著者
有賀 貞 砂田 一郎 佐藤 宏子
出版者
東京大学大学院総合文化研究科附属アメリカ太平洋地域研究センター
雑誌
アメリカ太平洋研究 (ISSN:13462989)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.165-185, 2008-03

上杉忍・巽孝之編著『アメリカの文明と自画像』Shinobu Uesugi and Takayuki Tatsumi. eds. American Civilization : Reflections on Self-Reflections (2006) : 紀平英作・油井大三郎編著『グローバリゼーションと帝国』Eisaku Kihira and Daizaburo Yui, eds. Globalization and Empire (2006)//古矢旬・山田史郎編著『権力と暴力』Jun Furuya and Shiro Yamada, eds. Power and Violence (2007) : 秋山英一・小塩和人編著『豊かさと環境』Eiichi Akimoto and Kazuto Oshio, eds. Affuence vs. Environment (2006)//久保文明・有賀夏紀編著『個人と国家の間(家族・団体・運動)』Fumiaki Kubo and Natsuki Aruga, eds. Between the Individual and the State : Families, Associations, and Movements (2007) : 荒このみ・生井英考編著『文化の受容と変貌』Konomi Ara and Eikoh Ikui, eds. Transcultural Relationship of Japan and US in Modern Era (2007)
著者
久保 文明 砂田 一郎 松岡 泰
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

3年間で多くの成果を生み出すことができた。詳細は「研究発表」欄に譲るが、分担者である砂田・松岡による単著、および代表者によるいくつかの編著がその一例である。この間に解明された点は、民主党を素材にして党内穏健派とリベラル派の対立軸の激化、穏健派の支持基盤の特異性(共和党保守派と異なり、利益団体・政治団体レベルでの支持基盤がきわめて弱体であること、その代わり広く有権者にアピールし支持団体から自由に政策課題を提示できる強みをもつこと)、予備選挙における支持団体間競争の実相などの他、松岡が解明したように民主党内における黒人勢力の性格の大きな変質(抗議型から統治型へ)、砂田が論証したように同党内におけるリベラル派思想の変容などである。同時に、今日イラク戦争が民主党内において左派・反戦派を強化している様相も、予備選挙などの考察を通して指摘した(久保『米国外交の諸潮流』)。共和党に関しては、政治のインフラストラクチャー(下部構造、ないし基礎構造)の一部としての政治家養成機関・制度に着目した論文を公刊した。インフラストラクチャーとはシンクタンク、財団、メディア、大学、政治家養成機関などを指す。このような側面において、長年共和党は劣位に立たされてきた。したがって、当該部分を戦略的・選択的に強化することに共和党の方が熱心であったのも当然である。また、共和党における保守派の優位を理解するにあたってとりわけ重要な点は、1990年代の半ばから、反増税団体、銃所持団体、中小企業団体、キリスト教保守派団体、反環境保護政策団体、文化的保守派団体などがいわば大同団結し、共和党を、とりわけその保守派を支援し始めたことに注目することである。公刊されたさまざまな著書・論文において、このような党外部の政治団体の浸透・連合が果たす役割を解明できたことが本研究プロジェクトの大きな成果である。