著者
山尾 忠直 中上 博秋 古濱 和久 小野寺 威 黒崎 勇二 中山 太二 木村 聰城郎
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.17, no.5, pp.691-695, 1994-05-15 (Released:2008-04-10)
参考文献数
16
被引用文献数
6 6

The pharmacokinetics of tolbutamide (TB) following intravenous and oral administration was compared between normal rats and rats with experimentally-induced obstructive jaundice (OJ). The plasma concentration-time curve of i.v. administered TB was lower in rats with OJ, in comparison with normal rats. The result of the pharmacokinetic analysis showed no change in the elimination rate constant, but a significant increase in the volume of distribution in the OJ state. The increase in the volume of distribution of TB could be explained by the decreased protein binding in plasma. In the case of oral administration, the elevation of the plasma concentration was slow and the plasma concentration profile was remarkably low in rats with OJ. The rate of TB disappearance from the small-intestinal lumen was delayed in the OJ state, and its marked accumulation in the tissues of the small intestine and the liver was observed. This retarded uptake by the small-intestinal mucosa and subsequent pre-systemic accumulation might, at least in part, be the reason for the slow appearance in the systemic plasma in the OJ state.
著者
矢部 光一 村上 要一 西田 里織 関口 正保 古濱 和久 御領 政信 岡田 幸助
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.867-872, 2001-08-25
被引用文献数
1 14 11

ニューキノロン系抗菌剤ofloxacinの5, 10および20mg/kg/dayを雄の3ヵ月齢の幼若犬に8日間反復経口投与し, 関節症誘発に対する無影響量と血清および関節軟骨内濃度を調べた. 肉眼的に, 上腕骨および大腿骨関節軟骨に水疱形成を特徴とした関節症が10および20mg/kg/day投与群でみられた. しかし, 5mg/kg/day投与群ではこれらの変化は全く認められなかった. 病理組織学的には, 水疱は関節軟骨中間層の空洞として認められ, 空洞周囲では軟骨細胞の壊死, それに引き続き軟骨細胞のクラスター形成が観察された. 薬物動態解析では, 最高血清中濃度(C_<max>)および血清中濃度下面積(AUC_<0-24>)が用量依存的に増加したが, これらは単回および反復投与時には明らかな差異は認められず, 薬剤の蓄積性がないことが示唆された. なお, 最終投与2時間後におけるofloxacinの関節軟骨内濃度は血清中濃度の1.8 (day 2)から2.0 (day 8)倍の値を示した. 以上の結果より, 本実験条件下では, 幼若犬におけるofloxacinの8日間反復経口投了時の関節症誘発に対する無影響量は5mg/kg/dayであり, そのC_<max>, AUC_<0-24>および関節軟骨内濃度はそれぞれ3.4μg/ml, 35.1μg・hr/mlおよび7.0μg/gであった. したがって, 血清中ofloxacin濃度より関節症の発現が予測できると考えられた.
著者
稲毛 富士郎 古濱 和久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.335-340, 1997-05-25
被引用文献数
1 2

肝障害時における肝臓残存予備能を推定する指標として, ヒト臨床ではICGの最大除去速度(Rmax)が繁用されている. しかし, ICG Rmaxの測定には短時間内に異なる用量での血漿中消失率(R)を求める必要があるため, 頻回採血の煩雑さや, 侵襲という点から, 覚醒ラットへの応用はこれまで殆ど試みられていなかった. 今回, ラット尾静脈からの微量採血法を用いて, ICG Rmaxの測定を可能にし, 肝障害モデルでその有用性を検討した. 実験には雄SD系ラットを用いた. その結果, ICGの投与量は2.5, 5, 10あるいは20 mg/kgの3-4用量が適切であり, 採血時間は, 投与前, 投与4, 7および10分後が最適であった. また, 各ICGの負荷は4時間以上間隔をあければ残留はなく, 必要全採血量は0.5 ml前後であった. 本条件下で2種の部分肝切除ラットで残存肝重量とICG Rmaxの関係を調べたところ, 得られた残存値はほぼ一致していた. 次に, 四塩化炭素(CCl_4: 0.1および0.25 ml/kg)をラットに17週間(3回/週)皮下投与し, 同一個体でICG Rmaxと血清生化学パラメータの推移を検討したところ, CCl_4投与50日以降, ICG Rmaxの低下と血清アルブミンおよびコリンエステアーゼの低下に有意な相関性が認められた. 以上のことより, ラットにおいてもICG Rmax測定は肝臓残存予備能の推定に有意であると結論した.