著者
木下 喬公 端野 琢哉 矢部 光一郎 藤原 周一
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.655-659, 2016-11-01 (Released:2016-11-01)
参考文献数
15

単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus, HSV)感染症では多彩な症状が発現するが,その中の肝炎が劇症化することは稀である。今回我々は,HSV感染から劇症肝炎・ウイルス関連血球貪食症候群に陥った一例を経験したので報告する。症例は26歳,女性。発熱・全身倦怠感を主訴に,他院に急性肝炎の診断で緊急入院した。肝機能障害が改善せず,加療目的で当院消化器内科に入院となり,翌日,全身管理目的にICU入室となった。入室時,身体所見および血液検査所見より劇症肝炎,血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome, HPS),DIC(disseminated intravascular coagulation)と診断し,血漿交換療法・ステロイド大量療法・免疫抑制療法を開始した。ウイルス抗体検査および肝生検の免疫染色の結果でHSV感染によるものと診断し,抗ウイルス薬投与も追加した。以上の治療が奏功し,入室後13日目にICU退室となった。HSV肝炎の劇症化は稀ではあるが,治療の遅れは予後に影響を与える。HSV劇症肝炎が疑わしい場合には,早期に生検を考慮することも必要である。
著者
矢部 光一 村上 要一 西田 里織 関口 正保 古濱 和久 御領 政信 岡田 幸助
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.867-872, 2001-08-25
被引用文献数
1 14 11

ニューキノロン系抗菌剤ofloxacinの5, 10および20mg/kg/dayを雄の3ヵ月齢の幼若犬に8日間反復経口投与し, 関節症誘発に対する無影響量と血清および関節軟骨内濃度を調べた. 肉眼的に, 上腕骨および大腿骨関節軟骨に水疱形成を特徴とした関節症が10および20mg/kg/day投与群でみられた. しかし, 5mg/kg/day投与群ではこれらの変化は全く認められなかった. 病理組織学的には, 水疱は関節軟骨中間層の空洞として認められ, 空洞周囲では軟骨細胞の壊死, それに引き続き軟骨細胞のクラスター形成が観察された. 薬物動態解析では, 最高血清中濃度(C_<max>)および血清中濃度下面積(AUC_<0-24>)が用量依存的に増加したが, これらは単回および反復投与時には明らかな差異は認められず, 薬剤の蓄積性がないことが示唆された. なお, 最終投与2時間後におけるofloxacinの関節軟骨内濃度は血清中濃度の1.8 (day 2)から2.0 (day 8)倍の値を示した. 以上の結果より, 本実験条件下では, 幼若犬におけるofloxacinの8日間反復経口投了時の関節症誘発に対する無影響量は5mg/kg/dayであり, そのC_<max>, AUC_<0-24>および関節軟骨内濃度はそれぞれ3.4μg/ml, 35.1μg・hr/mlおよび7.0μg/gであった. したがって, 血清中ofloxacin濃度より関節症の発現が予測できると考えられた.