著者
金子 洋子 楊川 堯基 林 苑子 張 紅 塚原 知樹 松永 恒明 多留 賀功 石津 隆 小林 正貴 野口 雅之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.999-1006, 2019-05-10 (Released:2020-05-10)
参考文献数
6

53歳,男性.浮腫にて受診.蛋白尿,心肥大,四肢疼痛ならびに腎不全を認め,αガラクトシダーゼA(α-galactosidase A:GLA)酵素活性の低下,腎生検にて糸球体上皮細胞内に高電子密度物質の沈着,責任遺伝子変異を認め,Fabry病と診断した.末期腎不全のため透析導入し,酵素補充療法(enzyme replacement therapy:ERT)を開始したが,心肥大は進行し,心不全のため死亡した.病理解剖にて多臓器に高電子密度沈着物を認めた.近親者3症例にERTを継続している.本疾患は,早期に診断し加療介入することが重要である.
著者
北川 勲 石津 隆 大橋 一慶 澁谷 博孝
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.120, no.10, pp.1017-1023, 2000-10-01 (Released:2008-05-30)
参考文献数
20
被引用文献数
6 9

Monthly changes of the content-ratio between S-(-)-and R-(+)-hyoscyamine as well as those between S-(-)-and R-(+)-scopolamine in the leaves of Datura metel L. cultivated in the field, were quantitatively analyzed by the use of HPLC with a chiral adsorbent. It was found that S-(-)-isomer was predominant for hyoscyamine and the ratio of R-(+)-isomer gradually increased during the growth, whereas in the case of scopolamine, S-(-)-isomer was the sole one found throughout the cultivation period. The 1H-NMR study in the CD3OD solution has suggested that S-(-)-hyoscyamine (1) and S-(-)-scopolamine (2) take a "face-to-face"conformation between their tropane skeletons and the benzene rings of the tropic acid moieties. In the presence of an equimolar NaOD in the CD3OD solution, the racemization at C-2' of 1 and 2 proceeded more rapidly than the hydrolysis at the tropic acid ester bond, presumably due to the steric hindrance caused by their"face-to-face"conformations. In the D2O and H2O solutions, on the other hand, the racemization and the hydrolysis of 1 proceeded smoothly, while those of 2 did not occur. It has been supposed that these individual reaction manners are ascribable in considerable extent to the different basicity of N atom in each tropane skeleton of 1 and 2 and to stronger intramolecular hydrogen bond occurring between the carbonyl oxygen at C-1' and the hydroxyl group at C-3' in the tropic acid moiety of 1.
著者
澁谷 博孝 北村 千浪 大橋 一慶 石津 隆 スダルソノ リスワン パルトムアン シマンジュンタク
出版者
福山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本学術調査は、インドネシアのバリ島及びロンボク島に生活するヒンズー教徒が伝承する、薬物治療に関する古文書「ウサダ・ロンタール」の実態調査を行い新しい天然薬物の発掘を指向するとともに、日本・インドネシア両国間の共同研究による学術交流における発展に寄与することを目的としている。バリ島及びロンボク島各地に散在している「ウサダ・ロンタール」の実態状況の把握のため、ヒンズー教徒の集落を訪ねるとともに、バリ島の北部のシンガラジャ市にある「ロンタール博物館」、及びロンボク島のマタラム市にある「西ヌサ・テンガラ州立博物館」のそれぞれの学芸員に協力を依頼し、「ウサダ・ロンタール」の保存状況を含めた実態を詳細に調査した。その結果、各地で重複する「ウサダ・ロンタール」の存在が明らかになるものの、これまで各研究機関が別個に情報収集を行ってきたために判らなかった「ウサダ・ロンタール」の全体像が明らかになり、所在を記した一覧表の作成を行うとともに、数種の復刻判を入手した。また、古代バリ語からインドネシア語への翻訳及び、インドネシア語から英語への翻訳を行い、数種のウサダ・ロンタールに関する翻訳資料を作成した。さらに、翻訳したウサダ・ロンタールに記述された薬用植物名と、現在バリ島に自生する植物との比較を、植物学及び民族学的な見地から同定するとともに、それらの用法について検討を行い、種々の知見を得た。