著者
石坂 昌子
出版者
九州ルーテル学院大学人文学部心理臨床学科
雑誌
心理・教育・福祉研究 : 紀要論文集 = Japanese journal of psychology, education and culture
巻号頁・発行日
no.20, pp.45-53, 2021-03-31

本研究では,看護職の死の意味づけとバーンアウトの関連について,看護経験年数による比較を通して検討した。看護師153名を対象として質問紙調査を実施し,看護経験年数によって3群に分類し,重回帰分析を行った。その結果,経験年数が最も短い看護職では,死の肯定的な意味づけは,情緒的消耗感とバーンアウト全体を低下させ個人的達成感を高める傾向が示唆された。また,経験年数が最も長い看護職では,死の肯定的な意味づけは個人的達成感を高めてバーンアウト全体を低下させる傾向のみならず,死を忌避する意味づけは情緒的消耗感を高める一方で,死を苦難から解放する手段として捉える意味づけは脱人格化を和らげる傾向が示唆された。以上のことから,看護職の死の有意義さを見出すという肯定的な意味づけは,特に,仕事の成果に伴う達成感を高め,バーンアウトの予防になることが推測される。死別体験を重ねながら看護を続けていくにはある程度,死と心理的な距離をとることのできる柔軟性や,「距離」のアンビバレンスに耐えうる力が求められるだろう。