著者
相羽 大輔 奈良 里紗 増田 雄亮 鈴木 祥隆
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.47-58, 2019

<p>本研究は、弱視学生が見えにくさを補う手段(弱視レンズ条件・接近視条件・タブレット条件)を使いながら学習・生活する様子を画像で提示した場合に、それらが健常学生の態度に及ぼす効果の違いを検討した。382名の健常学生に対し、弱視学生の画像付き説明文に基づく3条件を無作為にひとつ提示し、障害者イメージ尺度(不便さ尺度・尊敬尺度)、弱視学生支援サービス尺度(授業支援尺度・成績評価尺度・組織支援尺度)への回答を求めた。その結果、タブレット条件と接近視条件のときの方が不便なイメージになったものの、弱視学生支援に関するすべての下位尺度でタブレット条件のときの方が他の条件よりも消極的な評価になった。また、健常学生は女子の方が男子よりも肯定的なイメージを持ち、弱視学生支援に対する態度もすべての下位尺度で肯定的であった。これらの結果が弱視学生の障害開示や援助要請を補助する手立ての手がかりになるものと示唆された。</p>
著者
益子 徹 相羽 大輔 奈良 里紗
出版者
日本福祉教育・ボランティア学習学会
雑誌
日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要 (ISSN:24324086)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.32, 2018 (Released:2019-12-16)

本研究では援助要請者に対する周囲の対応方略とその対人印象の違いを、要請者特性との関係から 明らかにすることを目的とした。対象者は都内の私立大学で障害分野を専攻しない学生144名であり、質問 紙調査を実施した。各要請者(視覚障害のある人・赤ちゃんづれの母子)への対応方略と対人印象につい て尋ねた。対応方略では、視覚障害条件と母子条件の対応には質的な違いが認められ、χ2 検定及び残差分 析の結果、視覚障害条件の方が母子条件よりも【能動的な援助の提供】の人数が多く、【援助への消極的態度】 の人数が少ないことが明らかとなった。対人印象では、因子分析の結果、3 つの因子(社会的不利因子、 反助力因子、交流志向性因子)が示され、視覚障害条件はより不自由で困難な印象が強く、母子条件はよ り交流しにくい印象が示された。要請者特性によって、周囲の対応が異なることが明らかにされたことから、 様々な特性理解に広がる実践の観点を取り入れた教育内容・方法の開発が必要と考えられる。