著者
田中 芳幸 津田 彰 神宮 純江
出版者
久留米大学大学院心理学研究科
雑誌
久留米大学心理学研究 (ISSN:13481029)
巻号頁・発行日
no.5, pp.115-123, 2006

近年のメンタルヘルスの分野では,精神障害がなくwell-beingも高いという二次元から精神的な健康が捉えられている。このような精神的健康の二次元モデルに基づき,ポジティブな側面とネガティブな側面を測定できる尺度として,筆者らは山田ら(1994)によって初めて開発されたいきいき度尺度を修正し,改訂-いきいき度尺度(PLS-R)を開発した。18歳から83歳までという幅広い年齢層の対象で検討したところ,PLS-Rの構造に性差は認められなかった。本研究では,20代から60代の年代別に信頼性と妥当性を検証することを目的とした。また,「いきいき度」の年代差についても検討した。福岡市健康づくりセンター等にて,「いきいき度」に関連する質問に回答した20歳代から60歳代の者の内,欠損値があるものを除外した6473名(男性1221名,女性5252名)の回答を分析対象とした。心理統計学的解析には改訂-いきいき度尺度の14項目を利用した。年代別に因子分析を行ったところ,20歳代から50歳代において,因子負荷量や因子寄与率に若干の差はあるものの,同一構造の4因子解が得られた。60歳代において3因子解となったため,4因子に固定して同様の分析を行ったところ,他の年代と同じ構造が示された。20歳代のチャレンジ精神においてα=0.66である以外は,全ての年代の下位尺度でα=0.70程度からα=0.84と高値を示し,十分な内的一貫信頼性が確認された。尺度得点の年代差は,いずれも高年齢ほど得点が良好という結果であった。結果より,改訂-いきいき度尺度は,20歳代から60歳代の範囲で,年齢に関わらず信頼性と妥当性を有していることが検証され,少なくとも本研究により検証された年齢範囲においては,性別や年齢に関わらず,改訂-いきいき度尺度が適用可能であることが明らかとなった。
著者
森岡 俊夫 森田 恵美子 神宮 純江 南部 由美子 新谷 早苗
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.197-202, 1981
被引用文献数
2

福岡市博多保健所において昭和50年度から同54年度までの間に実施された3歳児歯科健診時の各種資料を基に, 同期間における3歳児健診受診状況ならびにう蝕罹患状況の推移, さらには, 保育環境および保健所の実施した母子保健活動とう蝕罹患状況との関連を検討した。健診受診率およびf歯率ほこの期間毎年有意に増加し, う蝕罹患者率および一人平均df歯数は有意に減少した。なお, う蝕罹患型別罹患者率については有意な増減は認められなかった。<BR>昭和54年度においては, 被健診児が第1子である方が第2子以下よりう蝕罹患者率が有意に低率であり, また, f歯串は保育園非就園児が就園児より, そして祖父母と同居している方が核家族より有意に高率であった。<BR>また, 同保健所管内で保健所が行なう母子保健活動の度合は異なった地区別のう蝕罹患状況の変化を昭和50年と54年について比較すると, う蝕罹患者率および一人平均df歯数はそれぞれ母子保健が推進された地区においてより高い改善傾向がみられた。