著者
神原 啓介 永田 周一 塚田 浩二
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.1621-1634, 2011-04-15

Web上では人々によって描かれた多くの絵が公開・共有されているが,それらを再利用することは難しく,あまり行われていない.もし他の人の描いた絵を簡単に再利用でき,また再利用しやすい形で公開することができれば,より多くの人が手軽に絵を活用できるようになると考えられる.そこで我々はWebブラウザ上で絵を編集でき,他の人の描いた絵から「派生」させて新しい絵を作成することのできる2種類のWebアプリケーション:「Willustrator」と「TwitPaint」を開発した.ドロー系であるWillustratorは絵を再編集/再利用しやすいという特徴を持つ.一方,ペイント系のTwitPaintはTwitterと連携した絵によるコミュニケーションを特徴とする.両ツールを長期運用し,得られた派生データや事例,知見などをもとに,相違や特徴,問題点を分析した.さらに今後のWeb上で編集/派生可能なイラストツールの課題や将来の可能性についても検討を行った.Although many illustrations are shared on the Web, most people feel difficulty to reuse them. To solve this problem, we propose a social illustration system which supports people draw illustrations in reusable format and share them in social web sites. Based on the above concept, we developed two Web applications, Willustrator and TwitPaint, which allow people to draw images derived from other illustrations and edit them easily on common Web browsers. Willustrator is a "drawing" tool which focuses on drawing illustrations in reusable format. TwitPaint is a "painting" tool which allows people to share their illustrations easily in Twitter. We have put these applications into practice for a long period, and examined various aspects based on the experiences. Finally, we discuss the future work of the social illustration system.
著者
川上あゆみ 塚田浩二 神原啓介 椎尾一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.243-245, 2011-03-02

本研究では人と植物の関係に着目し,植物を育てることを支援するとともに,植物に対する興味や愛着を深めることを目的とした植木鉢ロボットPotPet を提案する.動物などに比べると,植物は人の世話に対するフィードバックに時間がかかり,植物に影響する様子がわかりにくい.外観から植物が現在どのような状態にあり,どのような世話をすべきなのかわかりにくいことも,植物を育てることの難しさにつながっている.そこで,自律的に動き,即座にフィードバックを返す植木鉢型ロボットに本物の植物を乗せることで,植物をペットのように飼うことを実現し,人と植物の新しい関係を提案する.
著者
神原 啓介
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、オノマトペを用いた新しいヒューマンコンピュータインタラクション手法を提案し、それを実現する複数のシステムを作成、評価、発表した。オノマトペとは「ざわざわ」「ぐるぐる」といった擬音語・擬態語のことで、日常的な会話や文章の中で多く用いられている。オノマトペは、ものの様子や動き、感覚、感情を活き活きと表現できることや、柔らかく親しみやすい表現といったことが特徴となっている。このオノマトペをインタフェースに採り入れることで、コンピュータが苦手としてきた「感覚的」で「親しみやすい」インタフェースを実現することが本研究の目的である。そこで本研究では「オノマトペを声に出しながらポインティングすることで、そのオノマトペに応じた操作を行える」というマルチモーダルインタラクション手法を提案し、具体的な応用として、ペイントシステムとゲーム操作に本提案手法を適用した。また、これらのシステムをユーザテストによって評価した後、国内および国際学会で発表した。
著者
神原 啓介 塚田 浩二
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.2_172-2_182, 2011-04-26 (Released:2011-05-26)

ブログやSNS,ソーシャルブックマークなどのソーシャルウェブサイトの利用が進み,Web上で人とつながりを持ちコミュニケーションをすることが増えた.Web上での人とのつながりやコミュニケーションが増えると,優先的に見たい人の発言が他の人の発言に埋もれてしまう問題や,複数のウェブサイトに発言が分散してしまう問題,タイムラインのようなリストでは特定の人物を見つけにくいといった問題が起こる.そこで本研究では複数のソーシャルウェブサイトを横断しながら,優先的に見たい人がタイムラインに埋もれてしまうことなく,特定の人物を一目で見つけることのできるインタフェース「ソーシャル顔アイコン」を提案・試作した.ソーシャルウェブサイトの中にいる人をアイコンとしてデスクトップに置くことで人に対してより直接的にアクセスできるインタフェースを備えており,使い慣れたアイコンと同じように操作できる点や,発言の新鮮度や発言頻度といった時間軸情報を視覚的に分かりやすく表示する点が特徴である.