著者
一杉 正仁 菅谷 仁 平林 秀樹 妹尾 正 下田 和孝 田所 望 古田 裕明
出版者
獨協医科大学
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.79-84, 2008-07
被引用文献数
1

医学部6年生を対象に,試験におけるマークミスの実態調査を行い,有用な予防対策を検討した. 36人の学生が530問の医師国家試験用模擬試験を解答し,自己採点結果と実際の採点結果を照合した.半数以上の受験生が1問以上のマークミスをおかしていた.ミスの具体的内容では,自己採点が正しいものの,マークは誤っていた場合が45.7〜54.8%と最も多く,選択数を誤っていた場合が30.4%〜35.7%と続いた.また, 5肢複択問題のしめる割合が増えるにしたがって,マークミスの頻度も有意に増加する傾向であった.受験者の正味試験時間を調べると,規定時間の約10%は見直し時間として利用できることがわかった.受験者は,自ら選択した解答肢が正確にマークシートに記入されているかを見直すことで,不本意な失点が防げると思われる.マークミス予防の指導は, fail-safeの対策としても重要であり,医師となった後にも十分役立つと考えられる.
著者
秋山 一文 斉藤 淳
出版者
獨協医科大学
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.207-212, 2006-10-25
被引用文献数
1

脳には視床下部-下垂体-副腎皮質系(hypothalamiic-pituitary-adrenocortical axis, HPA系)とノルアドレナリン系というストレス反応を担う2つの系が存在する.急性のストレス反応を終焉させるためにHPA系全体に負のフィードバックが作動する.しかしストレス反応は長期化すればいわば「両刃の刃」としての性質をもつようになる.その引き金になるのがストレスの反復による海馬神経細胞への障害で,これにはbrain derived neurotrophic factor(BDNF)の減少が関与しているかもしれない.またストレスの反復によって脳内ノルアドレナリンの放出は感作される.精神障害は何らかの意味でストレスの影響を被るが,特にストレス反応を担うHPAの制御の障害が示唆される精神障害としてうつ病.外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder, PTSD),摂食障害を取り上げた.いずれも遺伝的要因を含む脆弱性を有する個人に何らかのストレス負荷が加わり発症するという図式に共通点がある.しかしデキサメサゾン抑制試験で評価したHPAの制御障害の方向性はうつ病では非抑制,PTSDでは過剰抑制と相反している.MRIによるうつ病の画像研究では海馬の萎縮を認めた報告が多い.これがいつから始まるかという問題はストレスによる海馬神経細胞への障害の時間的経過という点で興味深いが更に今後の検討が必要と考えられる.近年,児童虐待が社会問題化しているが,被虐待児が後年になってうつ病,あるいはPTSDなど深刻な精神障害を高率に発症することが見いだされている.このようにストレスと精神障害との関係は大きな広がりを見せつつある.
著者
石井 芳樹
出版者
獨協医科大学
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.245-249, 2012-10-25

大規模災害発生時の健康障害として問題となるのは,災害そのものによる疾患の発生と災害による環境衛生の悪化によって発症する疾患,さらに災害によるライフラインの途絶や医薬供給の途絶による医療サポートの欠如などである (表1).呼吸器疾患領域においては,停電により慢性呼吸不全患者に対する在宅酸素療法や在宅呼吸器管理ができなくなる問題,被災による寒冷曝露や粉塵曝露による感冒や肺炎への罹患,口腔衛生状態悪化による誤嚥性肺炎の増加,集団避難所などにおける伝染性疾患の流行,常用薬の紛失や入手困難に伴う慢性疾患の増悪,ストレスに伴う慢性疾患の増悪,車内生活や狭い避難所生活による下肢静脈血栓と肺血栓塞栓症の発症,ヘドロ肺など災害に特有の呼吸器疾患,肺挫傷など外傷性呼吸器疾患など多彩な病態が挙げられる.本稿では,多様な災害関連の問題の中から在宅酸素療法患者への対応と災害時の粉塵曝露による呼吸器疾患の問題の2 つに焦点を当てて論じたい.
著者
石川 知弘
出版者
獨協医学会
雑誌
Dokkyo Journal of Medical Sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.303-313, 2021-10-25

