著者
加藤 正也 佐藤 雄也 中山 幸量 奥谷 真由子 福島 啓太郎 黒澤 秀光 吉原 重美
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.50-52, 2019 (Released:2019-04-12)
参考文献数
7

高リスク群の神経芽腫の治療において輸血は重要な補助療法である.小児領域で輸血を行うためには親権者から承諾を得る必要があるが,宗教的な理由で拒否した場合は親権停止の申立を考慮する必要がある.しかし,この行為は親権者と医療従事者との関係を悪くさせる可能性があり,神経芽腫の児の治療にとって望ましくない環境である.高リスク群の神経芽腫である18か月男児が入院した.両親は宗教的な理由で児への輸血を拒否した.医療ソーシャルワーカー(SW),児童相談所と連携し患児を一時保護で入院させた.輸血同意書を含めた全ての承諾書は児童相談所長がサインすることで両親から加療をする承諾を得た.親権停止の手続きは行わず,医療者と両親間のトラブルもなく予定通りの加療を行った.
著者
佐野 弘純 福島 啓太郎 矢野 道広 嘉数 真理子 篠田 邦大 加藤 陽子 新小田 雄一 森 尚子 石田 裕二 斎藤 雄弥 豊田 秀実 足立 壯一 大曽根 眞也
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.275-280, 2022 (Released:2022-10-25)
参考文献数
4

【背景】小児血液・腫瘍性疾患の長期にわたる治療に際し用いられる中心静脈カテーテル(Central Venous Catheter; CVC)について,全国的にどういった種類のCVCが使用され,どのように管理されているかについての情報は乏しい.そこで日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)参加施設でのCVCの使用・管理状況について調査した.【方法】JPLSG参加155施設に2016年2月から同年7月まで,CVCの使用・管理状況について,SurveyMonkey®を用いたWebアンケート調査を行った.【結果】98施設(63%)から回答を得た.以下,「%」は回答した施設数を母数とした回答比率を指すものとする.白血病・リンパ腫の患児に対しては97%の施設が基本的に全例にCVCを使用していると答えた.CVCのタイプ別にみると,長期留置型は86%の,短期留置型は16%の,ポートは7%の,末梢挿入型は44%の施設で使用されていた.皮膚刺入部の管理法,アクセスポートを含めた輸液ラインの管理法,カテーテル関連血流感染症が疑われた際の対応については施設ごとで差を認めた.【考察】施設の規模や診療体制の違いからCVCの使用や管理の状況は施設ごとに大きく異なっていた.今後はCVCを安全に使用し,感染を予防するための管理指針が必要と考えられた.
著者
大髙 智博 市川 剛 安藤 裕輔 髙栁 文貴 大坪 勇人 福島 啓太郎 今高 城治 吉原 重美 Tomohiro Otaka Go Ichikawa Yusuke Ando Fumitaka Takayanagi Yuto Otubo Keitaro Fukushima George Imataka Shigemi Yoshihara
出版者
獨協医学会
雑誌
Dokkyo Journal of Medical Sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.49-54, 2020-07-25

2019年12月以降,中国湖北省武漢より広まった新型コロナウイルス(severe acute respiratorysyndrome coronavirus 2;SARS-CoV-2)による感染症(coronavirus disease 2019;COVID-19)の流行により,2020年5月末時点で全世界で33万人を超える死者が報告された.致死率は高齢者や基礎疾患を有する患者に高く,現時点で有効な治療法は確立していない.また急務とされるワクチンの開発も実現していない.人々は集団感染を予防するため世界の各都市で都市封鎖や自粛生活を余儀なくされた.更なる感染拡大の防止に向けて,成人のCOVID-19においては既存の治療薬を応用した対症療法の確立が試みられている.しかし小児の治療法に関する報告は少ない.本稿では小児のCOVID-19の治療になりえる薬剤や投与方法について国内外の知見を参考に,当院小児科における治療方針(案)を定めた.