著者
新山 徳光 松橋 正仁 工藤 三之 福田 秀樹 吉川 進太郎
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.65, pp.135-138, 2014-12-19 (Released:2018-01-30)
参考文献数
9

2013 年の秋田県におけるイネヒメハモグリバエの発生は,沿岸部を中心に広域的な多発生となった.多発要因として各種気象要因やイネの移植時期と成虫発生時期の関係を検討したところ,これまで本種の多発要因として指摘されてきた前年夏期の低温,冬期の高温,早期融雪はいずれも2012~2013 年の気象条件に当てはまらなかった.一方,2013 年は4 月3 半旬から5 月2 半旬までの継続した低温により成虫の発生時期が遅れ,結果的にイネの移植時期と成虫発生時期が一致した.このことが同年のイネヒメハモグリバエ多発生の主な要因と考えられた.
著者
梅澤 有 福田 秀樹 小針 統
出版者
日本海洋学会 沿岸海洋研究会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.3-10, 2017 (Released:2020-02-12)
参考文献数
17

地方の都道府県に立地する大学の多くは,18歳人口の減少と大学進学率の停滞によって,地元からの大学進学者の割合が低下し,大都市圏から多くの学生が集まるようになっている.学生は卒業後に出身地に戻って就職をすることも多いため,今後も続くこの傾向は,地方大学の人材育成方針にも影響を与えうる.一方で,卒業生が,水産・海洋系の専門を活かして,大学院への進学や,公的機関に就職するだけでなく,多様な民間企業へと就職していく現在,専門に特化した教育だけでなく,応用力,問題解決能力,語学を含むコミュニケーション能力等を持ち,多方面で活躍できる人材の育成が一つの鍵となっている.アクティブラーニングの活用,地域だけに特化しない総合的な水産・海洋教育,大学間連携と いった大学教育に加えて,地域の小学生から社会人を対象とした教育活動など,広範な視野をもった教育が,今後の水 産・海洋分野の発展には必要と考えられる.
著者
福田 秀樹
出版者
医学書院
雑誌
神経研究の進歩 (ISSN:00018724)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.462-470, 1996-06-10

はじめに 突然,視野の中にものが現れたり,注意を引くものがあると,その方向へすばやく目が動く。このような目の動きはサッケード(saccade)と呼ばれ,その発現には前頭前野,前頭眼野,補足眼野,頭頂連合野などの大脳皮質,大脳基底核,中脳,脳幹,小脳など脳の多くの領域が関与している(Goldbergetal,1991)。臨床神経学では,これらの領域に器質的,機能的障害があるとサッケードに異常が生じるために,サッケードは神経疾患の病態生理解明の一つの重要な指標とされてきた(Fletcher,Sharpe,1986;Hikosakaetal,1993;1995;Laskeretal,1987;Zeeetal,1976)。 しかしながら,パーキンソン病やアルツハイマー病のコントロールとなる正常な高齢者のサッケードの特徴を調べた研究では,サッケード潜時が遅れる点で一致した結果が得られているが,振幅と最大角速度については一貫しなかった(Abeletal,1983;Carteret al,1983;馬嶋ら,1981;Moschneretal,1994;Sharpe,Zackon,1987;Spooneretal,1980;蕨ら,1984;Wilsonetal,1993)。