著者
香川 和子 森 糸子 丸山 博 福山 幸夫
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.53-64, 1976 (Released:2011-05-24)
参考文献数
20

熱性痙攣患児307例について,単純型と複合型に分類し,各々の臨床的および脳波学的検討を行なった.男188例,女119例で,男女比は約1.6:1であった.単純型は131例,複合型は176例でやや複合型が多かった.脳波所見では,単純型の10.6%,複合型の19.8%に異常を認めた・熱性痙攣の家族歴は35.8%に,てんかんの家族歴は4.8%に認められた.脳障害の原因となり得る疾患の既往歴は16.6%に,また精神発達遅延の症例は4.8%に認められた.発作再発率に関し初発年齢0~11ヵ月,12~35ヵ月,36ヵ月以上の3群で有意差を認めた.臨床的諸項と脳波所見の相関関係について次の結果を得た.
著者
福山 幸夫 杉浦 節子 平山 義人 瀬川 昌也
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.494-500, 1971-09-01 (Released:2011-05-24)
参考文献数
17

The results of follow-up studies on 38 cases of myasthenia gravis in infancy and childhood were reported. The duration of observation in this study ranged from three to 17 years (eight years in average) after the onset of the disease.In 22 cases the myasthenic symptoms remained locally in the extraocular muscles throughout the course, while in other 16 cases bulbar, trunk and extremity muscles were involved at some occasions during the course. The spreading of symptoms in these cases occured at various stages from two weeks to four and half years after the onset of ocular symptoms.The condition of patients at the last observation was considered as complete cure in 5 cases, remarkably ameliorated in 31, not changed in 1, and aggravated in 1.The disturbance of ocular movement was the most frequent symptom persisting at the last observa tion, followed by ptosis, double vision, reduced visual acuity and photophobia in frequency, but no bulbar nor extremity symptoms were observed at that time.Based on both clinical findings and the Tensilon response, symptoms present at the last follow-up observation were considered to be myasthenic as yet only in 25 out of 33 cases, while in other 5 cases symptoms became stationary and not myasthenic.
著者
大澤 真木子 近藤 恵里 鈴木 暢子 平山 義人 原田 淳子 鈴木 典子 斎藤 加代子 福山 幸夫 石原 傳幸
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.95-109, 1996-03-25

先天性筋ジストロフィー(CMD)という語は,生下時または生後数ヵ月以内に筋力低下を示し,筋生検ではジストロフィー変化を示す乳児に対し広く用いられてきた.本邦では知能障害を伴う福山型CMDが知られ症例も多い.欧米例は,一般に知能障害は伴わず,筋症状だけを示すと考えられてきた.Nogenが知能は正常であるがCT上白質の瀰漫性の低吸収域を呈するCMD例を報告し,続いて同様の症例が報告され,知能障害は伴わないが中枢神経系に異常のあるCMDの存在が注目を浴びるようになった.1994年にこれらと臨床像が一致する例でメロシンの欠損が認められ,遺伝子座は6q2に存在することが判明した.我々は,生下時より著明な筋力低下を呈し,知能正常,瀰漫性白質低吸収域を呈するCMD例を経験し1981年CMDII型として報告した.さらに,知能正常,生後まもなく筋力低下を示し,筋生検ではジストロフィー変化を呈する同様な例を3例経験した.いずれも生後3ヵ月以前に発症し,定頚が7ヵ月以降と遅れていた.しかしながら,1例を除き坐位保持は1歳未満で獲得しており,いざり這いも可能となった.仮性肥大を認めず,顔筋罹患は軽度に止まり,年長時には顔が細長く見える.1例は, 22歳まで経過観察したが,4歳時および19歳時の頭部CTではいずれも瀰漫性白質低吸収域を認め,両所見に差は認めなかった.最高運動機能はいざり這いで,2歳6ヵ月より11歳まで可能であった.同様の本邦報告例は散見されるが,16年間という長期経過を観察可能であった例は他になく,本邦および欧米例の文献展望を加え,本症の位置付け,分類上の今後の問題点などを検討報告した.