著者
児玉 恵美
出版者
九州大学大学院人間環境学研究院
雑誌
九州大学心理学研究 (ISSN:13453904)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.147-155, 2000

本研究では, 多くの夢研究においてこれまで看過されてきた, どのくらい夢に関心を持ち夢から影響を受けるかなど, 主体の「夢に対する態度」を特に取り上げている。夢み, 夢への態度と, 性別, YG性格検査との関連を見ることにより, 夢と覚醒時との連続性を今までとは異なった視点で検討することを試みた。大学生420人を被験者として質問紙調査を行った結果, (1)男女とも同頻度の夢を見るが, 女性の方が夢の記憶が明瞭であること, (2)抑うつ的で回帰性傾向の高い人は, より夢への態度が積極的で夢想起頻度も高く, 夢に巻き込まれやすい人たちであると言えるだろうということなどが推測された。
著者
児玉 恵美
出版者
日本中東学会
雑誌
日本中東学会年報 (ISSN:09137858)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.99-118, 2021-08-15 (Released:2022-09-30)

This article describes the collective and personal memories generated from a cemetery where the dead of the Palestinian Revolution in Lebanon are buried. Previous studies of the revolution have focused on the historical process whereby the Palestinians living in refugee camps participated in the revolution: Many camp residents took weapons to fight for their return to the land of Palestine in the 1970s. This raises the following research question: How have the dead of the Palestine Revolution been recollected and commemorated by both the Palestinian leadership and people? This article examines the Palestinian Martyrs’ Cemetery near Shatila Camp in Beirut, because this cemetery is the burial place of many national heroes and the site of commemorative practices to honor all the martyrs. Recollecting and commemorating the martyrs connects visitors to the land of Palestine as their own true root. One of these Palestinian martyrs buried in this cemetery is Majid Husayn Attie (Mājid Ḥusayin ‘Aṭīya). Retelling Majid’s life history, his son also recollected the resistance from the perspective of a familial martyr. This paper concludes that the grave is the notion that connects collective and personal death, and collective and personal memory.
著者
児玉 恵美
出版者
九州ルーテル学院大学
雑誌
応用障害心理学研究
巻号頁・発行日
no.12, pp.13-26, 2013-03-31

本研究では, 1)卒業論文を提出し終わったばかりの大学生の卒業論文作成に対する認識と, その自尊感情との関連を調査し, 2)卒業論文作成について, 学生と卒業論文を指導する教員の考え方の相違を探索的に検討した。結果, 学生は卒業論文作成を重大なものと認識していることが示された。そして, 卒業論文作成過程におけるストレス度が自尊感情と負の相関を示し, 卒業論文作成状況に対する肯定的な認知が自尊感情と正の相関を示していた。また卒業論文作成について, 多くの学生がそれを肯定的な体験と意味付け, 研究の実施や新しい知識の獲得を楽しみ, 周囲の人との関わりを学んでいることがわかった。一方教員は学生に, 研究に対する姿勢や, 諦めずやり遂げる精神などを期待していた。そして卒業論文作成について, 学生・教員ともに, 達成感を得て自己成長できる体験だと捉えていることが示唆され, これらが卒業論文作成の教育的意義の大事な一側面を表していると考えられた。