著者
加藤 邦子 石井クンツ 昌子 牧野 カツコ 土谷 みち子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.30-41, 2002-04-20
被引用文献数
5

本研究の目的は,3歳児の集団場面における社会性の発達に及ぼす父親・母親の影響について,父親の育児かかわり要因,母親の育児不安要因をとりあげてモデルを仮定し,バス解析によって関連を明らかにすることである。その際,父親の生活において,最近家族とともにすごす時間が多くなったとされていることから,背景の異なる2つの時期の親子,つまり1997〜1998年のデータ(コホート2)と1992〜1993年のデータ(コホート1)とを比較する。その結果,3歳児の社会性に関しては,父親の育児かかわり要因がどちらのコホートにおいても有意な関連を持つことが明らかとなり,子どもの社会性の発達に父親の育児かかわりが直接的な影響を与えていた。間接的要因として夫婦の会話の頻度が父親の育児かかわりに関連を示しており,夫婦関係による影響が示唆された。
著者
石井クンツ 昌子
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.186-195, 2011-10-31 (Released:2012-11-13)
参考文献数
50
被引用文献数
1

本論文では米国の家族に注目して,その変容と現状および多様性について述べる.米国の家族の多様性を生み出してきたのは,人種間の文化や慣習の違い,社会階層および地域格差である.よって,これらの社会的な背景を最初に述べ,次に主な家族の変化(離婚率の増加,晩婚化,法律婚世帯の減少,シングルペアレントの増加)と現状を U.S. Census などのデータを基に明らかにする.また,これらの多様性と変化に対応した家族の定義を提唱する.米国の家族社会学研究からは特に父親と家族,ゲイ・レズビアンの家族に焦点をあてて,主な結果をレビューする.最後に,家族社会学研究と密接に関係しているジェンダー視点について述べる.
著者
石井クンツ 昌子 宮本 みち子
出版者
Japan Society of Family Sociology
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.16-18, 2012

シンポジウムでは,経済不況と少子高齢社会における家族戦略について,学際的な視点を提示してもらうことおよび家族戦略論アプローチの有効性を論じてもらうことを主な目標とした.チャールズ・ユウジ・ホリオカ氏は「不況期・老後における家族内助け合いの国際比較」,前田正子氏は「孤立する人々をどう支えるか―包括的対人サービス基盤整備をめぐって自治体の現場から」と題して,経済と社会福祉面における家族(的)戦略を提示した.田渕六郎氏は「少子高齢化の中の家族と世代間関係―家族戦略論の視点から」と題して,世代間アンビバレンスを説明するうえでの家族戦略論アプローチの有効性を明らかにした.木本喜美子氏と山田昌弘氏はコメンテーターとして,「家族戦略論」アプローチの限定性や有用性などについて討論した.司会は石井クンツ昌子と宮本みち子が務めた.