著者
石田 和夫 三浦 英雄
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.43-48, 2000-03-31 (Released:2019-07-01)

1997〜1999年の3年間にわたり, 本学学生399人を対象に水洗い, セッケン, 0.2%塩化べンザルコニウム30秒間及び数秒間浸漬, 70%エタノール, 薬用Mセッケンの6通りの方法で手指を洗浄または殺菌消毒させ, 手洗い前と手洗い後の手指の生菌数の比較を行った.その結果, 0.2%塩化べンザルコニウム30秒を除いては, 手洗い後に生菌数が増加する傾向が見られた.また殺菌消毒後にも残存検出された菌株について簡易同定を行ったところ, 皮膚常在菌と思われるStaphylococcus属の細菌が約80%を占めていた.またこれら残存した菌株について殺菌消毒剤に対する抵抗性を調べたところ, 一部Bacillus属を除いて, 抵抗性はなかった.以上の結果より, 殺菌消毒剤を使って手洗いを行った場合, 残存検出されるものは手指の皮膚において圧倒的多数を占める常在菌群であり, 一時的に付着した病原細菌等は殺菌除去できるものと示唆された.
著者
石田 和夫 中原 さおり 武山 絵里子 川上 義
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.201-205, 2014-04-20 (Released:2014-04-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1

【目的】先天性十二指腸閉鎖・狭窄症の診断・治療に関しては,ほぼ確立されているが,他の腸閉鎖症に比し多くの合併奇形,特殊病型例があり,治療上留意すべき点が存在する.自験例を提示し検討を行った.【方法】1976 年から2010 年に,日本赤十字社医療センターにおいて手術を行った先天性十二指腸閉鎖/狭窄症79 例を対象とした.病型,合併奇形,術式,合併症,予後について検討を行った.【結果】病型はtype 1 閉鎖39 例,type 2 索状閉鎖2 例,type 3 離断型閉鎖13 例,狭窄例は25例であった.輪状膵合併15 例,多発閉鎖2 例,閉鎖部位では乳頭下22 例,乳頭上33 例,不明24 例である.特殊病型例として,閉塞部を挟んだ胆管のY 字開口1 例,apple-peel 型閉鎖2 例,多発閉鎖2 例,alveolar capillary dysplasia(以下ACD)合併1 例を経験した.Down 症の合併は34 例(42.5%).何らかの合併奇形は45 例(57%)と極めて多い.心奇形の合併が27 例(34%)と多く,予後を左右している.予後は12/79(15%)の死亡率であり,多くは心奇形を合併していた.重症の心奇形を伴うapple-peel 型閉鎖の1 例は小腸の壊死にて失った.【結論】本症は合併奇形や特殊閉鎖例がなければ,治療法や予後については問題ない疾患である.しかしながら,当院で経験した閉塞部を挟んだY 字開口例,apple-peel 型閉鎖例,多発閉鎖例,胆道系の先天異常の合併例,十二指腸前門脈例,内臓逆位合併例,ACD 合併例など特殊な病型・合併症が稀ながら存在することから,手術時の注意,術後の経過観察が必要である.
著者
石田 和夫
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.25-31, 1988-04-01 (Released:2019-07-01)
被引用文献数
2

B.cereus「嘔吐型」食中毒と,原因食のほとんどを占める米飯との因果関係を明らかにする基礎的な資料を得る目的で,生米における本菌の汚染実態調査と,米飯における増殖試験を行った.1)生米121検体のうち,76検体(62.8%)からB.cereusが検出され,生米が本菌によって広く汚染を受けているという結果となった.生米1gあたりのB.cereus菌数は101〜102であった.2)分離したB.cereus76株について生化学性状を調べ,生物型分類を行ったところ,食中毒原性の疑われる生物型6型と7型については,7型に分類されたものが1株のみで,6型はなかった.従って,生米を汚染しているB.cereusが食中毒を惹き起こす危険性は低いものと推察された.3)生物型の異なる3種(1型,2型,6型)のB.cereusの米飯での増殖試験を行ったが,食中毒原性の疑われる6型の増殖がやや低かった.これはデンプン水解性の有無による差と推察された.
著者
石田 和夫 三浦 英雄
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理短期大学紀要 (ISSN:09146474)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.43-48, 2000

