著者
池尻 良平 山本 良太 仲谷 佳恵 伏木田 稚子 大浦 弘樹 安斎 勇樹 相川 浩昭 山内 祐平
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.31-44, 2020 (Released:2020-09-17)
参考文献数
16

近年の高校の歴史教育では,ある時代の因果関係を多面的に分析する歴史的思考力の育成が重視されている。しかし,歴史的思考力の程度が多様な中堅高校において,各生徒の思考力や関心に合わせて柔軟に歴史的思考力を育成できる授業モデルは確立されていない。そこで本研究では,中堅高校における生徒の多様な関心に対応できる動画を複数用意して事前に学習させ,その学習内容をグループで組み合わせることで,ある時代の因果関係を多面的に分析する歴史的思考力を育成するアラカルト型反転授業を開発した。授業実践を通した評価の結果,事前に比べて事後で歴史的思考力が有意に向上し,中程度の効果があることが示された。また,事前ではクラス内での歴史的思考力にばらつきがあったのに対し,事後では26名中25名が中レベル以上の歴史的思考力を身につけていることも示された。さらに,生徒の関心の多様性についても対応できた上で,該当時代の関心が事後で有意に向上し,小~中程度の効果があることが示された。
著者
池尻 良平 相川 浩昭 池田 めぐみ
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.27-37, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
15

本研究では,教科書とパワーポイントを使って歴史の内容解説をした後,Googleフォームを用いて生徒が生成した問いに対して教師が回答する世界史の授業形式が,歴史の関心と自立的な探究の態度にどの程度効果があるかを測定した。その結果,歴史の関心に含まれると考えられる実践的利用価値と私的獲得価値が事後で有意に増加した一方,興味価値は有意に増加しなかった。また,自立的な探究の態度で重要だと考えられる適応的要請については事前事後で差がなかった。加えて,生成した問いの数による,歴史の関心と自立的な探究の態度への影響も見られなかった。以上より,本授業形式は歴史の関心には部分的な効果がある一方,自立的な探究の態度に対しては不十分だったことが示された。これらの結果を踏まえ,今後の授業形式や教育メディアの活用法を考察した。