2019年末から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2年近く経過した今も世界中で公衆衛生上の問題となっており,COVID-19制圧には効果的なワクチンと治療薬の開発が喫緊の課題である.COVID-19の与えた国際社会へのインパクトは大きく,多くの研究者や企業がワクチンや治療薬の開発に尽力し,日本国内でもワクチンや抗体カクテル薬などが既に認可されている.特にワクチンにおいては従来のワクチン種別に無いmRNAワクチン2種とウイルスベクターワクチン1種が先んじて特例承認という形で日本でも認可されている.本稿では,これら日本国内で承認されたワクチンの詳細を中心に新型コロナウイルスに対するワクチン開発状況を解説する.また,日本国内での接種後副反応の出現状況やワクチン接種に係る懸念事項(ワクチンによる感染増強や変異株に対する有効性など)についても論じたい.
著者
今高 城治 城山 泰彦 矢澤 卓也 George Imataka Yasuhiko Kiyama Takuya Yazawa
出版者
獨協医学会
雑誌
Dokkyo Journal of Medical Sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.85-88, 2022-12-25

世界の中で日本の大学の国際競争力が問われている.その大きな要因として,研究者の情報発信力の低下が指摘されている.医科学生物学分野における国際的研究論文が収載される米国National Center for Biotechnology Informationが運営するPubMedは,世界中の医学者が利用する権威のある非営利の検索エンジンである.日本国内の医学部における学内刊行誌においても,5つの英文ジャーナルがPubMedと共にJournal Citation Reportsに掲載されジャーナル・インパクトファクターが付与されている.本稿では,日本国内の医学部で刊行されている学内誌の現状と,PubMedへ収載するための申請として,MEDLINEの受理の状況について紹介し,国内医学部が刊行する学術誌を国際化することの戦略的意義について述べる.
著者
村越 友紀 望月 善子 渡辺 博 稲葉 憲之
出版者
獨協医科大学
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.87-94, 2011-03-25

10 代妊娠を「防ぐべきである」という視点ではなく,出産を目指す10 代妊婦に共感し,母性意識の発達を促し,セルフケアできるよう援助していくための方法を探索することを目的として,1998 年から10 年間に当センターで出産した10 代妊婦138 名を対象に承諾を得た85 名に対し,アンケート調査を実施した (回収率45.9%).妊娠時の心境としては妊娠を肯定的に受け止めていた者が76.9%であったが,出産時には92.3%と増加していた.現在の相談相手は母親,夫,友人であり,育児,金銭面の相談が主であったが,相談相手すらいない状況下,一人で育児を行っている者もいた.10 代での妊娠出産をよかったと71.8%が判断していたが,10 代出産のデメリットは経済的不安,知識の少なさが挙げられた.思春期には性行動,妊娠,出産そして育児など長いスタンスの知識提供と現況を把握理解した上での支援体制が必要と考える.
著者
加藤 仲幸 藤原 淳 本田 俊夫 種市 洋 Nakayuki Kato Atsushi Fujiwara Toshio Honda Hiroshi Taneichi 獨協医科大学整形外科学 獨協医科大学整形外科学 獨協医科大学整形外科学 獨協医科大学整形外科学 Dept. of Orthop. Dokkyo Medical University School of Medicine Dept. of Orthop. Dokkyo Medical University School of Medicine Dept. of Orthop. Dokkyo Medical University School of Medicine Dept. of Orthop. Dokkyo Medical University School of Medicine
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.85-93, 2007-07-01

【目的】腰椎可動性の評価は腰痛性疾患の診断や治療効果判定に際し重要である.簡単な取り付け器具で体幹に装着し, X線撮影なしに腰椎可動域を評価できる簡易腰椎可動域測定器を開発し,測定データの正確性および信頼性を評価したので報告する.【方法】簡易腰椎可動域測定器は,金属製の固定板,その中央に垂直に取り付けられた計測バー,固定板を体幹に確実に固定するゴムバンドより構成されている.第12胸椎と仙骨上の体幹背面に装着した測定器による可動域と実際の腰椎可動域をX線およびCTを用いて計測し,正確性,測定者間および測定者内の一致度および再現性を検討した.【結果】前後屈および回旋可動域に関しては測定値とX線計測値はよく相関し,かつ,その平均値に有意差はないことから正確性は良好であった.一方,前後屈の各体位における測定値とX線計測値には有意差があること,各回旋位の計測値の相関関係にはばらつきが多かったことから,本測定器は腰椎の肢位をX線と同様に捉えていなかった.また,側屈可動域に関しては,測定値とX線計測値の相関は前後屈や回旋より劣り,かつ,その計測値にも有意差が見られたことから,側屈可動域に関する本測定器の正確性は不十分であった.さらに,測定者間および測定者内一致度はすべての項目で高く再現性も認められた.【結論】前後屈および回旋可動域は簡易腰椎可動域測定器により低コストで簡便に測定でき,その正確性や信頼性も優れていた.
著者
古郡 規雄 下田 和孝
出版者
獨協医学会
雑誌
Dokkyo Journal of Medical Sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.259-265, 2020-10-25