1997〜1999年の3年間にわたり, 本学学生399人を対象に水洗い, セッケン, 0.2%塩化べンザルコニウム30秒間及び数秒間浸漬, 70%エタノール, 薬用Mセッケンの6通りの方法で手指を洗浄または殺菌消毒させ, 手洗い前と手洗い後の手指の生菌数の比較を行った.その結果, 0.2%塩化べンザルコニウム30秒を除いては, 手洗い後に生菌数が増加する傾向が見られた.また殺菌消毒後にも残存検出された菌株について簡易同定を行ったところ, 皮膚常在菌と思われる<i>Staphylococcus</i>属の細菌が約80%を占めていた.またこれら残存した菌株について殺菌消毒剤に対する抵抗性を調べたところ, 一部<i>Bacillus</i>属を除いて, 抵抗性はなかった.以上の結果より, 殺菌消毒剤を使って手洗いを行った場合, 残存検出されるものは手指の皮膚において圧倒的多数を占める常在菌群であり, 一時的に付着した病原細菌等は殺菌除去できるものと示唆された.
著者
今井 純好 栗原 潔 小澤 美和 島本 由紀子 石田 和夫
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.58-64, 1995-02-28

北里大学病院では1989年7月より神経芽細胞腫マススクリーニング(NBMS)陽性者の精密検査を行ってきた。今回は精密検査を施行した84例の乳児を対象にNBMS陽性者から発見された神経芽細胞腫(NB)例の頻度や特性, NBMS陽性でありながら腫瘍を認めなかったNBMS疑陽性例の経過観察の方法などについて検討した。NB例は6例,疑NB例1例で進行例も認めたが, N-myc癌遺伝子の増幅を認めなかった。NBMS疑陽性例については,1歳までは腹部超音波や胸部XPなどの画像診断により腫瘍の確認を慎重に行い,それでも腫瘍が認められなかった症例については,2歳頃まで尿中VMA, HVAなどにより経過観察を行った方がよいと思われた。
著者
中原 さおり 松本 順子 市瀬 茉里 畑中 玲 武山 絵里子 与田 仁志 武村 民子 石田 和夫
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.1217-1223, 2013-12-20 (Released:2013-12-20)
参考文献数
28

【目的】臍帯潰瘍は胎児上部消化管閉鎖症に合併し,ひとたび臍帯からの出血が起こると,高頻度に子宮内胎児死亡や児の重度障害を起こすことが知られている.原因として胎児の吐物による臍帯のワルトンゼリー変性の可能性が挙げられているが,詳細はいまだ不明である.胎児吐物中の膵酵素がワルトンゼリー変性に関与する可能性を探るために,羊水中の膵酵素濃度の上昇の有無を調べた.【方法】2009 年7 月から2011 年6 月までに当センターで経験した上部消化管閉鎖症6 例(A 群)とこれらを伴わない羊水過多症6 例(B 群),計12 例の羊水中の胆汁由来物質(総ビリルビン,直接ビリルビン,胆汁酸),および膵酵素(膵アミラーゼ,リパーゼ,膵フォスフォリパーゼA2,トリプシン)の濃度を測定した.【結果】A 群では膵アミラーゼを除く膵酵素の異常高値を認めた.具体的にはB 群の膵アミラーゼ9 IU/ l,リパーゼ3.5 IU/ l,膵フォスフォリパーゼA2 99 ng/dl,トリプシン170 ng/ml(それぞれ中央値)に対し,A 群6 例の中央値はそれぞれ16.5 IU/ l,4,055 IU/ l,63,050 ng/dl,30,400 ng/ml であった.【結論】限られた症例数ではあるが,臍帯潰瘍を合併することが知られている十二指腸閉鎖症および空腸閉鎖症の羊水中では,膵アミラーゼを除く膵酵素の濃度が著明に上昇していることが明らかとなった.羊水中の膵酵素濃度の上昇が臍帯潰瘍発生に関与する可能性があると考えられる.