- 著者
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後藤 仁敏
サメの歯化石研究会
- 出版者
- 地学団体研究会
- 雑誌
- 地球科學 (ISSN:03666611)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.6, pp.361-374, 2004-11-25
- 参考文献数
- 48
- 被引用文献数
-
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現生のラブカChlamydoselachus anguineusは,現生板鰓類のなかで最も原始的な解剖学的特徴を残したサメである.これまでの記録では,ラブカ科の最古の化石は南極のジェームスロス島の白亜紀後期(Campanian)の地層から産出したChlamydoselachus thomsoniであった.本論文では,日本産のラブカ属12本の歯化石にもとづく6種を記載した.すなわち,白亜紀後期(Turonian〜Maastrichtian)の地層から5種(10標本),第三紀中新世の地層から1種(2標本)である.Chlamydoselachus sp. 1の小型の歯は北海道三笠市の上部蝦夷層群(Turonian-Coniacian)と,夕張市鹿島の上部蝦夷層群(Santonian)から産出した.Chlamydoselachus sp. 2の小型の歯とChlamydoselachus sp. 3の大型の歯は,熊本県天草郡竜ケ岳町の姫浦層群樋之島層(Santonian)から産出した.Chlamydoselachus sp. 4の大型の歯とChlamydoselachus sp. 5の超大型の歯は大阪府貝塚市と泉南市昭和池の和泉層群畦ノ谷層(Maastrichtian)から産出した.Chlamydoselachus bracheriの歯は,群馬県富岡市の富岡層群井戸沢層(前期中新世)と同県安中市の富岡層群原田篠層(中期中新世)から産出した.また,ラブカ類の系統発生的関係と古環境の変化について考察した.すなわち,白亜紀後期には大型から小型のラブカ類が浅い海に生息していたのに,中新世になると比較的深い海に中型以下のラブカが棲むようになったことが推定される.