著者
石田 久之
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.321-327, 1993-10-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
7

視覚障害者におけるタイピングの正確度および誤りを検討することを目的として実験を実施した. 被験者は短期大学に在籍する全盲学生および弱視学生5名であった. 1回の試行で40~50の単語を提示し, 6試行行った. タイピングすべき単語に組み込まれたキーは, q, v, xを除く23のアルファベットと, \を加えた24のキーとした. 実験後, 実際にタイピングされたキーについてのデータをプリント出力し, タイピングすべきキーと比較することによって, 正確度を算出し, 誤りを抽出した. タイピングの正確度は, 最も高い被験者が99.0%, 最も低い被験者で97.9%であった. 誤りは, 置き換え, 割り込み, 脱落の3種類に大きく分類した. 最も多い誤りは置き換えであった. 割り込みと脱落については差はなかった. これらより正確なキー位置の把握の重要性を指摘した.
著者
石田 久之
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

大学の訪問等により、支援の組織化状況とその課題、学内各種組織の役割分担、基本的な支援ポリシー等を調査した。大学での支援は三つに分けられる。第一に、学習や生活で、自身をコーディネートできる能力をつけるための支援。次に、情報保障である。三番目が出口支援であるが、これは単なる就活支援ではなく卒業後の生き方へのアドバイスも含むものである。学内リソースを有機的に結びつけ、学生毎にこれらを遂行することが求められている。
著者
石田 久之 天野 和彦
出版者
筑波技術大学学術・社会貢献推進委員会
雑誌
筑波技術大学テクノレポート (ISSN:24354856)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.6-10, 2009-12

欧米の字体については、Russell-Minda, E. 他(2007) [1] により、 Times New Roman のような“ひげ飾り(上下端の細い飾り)”のある文字(セリフ文字)よりも、Arial(アリアル/エアリアル)、Verdana(ベルダナ)などのひげ飾りのない文字(サンセリフ文字)が、視覚障害者には読みやすいと報告されている。これをふまえ、日本語の書体について、視覚障害学生の読みやすい文字を、以下のように解説した。第1 に、使用する文字の大きさと無関係に、明朝系の文字を好む学生は多くはない。第2 に、14ポイントのような比較的小さな文字を使う学生は、MS ゴシックやHG 丸ゴシックなど、あまり太くないゴシック系の文字を好む。しかし、使用する文字が大きくなるにつれ、ゴシック系でも太い字体、MG ゴシックやHGS 創英角ゴシックへと読みやすい書体が移っていく。
著者
石田 久之
出版者
筑波技術短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

■点訳或いは音訳(対面朗読などを含む)ボランティア活動を行なっている団体に、会員数、活動形態、養成、活動の問題点などを対面或いは電話によりインタビューした。■【ボランティア団体への入会に際して】ボランティアというものは、その能力に左右されず、ただ個人の自発的な意志によってのみ、活動が保障されるものであると思われるが、残念ながら誰でもが自由にボランティア活動に参加できるものではない。それは、活動の質というものが問われるからである。点訳・音訳活動については、点字図書館や社会福祉協議会などでボランティア養成講座が開講されている。これら養成講座の受講をボランティア団体への入会の条件としている場合がある。点訳の場合、点の打ち方や、分かち書きを知る必要がある。音訳の場合、発声の仕方、読み方など普通の会話とは違った、聞き易い読み方があり、それらをある程度自分のものにしておかなければならないのである。養成講座の受講が必要な団体、必要でない団体の数は、音訳、点訳を問わず、ほぼ半々となっている。それぞれの主張するところは、必要とする場合、先に挙げた理由の他に、現在では、点訳物・録音物の貸し借りは全国規模に広がっており、全国水準の力量が必要であり、それに合わせるためには、入門講座の受講は最低限必要というものである。他方、必要としないという団体の主張は、善意を基礎としての活動であり、入りたいと考える人には、是非来て頂きたいとの理由である。しかし技量がどうでも良いというわけではなく、入ってからの勉強の重要性は十分認識されている。■【養成講座主催者側から見た課題】点訳・音訳養成講座は、ボランティア団体への入会窓口という側面を持っている。そのような立場から養成講座受講者をみると、(1)定着率の低さ、(2)若い人の少なさ、(3)有償で働きたいという人が少なくないというような課題がある。