著者
小嶋 汐美 福島 弘子 白木 まさ子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.83-89, 2020 (Released:2020-02-01)
参考文献数
15

保育園児を対象に、色変わりチューインガムを用いて咀嚼力測定を行い、咀嚼力の違いと児の属性、食事の状況、子どもの咀嚼に対する保護者の意識等との関係を調べた。兄弟・ 姉妹数が2人よりも1人または3人以上の児、また女児より男児の咀嚼力が高い傾向にあっ た。咀嚼力が高い児は硬い食品から軟らかい食品まで幅広く食べていたが、咀嚼力が低い児は、軟らかい食品に偏り気味であった。今回の試みは、児の噛むことへの関心を高め、また保護者自身や子どもの咀嚼や食に関する意識を変え、咀嚼力を高める取り組みを促す 効果があったと考える。
著者
白木 まさ子 貝沼 やす子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.525-532, 1977-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
7
被引用文献数
1

1) 牛乳羮の調製にあたり, 牛乳の添加量が多いほど牛乳羮の硬さ, もろさが減少する.2) 牛乳の添加量が多いほど牛乳羮の凝集性が増加し, 離漿が減少する.これは牛乳羮の性状の安定性が増加するためと思われる.3) 牛乳羮の離漿には比較的多量のカゼインと少量の脂肪が含まれているので, やや青味がかった白色を呈する.4) 牛乳成分のうち, カゼインと脂肪は強固な結合状態を保ちながら牛乳羮の硬さに影響をおよぼす.5) バター, カゼイン添加試料による牛乳美の硬さ, もろさはおのおのの添加量に影響され, 特に, カゼインの場合は添加量が増えるほど硬さ, もろさは減少する.
著者
白木 まさ子 貝沼 やす子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.651-657, 1979-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
13

最初に, A法 (卵白のみをおもに起泡する別立て法1), B法 (卵白, 卵黄を別々に起泡する別立て法2), C法 (全卵を起泡する共立て法) によって調製したスポンジケーキの品質について比較検討した.次に, これらの調製方法との関係において, 小麦粉混合のための攪拌の程度およびケーキ生地の放置が焙焼前のケーキ生地の安定性に及ぼす影響を知るため実験を行った.1) A法とB, C法の間に相違がみられ, B法とC法は似た傾向を示す.A法によればケーキのきめは密で均一性にすぐれているが, 比容積が小さく, ややかためとなる.外形は中央部が高い山型で, 表皮の焼き色は黄褐色を呈する.B, C法はきめが粗く, 均一性ではA法に劣るが比容積が大きく, A法に比べやわらかい.外形はなだらかな直線型で焼き色は褐色である.2) (卵+砂糖) 攪拌液と小麦粉を混合するときは短時間の軽い攪拌が望ましい.C法ではさっくり軽く混ぜる程度 (G-Emixer, No. 1で15秒) にとどめるべきであり, A法ではC法以上の攪拌 (G-Emixer, No. 1で30秒) であってもよい.しかし, 過度の攪拌 (G-Emixer, No. 1で1分) になると比重の増加, 粘度の低下が著しい.3) ケーキ生地の放置は, A, B, C法とも40分以内であればケーキ生地の安定性にほとんど影響を与えない.しかし放置60分ではケーキ生地の比重と粘度の増加が認められる.
著者
竹下 登紀子 白木 まさ子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
榮養學雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.15-24, 2010-02-01
参考文献数
36

企業の社員1081名(男性815名,女性266名)を対象に2006年に行った身体計測,生活習慣に関する質問紙調査,定期健康診査の結果を基に,メタボリックシンドロームの発生状況,青年期と現在の体型と生活習慣との関連等を検討した。<br>BMIによる体型区分では,「やせ」は40歳未満の男性で10.4%,女性で27.3%,「肥満」は男性40歳未満で17.9%,40歳以上で20.3%,女性では各々7.8%,14.3%であった。体型の自己評価では,男性40歳未満では「やせている」の半数,「太っている」の7割,40歳以上群の「やせている」「太っている」の約7割がBMIによる体型区分では「普通」に該当していた。女性では,40歳未満,以上群ともに「太っている」の約8割「普通」体型に該当した。体型チェック・維持する方法は,「体重測定」が最も多く,次いで,男性は「ベルトの穴の位置」,女性では「鏡,ガラスに映った姿」が多かった。メタボリックシンドロームが強く疑われる者およびその予備群の割合は,男性で7.7%,38.1%,女性で3.0%,6.0%であった。腹囲による肥満区分では,肥満者,非肥満とも,40歳未満よりも40歳以上群の有所見率が高く,それは血中脂質,血糖に比べて,血圧で顕著だった。40歳以上の男性において,現在肥満体型の者は,20歳時肥満者では8割,20歳時非肥満者では16.3%であった。20歳時肥満者は非肥満者に比べ現在の有所見数が多くなっていた。20歳時・現在ともに肥満群では食べ過ぎやジュース,炭酸飲料の多飲,ストレス発散のための飲食など不適切な食習慣が継続されていることや運動習慣をもつものが少ないことが示唆された。<br>40歳以上に限らず,若年層に対しても肥満予防やメタボリックシンドローム対策が重要と考える。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
沼倉 久枝 白木 まさ子 寺元 芳子 大石 みどり
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.150-155, 1981-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

煮物における急速加熱と緩慢加熱のちがいを官能検査および糖, アミノ態窒素の定量などにより検討した. その結果は次のとおりである.1) 急速加熱と緩慢加熱とのちがいは, 煮汁の味においては有意差が認められなかったが, 糖量, アミノ態窒素量の測定では, 緩慢加熱のほうが煮汁への溶出が多かった.2) 緩慢加熱で食品の入れ時を変えた場合, 水から入れるよりも沸騰時に入れるほうが糖, アミノ態窒素の溶出率は大差ないが, 煮汁の色, 泡立ちなどに差がみられ, 官能検査の結果からも沸騰時に食品を入れたほうがあくっぽさが少なかった.3) 食品の味は, 煮汁への溶出の多い緩慢加熱のものが評価が低く, とくにじゃがいもは不評であった.4) 緩慢加熱によってとくに糖が生成されるということは認められなかった.今回は食品を同量ずつ加熱して官能検査の試料としたことと, 緩慢加熱を間接加熱の方法で行ったために, たまねぎの臭いが強く残り, とくに緩慢加熱のほうが好まれなかった. 材料配合をくふうし, 蒸気が自由に揮散できる加熱器具を用いれば, 上記の結果から汁ごと食べるシチューなどでは緩慢加熱のほうが好まれると思われる.ただし, 最初から緩慢に加熱すると酸化酵素の活性化が起こりやすいので, 沸騰までは強火で急速に加熱するか沸騰時に食品を入てから緩慢加熱するほうがよい.