パーソナリティとは,個人の感情,認識,欲望,行動のパターンにおける一貫性と一貫性を説明するために使用される抽象化されたものである.近年,ビッグ・ファイブ理論の一般的普及や,行動遺伝学,神経生物学等の発展を背景にして,パーソナリティに対する関心が高まっている.次元論的人格理論のうち代表的なものとしては,Cloninger による7次元モデルやCosta & McCrae によるビッグ・ファイブ理論がある.近年の分子遺伝学の進歩によりパーソナリティに関与する遺伝子は数多く,一つ一つの効果は小さいと結論づけられている.本稿では7次元モデルとビッグ・ファイブ理論を紹介し,過去に我々が行った研究ではドパミンDRD4遺伝子多型は新規性追求と血液型ABO 遺伝子多型が固執に影響を及ぼしていた.今後は,脳画像研究や神経生理学的検証でさらなる確認試験が必要となる.
著者
上地 秀昭 Hideaki Uechi 豊見城中央病院産婦人科 : 獨協医科大学産科婦人科学 Devision of Obstetrics and Gynecology Tomishiro central Hospital : Department of Obstetrics and Gynecology Dokkyo Medical University
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.25-31, 2011-03-25

近年若年女性の子宮頸部異形成や上皮内癌などの初期病変が増加傾向にあり,その治療として子宮頸部円錐切除術(円切)が施行されている.円切により子宮頸部浸潤癌の発生を減少させるが,再発した場合浸潤癌へ進展する危険性は高い.そのため治療後の再発を早期に発見することが求められる.今回,当院で円切を施行した226 例において,円切前後におけるhuman papillomavirus(HPV)感染と外科断端陰性例での再発との関連性を検討した.術前のHPV 陽性率は97.3%(220/226 例)であり,HPV16 型が最も多く44.5%を占めた.HPV 陽性220 例中54 例(25.4%)に術後HPV 陽性が持続し,HPV 陰性例に比して再発率が有意に高かった(p<0.01).また,外科断端陰性の181 例においても,円切後HPV が持続した例での再発率が有意に高かった(p<0.01).さらに円切後HPV 陽性の外科断端陰性例において,円切前後で同じ型のHPV が持続した例では有意に再発率が高かった(p<0.01).以上より,円切後HPV 陽性及びHPV の型(同一)は再発のリスク因子であり,円切後のフォローアップに細胞診のみでなくHPV 検査及び型検索を併用して行うことが重要である.
著者
加藤 正也 今高 城治 岡本 健太郎 谷 有希子 山口 岳史 荻野 恵 土岡 丘 加藤 広行 有阪 治 Masaya Kato George Imataka Kentaro Okamoto Yukiko Tani Takeshi Yamaguchi Kei Ogino Takashi Tuchioka Hiroyuki Kato Osamu Arisaka 獨協医科大学医学部 小児科学 獨協医科大学医学部 小児科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 第一外科学 獨協医科大学医学部 小児科学 Department Of Pediatrics Dokkyo Medical University Department Of Pediatrics Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University First Department Of Surgery Dokkyo Medical University Department Of Pediatrics Dokkyo Medical University
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.173-176, 2014-07-25

症例1は6歳女児.インフルエンザ感染症初日に発熱しオセルタミビルを開始.第3病日,右下腹部に限局した圧痛が出現.腹部造影CTで糞石を認め急性虫垂炎と診断.保存的に加療し炎症反応と腹痛は改善した.症例2は5歳女児.第1病日に発熱と腹痛を認め,第3病日に鼻咽腔迅速検査でインフルエンザB型と診断しザナミビル吸入を開始.触診で右下腹部に反跳痛を認め,腹部単純CTで虫垂壁の肥厚と糞石を確認.急性虫垂炎の併発と診断し,第4病日に虫垂切除術を施行.切除虫垂に膿瘍を認め腹腔ドレーンを留置.第5病日に解熱し経過は順調であった.インフルエンザに伴う腹痛では感染に付随する腹痛と断定せず急性虫垂炎の可能性も考慮し腹部CTなどの画像検査を行うことが肝要である.
著者
渡部 弥栄子 今高 城治 斎藤 祥子 岩波 久威 鈴木 紫布 金谷 英明 桑島 成子 有阪 治 Yaeko Watabe George Imataka Shoko Saito Hisatake Iwanami Shiho Suzuki Hideaki Kanaya Shigeko Kuwashima Osamu Arisaka 獨協医科大学医学部 小児科学 獨協医科大学医学部 小児科学 獨協医科大学医学部 小児科学 獨協医科大学医学部 内科学(神経) 獨協医科大学医学部 内科学(神経) 獨協医科大学医学部 脳神経外科 獨協医科大学医学部 放射線科 獨協医科大学医学部 小児科学 Departments Of Pediatrics Dokkyo Medical University School Of Medicine Departments Of Pediatrics Dokkyo Medical University School Of Medicine Departments Of Pediatrics Dokkyo Medical University School Of Medicine Neurology Dokkyo Medical University School Of Medicine Neurology Dokkyo Medical University School Of Medicine Neurosurgery Dokkyo Medical University School Of Medicine Radiology Dokkyo Medical University School Of Medicine Departments Of Pediatrics Dokkyo Medical University School Of Medicine
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.177-181, 2014-07-25

