著者
浅谷 公威 川畑 泰子 鳥海 不二夫 坂田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

オンラインソーシャルネットワーク(OSN)上の友人関係やその中での会話のネットワーク構造は,同類選好と優先的選択によりその多くの部分が説明される.しかし,これらのメカニズムには特定の属性を持つ人間への別の属性を持つ人間からの一方的な選好は想定されていない.OSNには地理的制約がなく検索性も高いため,一方的な選好によるコミュニケーションが起こりやすいと考えられる.我々はTwitterにおける家出に関するツィートとそれに対するリアクションを抽出し,ユーザー間のネットワークを分析することで,OSN上に数千人単位の一方的な選好によるコミュニケーションが存在すること確認した。そこでは,お互いに関係が疎な2つのグループ間(誘い出す側と,家出を表明する側)で一方向のコミュニケーションが存在する.さらに、前者のグループのユーザーの2割程が後者への一対多のコミュニケーションをとっており,明確な一方的な選好が存在することが想定される.また,そのような一対多のコミュニケーションをとるユーザーからのツィートは誘い出しの意図が想定される割合が非常に高いことが分かった.
著者
川畑 泰子 源田 悦夫 石井 晃
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.346-353, 2015-09-18

最近では Web 上での広告や, SNS を活用しパフォーマー自身やプロモーターの興行側 から, 公演や出版などの情報 を, 直接ファンや一般に Web 等で発信することが増えている.Web 上での情報をパフォーマーとともに主に情報を発 信するプロモーターとパフォーマーの情報を積極的に送受信するファンの間での情報のやり取りが Web 上でのパフ ォーマーに関する情報を増やし, 活動の方針のヒントにできた. また舞台公演やコンサート興行, テレビ出演などあ らゆるメディアを通した活動がパフォーマーに関する情報をWeb上で増加させる傾向もあるとわかった. 地方の劇団 でもこのような結果を得ることができることに着眼し, さらにWeb上のパフォーマーに関する情報を扱ってある特定 のジャンルで活躍するパフォーマーでも本手法の適応を行うことで, Web 上の情報を活用したパフォーマーの今後の 活動の方針に役立つ知見を得るための手法を提案したいと考えた. そこで, 本論では CD 発売の初回における告知の 反響と Youtube にて新曲のビデオクリップをプロモーションで公開した際のファンの反響における分析を行い, Web 上のパフォーマーのプロモーション方法の検討を行った.
著者
石井 晃 川畑 泰子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.2F3OS5a05, 2019 (Released:2019-06-01)

意見を連続値として考えるオピニオンダイナミクス理論はBounded Con dence Model がよく知られて いる。しかし、これには人々の対立は含まれていない。本論文では人々の間に信頼と不信の関係を対人関係の係 数の正負で表現し、一次元軸上の意見の値も正から負を取り得るとして拡張した理論を提示する。さらにヒット 現象の数理モデルにならってマスメディアにおける影響も加味して、考察を行う取り組みを行った。本論文では、 計算シミュレーションで2 人、3 人、20 人、そして300 人の例を示す。また、この計算から算出される意見の分 布はソーシャルネットワーク上で測るコメントの意見の分布とが比較できる可能性がある。
著者
川畑 泰子
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.47-64, 2019-12-31 (Released:2020-01-18)
参考文献数
44

オンライン上の私たちの挙動は,公衆ネットワーク通信網上のログとして1秒1秒膨大かつ精密な情報として蓄積されている。昨今,オンライン上の過剰な意見の衝突がオンラインから日常生活へダイレクトにもたらすソーシャルリスク,フェイクニュースの膨張など懸念材料が多くニュースや書籍などでも参照され出している。社会通念における認識や理解,定義なども良い面でも悪い面でも増長・フォーカスされやすくなっている。社会規範から逸脱した発言における言語単位での規制は各国々のOSN(Online Social Networks)によっても異なる。今後,合意形成に関して定量的な知見や傾向に関する知見を集約し,社会的・経済的リスクをもたらす状況に対する定量的な見解を導く手法の提案も求められるだろう。本論では,実測のデータを用いながらオンライン上のソーシャルネットワークに関する研究と数理モデルを用いた計算社会科学的な解析アプローチによるケーススタディの比較手法の事例に関して述べたい。
著者
石井 晃 川畑 泰子
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

オピニオンダイナミクスの代表的な理論はHegselmann-Krause(2002)によるBounded Confidence Modelであるが,この数理モデルは人々が意見交換によって少しずつ歩み寄って合意の妥協点を見つける事が前提になっている。しかし,現実の社会の意見交換では歩み寄らない場合も少なくない.そこで石井は2018年に意見交換によって反発する場合とマスメディアなどの影響も含めた新しい理論を構築した。これをN人へ拡張してシミュレーションし、様々なWeb上のテキストデータを用いた測定からの裏付けをして、これを社会システム工学・ウェブ情報学に活かす。
著者
石井 晃 芦田 昇 川畑 泰子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.1E205, 2018 (Released:2018-07-30)

インターネット上の検索行動の数理モデルを社会物理学的手法で提案する。ヒット現象の数理モデルの拡張として、人々の検索行動はマスメディア情報、直接コミュニケーション、間接コミュニケーションに加えてBlogやTwitterにも影響されるとした。この理論による計算は実際の検索行動をよく記述することがわかった。