著者
平田 健一郎 辰口 治樹 望月 環 三谷 正信 矢花 剛 福田 守道
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.323-332, 1992-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
13
被引用文献数
1

胃平滑筋腫19例と胃平滑筋肉腫8例について超音波内視鏡(EUS)による超音波断層像を検討し,良・悪性の鑑別診断を試みた.腫瘍の最大径で両者を比較すると平滑筋腫では3.9±1.9cm,平滑筋肉腫では9.9±5.9cmで有意差(p<0.0005)を認めた.腫瘍の最大径別に3cm未満,3~8.9cm,9cm以上の3段階に分類し超音波断層像を検討した.3cm未満では7例中6例が平滑筋腫で,その超音波断層像は辺縁整,内部エコー均一(1例のみ不均川一),径1cm以上の嚢胞(-)で特徴的であった.また,9cm以上の大きな腫瘍は4例全例が平滑筋肉腫で径1cm以上の嚢胞を有していた.しかし3~8.9cmの範囲の腫瘍16例では超音波断層像の組合せで鑑別診断を試みても正診率は60%台に留まった.以上より,最大径3cm未満および9cm以上の腫瘍はEUSでほぼ的確に良・悪性の鑑別が可能であるが,3~8.9cmの腫瘍は鑑別が困難な場合があり,生検を含む積極的なアプローチが必要と考えられた.