著者
池尻 良平 山本 良太 仲谷 佳恵 伏木田 稚子 大浦 弘樹 安斎 勇樹 相川 浩昭 山内 祐平
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.31-44, 2020 (Released:2020-09-17)
参考文献数
16

近年の高校の歴史教育では,ある時代の因果関係を多面的に分析する歴史的思考力の育成が重視されている。しかし,歴史的思考力の程度が多様な中堅高校において,各生徒の思考力や関心に合わせて柔軟に歴史的思考力を育成できる授業モデルは確立されていない。そこで本研究では,中堅高校における生徒の多様な関心に対応できる動画を複数用意して事前に学習させ,その学習内容をグループで組み合わせることで,ある時代の因果関係を多面的に分析する歴史的思考力を育成するアラカルト型反転授業を開発した。授業実践を通した評価の結果,事前に比べて事後で歴史的思考力が有意に向上し,中程度の効果があることが示された。また,事前ではクラス内での歴史的思考力にばらつきがあったのに対し,事後では26名中25名が中レベル以上の歴史的思考力を身につけていることも示された。さらに,生徒の関心の多様性についても対応できた上で,該当時代の関心が事後で有意に向上し,小~中程度の効果があることが示された。
著者
佐藤 智文 平野 智紀 山本 良太 石橋 純一郎 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46094, (Released:2022-09-27)
参考文献数
7

本研究の目的は,GIGA スクール構想による1人1台端末整備直後におけるICT 活用の促進要因を明らかにすることである.川崎市内の小学校教員(N=997)を対象として,教員の年代,GIGAスクール構想推進講師(GSL)担当,ICT 活用歴,GIGA 以前からICT を活用していたこと,ICT活用に対する自信,がGIGA 後のICT 活用に対する認識に及ぼす影響を検討した.分析の結果から,GIGA 後のICT 活用には,「年次の若さ」「GIGA 以前のICT 活用」「自信」が有効であること,ICT 活用歴の長さだけではGIGA 後のICT 活用には寄与しないこと,年代の高い教員においてICT活用への自信を持つことの効果が高いこと,が示唆された.
著者
池尻 良平 山本 良太 中野 生子 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S45057, (Released:2021-11-02)
参考文献数
6

本研究では,ICT を利用した,ジグソー法のエキスパート活動における知見の同期的収集が,教師のモニタリングと介入にどのような影響を与えるかを,机間巡視のみの場合と比較して調査した.その結果,内容を含めた俯瞰的なモニタリング,各専門家グループのキーワードのシェア度合いに関する俯瞰的なモニタリングと各グループ内のシェアを促す介入,普段は優先順位の低い上位層のモニタリングを促す可能性が示された.
著者
山本 良太 鈴木 慶樹
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.4, pp.25-32, 2021-12-03 (Released:2021-12-03)

本研究では,結びつきが弱いと想定される正課と正課外の学習活動がどう連関しキャリア展望を軸にした学習へ発展するか,という問いから,著者間の対話データを分析した.その結果,正課にはキャリア展望を意識させるシステムがあり,学生は状況や環境に支えられながら正課や正課外を問わず没入を通じた学習へと参加し,双方を接続させる機会を通じて経験を掘り起こしながらキャリア展望を具体化する可能性が示唆された.
著者
佐藤 智文 吉中 貴信 平野 智紀 山本 良太 石橋 純一郎 杉本 昌崇 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2023, no.1, pp.112-118, 2023-05-05 (Released:2023-05-05)

川崎市教育委員会により行われた教員調査に基づき,GIGAスクール構想におけるICT活用の小学校・中学校比較を行った.その結果,端末整備後のICT活用は両校種ともに向上していること,授業での活用場面においては小学校の方が進んでいること,ICT利用の指導は小学校と中学校で力点が異なることが分かった.またICT活用高低群の比較では,実験や観察等の手順説明や発表場面は小学校で活用されやすいこと,教師の課題提示や学習理解の深化,子ども同士の相互学習に関しては,小中で同程度であることが分かった.
著者
山本 良太 池尻 良平 中野 生子 山内 祐平
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.31-49, 2022 (Released:2022-10-07)
参考文献数
20

