著者
眞鍋 敬
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.400-401, 2008-08-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4

酸と塩基(ルイス酸とルイス塩基)の親和性の傾向を理解しやすくする概念として,硬い酸・塩基および軟らかい酸・塩基という考え方が導入されている。一般に,硬い酸は硬い塩基と高い親和性を持ち,逆に軟らかい酸は軟らかい塩基と高い親和性を持つ。この考え方は,酸と塩基の熱力学的な親和性の理解だけでなく,反応速度の理解にも役立つものである。
著者
眞鍋 敬
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.454-457, 2008-09-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
8

ラジカルとは,不対電子を持ち,反応性に富んだ活性種のことである。ラジカルは,その高い反応性ゆえに様々な反応に関与する。ラジカルが関与する素反応には,開裂反応・引抜反応・付加反応・ラジカルカップリング・不均化などがあり,さらにそれらが組み合わさることにより,連鎖的なラジカル反応が起きる。ラジカルを利用する種々の分子変換法が開発されており,多くの有用物質の化学合成において,ラジカル反応は重要な役割を果たしている。
著者
小西 英之 眞鍋 敬
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.310-314, 2014 (Released:2016-06-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

一酸化炭素(CO)は有機合成において最も重要な一炭素源として,古くから現在に至るまで実験室や工業プロセスに広く用いられている.しかしCOは無色無臭の気体であり,人間にはその存在が感知できず,さらにはわずか0.1%という低濃度ですら生命を脅かすほど危険な化合物でもある.このような高い毒性を有するCOは,入手容易ではあるが非常に扱いにくい物質であり,実験化学者たちもなるべく使いたくないというのが本音である.このような背景のもと,毒性の高いCOガスに代わる安全なCO等価体の開発を望む声が自然と高まってきた.実際,過去20年ほどで様々なCO代替品が発見されており,それらを用いる有機合成反応も数多く報告されている.筆者らは,ギ酸エステル等のギ酸誘導体が温和な条件下でCOを発生できることを見いだし,それを従来のCOガスの代わりに利用する実用的な有機合成反応の開発を行ったので,ここに紹介する.