著者
藤原 帰一 久保 文明 加藤 淳子 苅部 直 飯田 敬輔 平野 聡 川人 貞史 川出 良枝 田邊 國昭 金井 利之 城山 英明 谷口 将紀 塩川 伸明 高原 明生 大串 和雄 中山 洋平
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

危機管理の政策決定と、それが政治社会にもたらす効果について、多角的な実地調査とデータ収集を行うとともに、三つの理論的視点、すなわちセキュリタイゼーション研究、危機管理研究、そして平和構築から分析を進めた。本作業の国際的パートナーがオレ・ウィーバー、イークワン・ヘン、そして、ジョンアイケンベリーであり、この三名を含む内外の研究者と共に2015年1月30日に大規模な国際研究集会を東京にて開催し研究成果の報告を行った。本会議においては理論研究とより具体的国際動向の分析を行う研究者との間の連絡に注意し、実務家との意見交換にも留意した。
著者
久保 文明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

近年の共和党は、中道穏健派が著しく退潮し、保守派が圧倒的な主導権を握る保守的な政党に変化した。この要因として南部の変化、レーガン主義の浸透などさまざまな点を指摘できるが、とくに注目すべきは、1970年頃から今日にいたるまでの変化が、いわゆる決定的選挙なしで起きていることである。すなわち、近年の変化は二大政党間の劇的な勢力関係の変化を伴わず、しかもきわめて緩やかな変化となっている。これまでに例のない政党変容を理解するためには、これまでとは異なる概念装置が必要不可欠であろう。本研究では、社会運動・政治運動による政党への浸透、ならびに政党を支援する利益団体連合の形成・変化という二つの視点を重視して研究を行った。これまで公民権運動など社会運動の政党への浸透についてはかなりの研究が蓄積されてきたが、クリンチャン・コアリションに代表されるキリスト教保守派と共和党の関係は、社会運動よりは基盤の狭い政治運動の政党への浸透として理解できることを示した。また、とりわけ重要な点は、1990年代の半ばから、反増税団体、銃所持団体、中小傘業団体、キリスト教保守派団体、反環境保護政策団体、文化的保守派団体などがいわば大同団結し、井和党を、とりわけその保守派を支援し始めた。これは同時に、保守系のシンクタンク、財団などの501(c)(3)団体、Americans for Tax Reformなどさまざまの保守系501(c)(4)団体、そして政治資金団体である保守系政治活動委員会(PAC)が非公式な形ながら機能的に相当程度統合されたことも意味していた。今日では党内穏健派現職議員を落選させようとするPACも登場している。このような党外部の政治団体の浸透・連合が果たす役割を解明できたことが本研究プロジェクトの大きな成果である。
著者
Kurki Anja A. Schreurs Miranda A. 辻中 豊 KUBO Fumiaki クルキ アンニャ シュラーズ ミランダ 辻中 豊 久保 文明
出版者
木鐸社
雑誌
レヴァイアサン (ISSN:13438166)
巻号頁・発行日
no.27, pp.49-72, 2000

近年政治学では政策決定過程に及ぼすネットワークの役割に関心が集っている。本稿は米国環境政策ネットワーク調査を日韓の同調査と比較し、米国の特性を浮き彫りにする。これは広範な政策ネットワークの構造と機能を国際比較する白米独韓調査計画の中間報告である。
著者
久保 文明 砂田 一郎 松岡 泰
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

3年間で多くの成果を生み出すことができた。詳細は「研究発表」欄に譲るが、分担者である砂田・松岡による単著、および代表者によるいくつかの編著がその一例である。この間に解明された点は、民主党を素材にして党内穏健派とリベラル派の対立軸の激化、穏健派の支持基盤の特異性(共和党保守派と異なり、利益団体・政治団体レベルでの支持基盤がきわめて弱体であること、その代わり広く有権者にアピールし支持団体から自由に政策課題を提示できる強みをもつこと)、予備選挙における支持団体間競争の実相などの他、松岡が解明したように民主党内における黒人勢力の性格の大きな変質(抗議型から統治型へ)、砂田が論証したように同党内におけるリベラル派思想の変容などである。同時に、今日イラク戦争が民主党内において左派・反戦派を強化している様相も、予備選挙などの考察を通して指摘した(久保『米国外交の諸潮流』)。共和党に関しては、政治のインフラストラクチャー(下部構造、ないし基礎構造)の一部としての政治家養成機関・制度に着目した論文を公刊した。インフラストラクチャーとはシンクタンク、財団、メディア、大学、政治家養成機関などを指す。このような側面において、長年共和党は劣位に立たされてきた。したがって、当該部分を戦略的・選択的に強化することに共和党の方が熱心であったのも当然である。また、共和党における保守派の優位を理解するにあたってとりわけ重要な点は、1990年代の半ばから、反増税団体、銃所持団体、中小企業団体、キリスト教保守派団体、反環境保護政策団体、文化的保守派団体などがいわば大同団結し、共和党を、とりわけその保守派を支援し始めたことに注目することである。公刊されたさまざまな著書・論文において、このような党外部の政治団体の浸透・連合が果たす役割を解明できたことが本研究プロジェクトの大きな成果である。
著者
古矢 旬 久保 文明 大津留 智恵子 橋川 健竜 廣部 泉 常本 照樹 酒井 啓子 中山 俊宏 西崎 文子 林 忠行 遠藤 泰生 久保 文明 大津留 智恵子 橋川 健竜 廣部 泉 常本 照樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

現代アメリカの国民意識、国家意識はいかなる要素、要因によって構成され、どのような理由でどのような過程を経て変容してゆくのか、本研究はこの問に対し、歴史、政治、政治思想、外交・国際関係、経済、文化、文学、宗教などの多元的な専門領域を通して接近を図った。それにより、建国期に形成された啓蒙主義的政治理念を主柱として成立したアメリカのナショナリズムが、その後の移民の波によってもたらされた様々なエスニック文化、宗教的観念を取り込みながら、国際秩序の内で次第に重きをなしてゆくプロセスに新しい光を当てることができた。