本研究では,プロジェクト学習においてクラウドのアプリケーションを用いて教員がどのように学習者にフィードバックを与えているのか詳細を把握し,その結果から具体的方略を考察することを目的とした。Google スプレッドシートを活用したプロジェクト学習を実践した教員のフィードバックとその意図を分析した結果,生徒が記入したセルへの【色付けによる全生徒への即時フィードバック】および【生徒間の相互参照促進】というクラウドの高い同期性を生かした方略によって,教室全体のモニタリングとフィードバックを行っていた。また,教員は実践前には想定していなかったフィードバック方略を即興的に生成し,より踏み込んだフィードバックを行っていた。このことから教員はクラウドの高い同期性を生かすこと,またクラウドの特徴を踏まえつつ学習者との相互作用を通じて適切なフィードバックを探索し実践することが重要であることが分かった。
著者
池尻 良平 山本 良太 中野 生子 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.Suppl., pp.109-112, 2021-12-20 (Released:2022-02-02)
参考文献数
6

本研究では,ICT を利用した,ジグソー法のエキスパート活動における知見の同期的収集が,教師のモニタリングと介入にどのような影響を与えるかを,机間巡視のみの場合と比較して調査した.その結果,内容を含めた俯瞰的なモニタリング,各専門家グループのキーワードのシェア度合いに関する俯瞰的なモニタリングと各グループ内のシェアを促す介入,普段は優先順位の低い上位層のモニタリングを促す可能性が示された.
著者
村上 佑希 山本 良太 西村 憲明 上薗 拓郎 山岸 義和
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.39-53, 2018 (Released:2018-03-25)
参考文献数
12

概要. 一本のねじれのない紙の閉じた輪を折って,正四面体の形にすることができる.そのような折り紙展開図は,既約分数p/qで番号づけされる.また,そのような紙の輪を変形させて切ることにより,正四面体を凸多角形に切り開く展開図が系統的に得られる.
著者
久保田 賢一 久保田 真弓 岸 磨貴子 今野 貴之 山本 良太 関本 春菜 鳥井 新太 井上 彩子 上館 美緒里 (山口 美緒里)
出版者
関西大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、高等教育におけるグローバル人材を育成する学習環境をデザインするための要件を明らかにすることである。事例としてグローバルなフィールドで働く卒業生を多く輩出するX大学を取り上げ、卒業生に対する調査から現在とつながる学習環境について抽出した。結果、①大学入学前の学生個々の経験とグローバルなフィールドで働くことの接続、②本当にやりたいことの問い直しの機会、③意思を後押しする他者関係、④グローバルなフィールドで働くための領域設定と能力形成の機会、が学習環境として重要であることが示唆された。
著者
岩崎 千晶 村上 正行 山田 嘉徳 山本 良太
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

研究課題①「正課と学習支援の連環によるディープラーニングを促すデザイン要件の提示」に関しては、日本語ライティングにおいてライティングセンターを活用した学習者の個別傾向を分析し、リピーターへとつなげるための学習支援の手立てを検討した。また学習の深化を目指し、ICTを活用したライティング指導の実践研究を行った。学習支援には、個別指導に加えて、自主学習用の教材開発も含まれるため、英語・日本語ライティング教材を開発し、正課と学習支援の連環による学びの深化に取り組んでいる。「研究課題②多様なアクターが関わるラーニング・コモンズにおける学びのプロセスモデルの提示」では、各大学がどのように学習者の学びを評価しているのかについて調査を行った。具体的にはCiNiiを活用し、ラーニング・コモンズの評価を扱う論文66件を分析した。調査の結果、質問紙調査、観察調査、インタビュー調査の順で調査法が採用され、量的な調査が75%を占めた。今後、学びのプロセスや成果を明らかにするためには、質的な調査やラーニング・コモンズにおける理念(育むべき学習者像)に関する議論の重要性を示した。特に学習成果に関しては汎用的な能力が評価指標となっていたため、本研究で指摘した学習者にとっての学習概念の更新を促す「照射」の概念を取り入れる必要性を確認した。「研究課題③学習支援を提供する組織における学生スタッフを含めた教職員を対象としたSD・FD研修プログラム・eラーニングの開発と評価」では、教育の質保証、授業設計、評価方法、ICT活用、学習環境をテーマに研修プログラムを開発し、運営・評価をした。またライティング研修の中から、ライティングの理念・学習支援の歴史等のプログラムをeラーニング教材として提供するための資料教材を完成させた。またライティングの学習支援に関する指導モデルを提供するため、eラーニング教材を開発した。