著者
山里 勝己 石原 昌英 豊見山 和行 宮里 厚子 山城 新 浜川 仁 ベイヴェール パトリック ジェンキンズ A・P スチュアート フランク
出版者
名桜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、近代初頭の琉球・沖縄をめぐる欧米のトラベルライティングを広範に検証した。合衆国探検遠征隊の研究を通し、ペリー提督の対琉球・日本外交を、太平洋諸島における米国の国家戦略上に位置づける可能性が拓かれた。また、琉球と日本においてカトリック教の再布教を担ったフランス人宣教師たちの足跡に、史料紹介や翻訳等を通し光を当てた。さらに、クリフォードとマクスウェルの残した二つの新資料の紹介を行い、沖縄近代史の画期・一八一六年の英艦隊来琉の実像を浮き彫りにした。薩摩の支配による琉球海域秩序の変化の考察は、西洋との言語的接触が不可能となった状況についての今後の研究に、貴重な材料を提供している。
著者
石原 昌英 HEINRICH Patrick
出版者
琉球大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

ハインリヒは与那国島における危機言語記録保存のためのフィールドワークを2回実施した。1回目は祖納集落において農業と祭に関する言語生態、2回目は同集落において自然に関する言語生態、久部良集落において漁業に関する言語生態を記録した。また、ハインリヒ・石原で記録されたビデオを分析し、それに基づいてハインリヒが祖納集落に於いて研究協力者(インフォーマント)と一緒に編集・注釈作業を行った。記録保存はほぼ終了し、マックスプランク研究所での公開に向けての編集・注釈作業を本格化させている。これらの作業と並行して、石原とハインリヒは、与那国島における言語の存続性と危機度に関するアンケート調査を実施した。調査データは、ユネスコの危機言語保護プログラムに関する専門家部会が2003年に提唱した評価基準を参考にハインリヒが分析し、2010年3月5日に東京外国語大学で開催された第2回琉球継承言語研究に関するワークショップでハインリヒが「与那国語の存続性と危機度」を発表した。なお、石原は「国頭譜の存続性と危機度」を発表した。ハインリヒと石原は言語生態、言語政策、危機言語に関する発表を複数の学会・研究会等で行った。ハインリヒが杉田優子と共著で『社会言語科学』第11巻第2号(2009年2月)に発表した「危機言語記録保存と言語復興の統合へ向けて」が社会言語科学会の徳川宗賢賞優秀賞を受賞し、2010年3月の同学会で受賞記念講演を行った。石原・ハインリヒはこれまでの研究成果を地域に還元する目的でワークショップ「しまくとぅばと経済」を企画し、言語生態を維持するために地域言語を積極的に活用する方策を議論する機会を提供した。