著者
福島 知己
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

『レヴォルト・ロジック』は、1975年から81年までパリ第8大学のジャック・ランシエールとジャン・ボレーユを中心に形成された研究グループが刊行していた、労働運動史などに関する研究誌である。本研究ではグループに参加していた何人かの研究者へのインタビューを通じて、研究グループがもっていた非権威主義的な性格や共同研究者たちが共通して抱いていた越境への意志のようなものが、この共同研究を嚮導していたことを理解した。あわせて『プロレタリアの夜』や『歴史の名前』などランシエールが『レヴォルト・ロジック』の前後に構想した著作の分析をおこない、両者が一貫した関心のもとで執筆されていたことを明らかにした。
著者
福島 知己
出版者
一橋大学附属図書館研究開発室
雑誌
一橋大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:21876754)
巻号頁・発行日
no.4, pp.1-17, 2016-06-30

慶應義塾大学および東京商科大学で教鞭をとった福田徳三は、関東大震災勃発時の東京帝国大学附属図書館全焼に際して、一見すると冷淡とも見える見解を披瀝しているが、それは彼の大学図書館についての確固とした信念にもとづいた発言であった。本稿では、極窮権を中心とする福田の見解を手掛かりにして、大学図書館についての彼の主張を、その社会思想の全体から理解しようと試みた。福田の人間研究としての経済学の立場から見て、大学図書館とは、人間の精神的発達のあかしであった。Tokuzō Fukuda, who taught at Keio University and Tokyo University of Commerce, expressed apparently cold feeling when he heard that Tokyo Imperial University Library had been totally destroyed by fire after the Great Kantō Earthquake of 1923. In fact, his opinion was based on his unshakable belief on university library. This article tried to place it in his whole social thought, connecting it especially with his idea of right to extreme need. From his point of view, economics constitute part of the study of mankind, university library a token of their mental development.
著者
小関 武史 深貝 保則 玉田 敦子 坂本 貴志 武田 将明 松波 京子 川名 雄一郎 長尾 伸一 屋敷 二郎 福島 知己 福田 名津子 逸見 竜生 坂倉 裕治 隠岐 さや香 飯田 賢穂
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

18世紀西洋の啓蒙は、科学、技術から政治思想に至る広範な領域で、19世紀以後の知の原型を与えたと考えられてきた。また20世紀後半以後の「近代」批判に対しては、啓蒙の現代的意義が主張されてきた。他方近年の啓蒙研究は、膨大な資料の丹念な発掘と読解、あるいはデジタル化などの新技術に基づき、当時のテクストを時代の文脈の中に位置づけ、多様で複雑な知の在り方を明らかにしてきたが、現代思想における近代批判や啓蒙の再評価に応える統一的な像を提起するには至っていない。本研究は啓蒙研究の現段階の方法と成果を総合し、「浮動する知の境界」という視点から多方面の貴重資料の分析を行い、啓蒙の知の総合的な解釈を試みる。
著者
福島 知己
出版者
日本評論社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.121, no.2, pp.372-390, 1999-02-01

論文タイプ||論説