著者
宮崎 由樹 伊藤 資浩 神山 龍一 柴田 彰 若杉 慶 河原 純一郎
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.222-230, 2020-12-15 (Released:2021-12-11)
参考文献数
17

顔を細く・小さく見せることに対する日本人の関心は高いが,どのような要因が顔の見かけの大きさを左右するかについては未検討な点が多い.本研究は,顔全体のサイズ知覚に,どの顔部位のサイズ情報が関与するか検証することを目的とした.そのためにまず,女性・男性顔132画像において,20箇所の顔部位の縦幅や横幅を計測した.また,その計測サイズとそれらの画像毎に評定された見かけの顔サイズ評定値との相関を算出した(研究1).その結果,顔全体のサイズ知覚には,顔画像の性別に関係なく,顔面上部(額の長さ等)にくらべて顔面下部のサイズ(頬の広さや顎の長さ等)が強く正相関していた.この結果に基づき,顔面下部を衛生マスクで遮蔽し,顔面下部のサイズ情報を観察できなくすることで,顔のサイズ知覚が変わることも実証した(研究2).これらの結果は,顔全体のサイズを判断する際,顔面下部のサイズ情報が重要な手がかりとして用いられていることを示している.
著者
宮崎 由樹 伊藤 資浩 神山 龍一 柴田 彰 河原 純一郎
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第14回大会
巻号頁・発行日
pp.43, 2016 (Released:2016-10-17)

近年,衛生マスク (以下,マスク) は,風邪や花粉対策等の衛生用途以外にも使われる。例えば,若年女性の一部は,小顔に見せる為にマスクを利用することがある。本研究では,見た目の顔の大きさにマスクの着用が及ぼす効果を検証した。実験はマスク着用 (着用,非着用) と元々の見た目の顔の大きさ (小顔,中顔,大顔群) の2要因被験者内計画で実施した。被験者は,LCDに呈示された顔画像の見た目の顔の大きさを1 (小さい) から100 (大きい) の範囲で評定した。その結果,元々の見た目の顔の大きさに関わらず,マスク非着用画像に比べ,マスク着用画像の方が顔が小さく知覚されることが示された (マスク着用の効果量は小顔群に比べ,中顔・大顔群の方が大きかった)。この効果は,マスク着用で,顔の大きさ判断に用いられる視覚手がかり (咬筋部や下顎周りの皮膚厚等) が利用できなくなること,顔が遮蔽されたことによる錯視効果に基づくと考えられる。