象は共通語アクセント(東京方言),京都方言アクセント,鹿児島方言アクセントの3体系である.単語アクセントの発話実験を幼児に行なったところ,東京および京都方言アクセントとは異なって,鹿児島方言アクセントでは成人と異なるアクセントを生成する,すなわち誤りのアクセントを生成するとの結果であった.この結果は,幼児がアクセントを誤って獲得することがないという従来の見解が言語普遍的ではないことを示唆するものである.幼児を取り巻く環境のアクセント分布を調査したところ,東京方言および京都方言ではアクセントに偏りが見られる一方で,鹿児島方言ではアクセントに偏りが見られなかった.この調査結果と上記実験結果とを総合的に検討し,幼児の単語アクセント獲得過程を議論する.
著者
白勢 彩子 原 直 藤村 浩司 伊藤克亘 武田 一哉 板倉 文忠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.124, pp.253-258, 2003-12-19

本研究は,音声対話システムの利用に必要な知識,技術の学習過程および問題点を明らかとし,これらがシステム評価に与える影響を検討するため,実システムを用いた観察実験を行ない,それによって得られた結果に基づいて,ユーザの達成度とアンケートによるシステム評価との関連性に関する基礎的な議論を行なった.分析の結果,発話認識率と発話数とに相関がある評価項目はほとんどなく,むしろ,会話満足度,システム理解度と多く関連することが明らかとなった.従来,認識率とシステム評価とがよく一致することが知られているが,他の観点からの評価も考慮する必要があることが示唆された.今後は,被験者数を増大させて条件を統制した実験を行ない,より詳細な議論をしていきたい.This study aims to describe user problems and process of learning skill in using spoken dialogue systems and to reveal how these impact on the evaluation of the system usefulness. For this aim, we designed a new dialogue system and carried out a field test for a large number of subjects and asked them to evaluate the usefulness of the system. The results showed that the evaluation of the system did not correlate a recognition rate but user satisfaction and comprehension. This suggested that the spoken dialogue systems should be evaluated in terms of user factors. Controlled experiments are needed to discuss in detail.