Tolosa-Hunt症候群(THS)は先行する片側眼窩部痛と眼球運動障害を生じ,病態は海綿静脈洞の非特異的炎症性肉芽腫病変と推測されている.発症は年間100万人あたり1人前後で,40歳台の成人に多く小児例は稀である.今回,1カ月続く右眼をえぐられる様な頭痛を主訴とした15歳のTHSを報告する.発症後,各種頭痛薬で改善がなく,各種検査を施行し異常がないため心身症に伴う反復する片頭痛と診断された.当院で脳MRIを施行し右内頸動脈の狭窄を認めTHSと確定診断した.プレドニゾロン(PSL)1?mg/kg/dayを朝1回開始し,翌日頭痛は改善した.以降,半年かけてPSLを漸減し再発はない.Tolosa-Hunt syndrome(THS)is characterized by periorbital pain accompanying opthalmoplegia. The pathogenesis is considered to involve non-specific granulomatous inflammation in the cavernous sinus, and the frequency is around one case per year per million people. Symptoms usually develop in adulthood, and pediatric cases are rare. We report herein a case of THS in a 15-year-old girl whose headache was diagnosed as psychosomatic disease in the early stage of the clinical course. Her chief compliant was headache with strong pain in the right eye, continuing for 1 month. Although several medications were trialed to alleviate headaches, no improvement was achieved. Various physical examinations proved uninformative. Headache was therefore tentatively diagnosed as psychosomatic disease associated with migraine. Brain magnetic resonance imaging in our university hospital revealed strangulation of the internal carotid artery, and headache was diagnosed as confirmed THS. Oral administration of prednisolone was started at 1 mg/kg/day, given once in the morning. Headache improved from the next day. Oral therapy with prednisolone was tapered over the course of 6 months and headache did not recur.
著者
今高 城治 塚田 佳子 藤澤 正英 宮本 健志 萩澤 進 山内 秀雄 平尾 準一 有阪 治 George Imataka Keiko Tsukada Masahide Fujisawa Kenji Miyamoto Susumu Hagiwara Hideo Yamanouchi Jun-ichi Hirano Osamu Arisaka 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 獨協医科大学小児科学 Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine Department of Pediatrics Dokkyo Medical University School of Medicine
雑誌
Dokkyo journal of medical sciences (ISSN:03855023)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.161-165, 2009-10-25

当院で臨床的に脳死状態と判定してから長期間の入院経過をたどった3小児例を報告した.脳死判定の基準は,平成11年度・厚生省「小児における脳死判定基準」を参考とした.国内の小児脳死症例調査の蓄積は十分ではないが,小児の脳死では長期間の経過をたどる例が多く問題視されている.現在,当院の小児病棟には,長期の臨床的脳死児を管理するための終末期医療に適した病床環境がなく,一般の急性期入院児と同室で長期脳死児の管理を行っている.当院の小児病棟に終末期ケアの可能なベッドが一日でも早く確保されることが望まれる.We herein report three pediatric cases that stayed at ourhospital for a long period of time after they were determinedto be clinically brain death. The "Criteria for the diagnosisof brain death in children" issued by the Ministry ofWelfare in 1999 was referred to for determining braindeath. Although a sufficient number of pediatric cases ofbrain death in Japan has not yet been accumulated, one ofthe problems has been that many pediatric cases of braindeath involve a long-term course. The pediatric ward ofour hospital currently does not have an environment suitablefor end-of-life care to manage pediatric cases sufferingfrom long-term clinical brain death, so child patients withlong-term brain death are currently being managed togetherwith general pediatric cases of acute-phase hospitalization.It is hoped that terminal-phase beds that enable longtermtreatment and management will be secured in thepediatric ward of our hospital as soon as possible.