著者
西田 鶴代 筧 一彦 穂刈 治英 島田 正治
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.735-741, 1999-11-01 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
4

聴覚による音源の方向定位は,視覚的な手がかりによって影響を受けることがよく知られている。このため,一般に音源定位の実験においては音源に関する視覚情報を与えないようにしている。しかし,スピーカを多数配置する場合には,音源に関する視覚情報の手掛かりは小さいとしてスピーカが見える状態で実験を行っている例が多い。この影響を検討するため,スピーカが見える場合(視覚情報"あり")と見えない場合(視覚情報"なし")で音源栄位受聴試験を行い,その実験データをもとに知覚のファジィ論理モデル(FLMP)を用いて,音源定位における視覚情報の影響の強さを定量的に示した。この結果に基づいて,音源定位実験の実験方法に関する考察を行った。
著者
小林 和則 穂刈 治英 島田 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.193-200, 1999-02-25
被引用文献数
13 6

話者位置推定技術は, 音声信号と話者位置情報を同時に送信し音場を再現する臨場感ある遠隔地会議システムや, 音源位置に自動的にテレビカメラの照準を合わせる監視システムなどに応用することができる. 本論文では, 新しい複数話者位置推定方法として, 同期乗算を用いた方法を提案する. 提案方法の特徴は, 同時に音を発する複数話者の位置を検出可能であること, 実時間処理に適していることである. また, 実験により2次元的に配置された複数話者の位置推定を行い, 複数話者位置推定に提案方法が有用であることを確認した. 更に, 同期加算法との比較を行い, 本方法が位置推定精度, 複数話者の分離の面で優れていることを示した.
著者
土田 豊 穂刈 治英 島田 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.715, pp.35-40, 2005-03-07

ディジタル放送やホームシアターの普及に伴い, 一般家庭においても映像、音の高臨場感化が進んでいる。音については、複数のスピーカを用いたマルチチャネル再生となり、ITU-R勧告BS.775-1の3-2方式が推奨されている。しかしながら、一般家庭において部屋の形状や設置スペースの問題から、スピーカを3-2方式で配置することは困難な場合が予想される。3-2方式と異なるスピーカ配置では、音像定位に影響を及ぼすことが考えられる。そこで本報告では、3-2方式と異なるスピーカ配置で、仮想音源を生成することにより、3-2方式と同等な音像定位を得る補正方法を提案した。仮想音源の再現精度について客観評価、主観評価試験を行い、更に音像定位補正効果の検証を行った。その結果、提案した音像定位補正方法は、3-2方式と同等な音像定位知覚を得るのに有効であることを示した。
著者
山地 哲朗 穂刈 治英 島田 正治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.596, pp.63-67, 2002-01-18

近年、空間に仮想的な音源を創り出す音像定位技術についての研究が盛んに行われている。音像定位受聴試験はこの技術を評価するための重要な試験である。しかしながら、音像定位受聴試験の方法についての検討は十分ではない。本研究の目的は、音像定位受聴試験方法の確立である。本稿では、拡声受聴系に焦点をあて、音像の定位感と刺激の提示時間、断続の関係について検討を行った。その結果、提示時間が0.01sから0.3sの間では定位感が上昇し、0.3s以上では飽和すること、また断続により定位感が上昇することが確認された。