- 著者
-
石井 晃
志築 文太郎
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.2, pp.657-669, 2018-02-15
スマートウォッチのような超小型タッチスクリーン端末(以降,超小型端末)に搭載されるタッチスクリーンは,身に付けるという特性上,小型で軽量であることが要求されるため超小型である.そのため,Fat finger problemやオクルージョンの問題が発生し,ユーザは小さなターゲットを選択しにくい.この問題は,ふきだし表示を用いて操作している指によって遮蔽されている領域を遮蔽されていない領域へ表示することにより解決することができる.しかしながら,超小型端末向けのふきだし表示のデザインについてはこれまで深く調査されてこなかった.本論文では,3つのデザイン要素(それぞれの要素には2つの水準を設けた)を選び,そして超小型端末上の選択タスクにおいて8つのふきだし表示の性能を実験的に調査した.実験の結果,先行研究における結果と一部一致したが,超小型端末ならではの結果も得ることができた.ふきだし表示内の表示はなめらかに変化させたほうが選択速度が速く,エラー率も減少し,また精神的負荷も減少した.また,ふきだし表示内に正確なタッチ位置を示すポインタを表示したほうがエラー率が減少した.デザイン要素としてのふきだし表示の位置は選択タスクにおける性能に影響を与えなかった.