- 著者
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宮崎 由樹
伊藤 資浩
神山 龍一
柴田 彰
河原 純一郎
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第14回大会
- 巻号頁・発行日
- pp.43, 2016 (Released:2016-10-17)
近年,衛生マスク (以下,マスク) は,風邪や花粉対策等の衛生用途以外にも使われる。例えば,若年女性の一部は,小顔に見せる為にマスクを利用することがある。本研究では,見た目の顔の大きさにマスクの着用が及ぼす効果を検証した。実験はマスク着用 (着用,非着用) と元々の見た目の顔の大きさ (小顔,中顔,大顔群) の2要因被験者内計画で実施した。被験者は,LCDに呈示された顔画像の見た目の顔の大きさを1 (小さい) から100 (大きい) の範囲で評定した。その結果,元々の見た目の顔の大きさに関わらず,マスク非着用画像に比べ,マスク着用画像の方が顔が小さく知覚されることが示された (マスク着用の効果量は小顔群に比べ,中顔・大顔群の方が大きかった)。この効果は,マスク着用で,顔の大きさ判断に用いられる視覚手がかり (咬筋部や下顎周りの皮膚厚等) が利用できなくなること,顔が遮蔽されたことによる錯視効果に基づくと考えられる。