- 著者
-
甲斐 義浩
幸田 仁志
山田 悠司
三浦 雄一郎
福島 秀晃
竹島 稔
来田 宣幸
森原 徹
- 出版者
- 日本肩関節学会
- 雑誌
- 肩関節 (ISSN:09104461)
- 巻号頁・発行日
- vol.43, no.2, pp.411-414, 2019 (Released:2019-09-18)
- 参考文献数
- 12
本研究では,肩関節の総合的な柔軟性を得点化できる肩複合柔軟性テストを考案し,そのテスト法の信頼性と妥当性について検討した.対象は,健常若年者43名,健常高齢者252名,肩病変を有する高齢者111名とした.肩複合柔軟性テストは,外転,内転,外旋,内旋,複合テストの5項目で構成される.各テストには,4段階(0, 1, 2, 3)の判定基準を設定し,5項目の合計得点を0~15点で算出した.分析の結果,本テストの判定一致度(k係数:0.81-1.00)および合計得点(ICC:0.91)ともに,優秀な検者間信頼性が確認された.また,合計得点と肩甲上腕関節可動域との間に有意な正相関が認められた.対象者の合計得点は,健常若年者:12.5 ± 1.7点,健常肩高齢者:10.4 ± 2.5点,病変肩高齢者:8.7 ± 2.8点であり,病変肩群の得点は他の2群と比べて有意に低かった(p < 0.01).これらの知見より,肩関節の総合的な柔軟性を得点化できる尺度として,本法の信頼性と妥当性が示された.