- 著者
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小俣 訓子
高倉 義幸
窪田 健児
濵本 和孝
岸本 風汰
飯田 美穂
唄 大輔
高倉 義典
- 出版者
- 公益社団法人 日本理学療法士協会
- 雑誌
- 理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
- 巻号頁・発行日
- pp.0331, 2017 (Released:2017-04-24)
【はじめに】足関節の機能を評価する指標として足関節・後足部判定基準(JSSF scale)が日本足の外科学会で制定されている。これは疼痛,機能,アライメントの3大項目から成り,合計100点満点で構成されている。末期の変形性足関節症(OA)などにより日常生活動作(ADL)に支障を来す症例に対し,足関節固定術(固定術)や人工足関節全置換術(TAA)が行われる。現在までに固定術およびTAAの術前後や術式間において,JSSF scaleなどを用いて足関節の機能を定量的に評価した研究は極めて少ない。機能の改善には術前後における理学療法も重要であるため,当院ではこれらの手術例に対し,JSSF scaleの変化および機能向上の指標になる関節可動域(ROM)について,術前後あるいは術式間で比較検討したので考察を交えて報告する。【方法】対象は当院で2011年7月~2016年8月の期間に固定術あるいはTAAを行ったOAを中心とした49名49足(固定術20足,TAA29足)である。年齢35歳~89歳(平均70.02歳),男性15名,女性34名であった。術前の理学療法は患側の関節可動域運動(ROMex),足関節周囲筋の筋力向上運動を実施し,術後4週間のギプス固定期間中は足関節周囲筋の等尺性収縮運動,患部以外の運動,ギプス除去後は段階的に患側のROMex,さらに筋力向上運動を実施した。評価項目は,JSSF scaleと足関節のROMを術前と術後12か月で測定した。統計学的解析は,JSSF scaleの3大項目と合計点数,さらに足関節ROMについて術前後あるいは術式間でt検定を用いて比較検討した。有意水準は5%未満とした。【結果】固定術ならびにTAAの術前後において,JSSF scaleの3大項目のすべてで術後有意に改善が認められた(p< 0.05)。OAに対する手術療法の目的は除痛とアライメント矯正であり,前述の改善を認めたことは手術の目的を果たしていた。そして,術式間の比較ではJSSF scaleの3大項目すべてにおいて有意差は認められなかった。つまり,いずれの術式においてもJSSF scaleによる機能評価では有意に改善していたと考えた。ROMに関しては,固定術およびTAAともにすべての方向において術前後で有意差が認められなかった。これは術前のROMが維持できていると考えられ,術前からの理学療法の効果と考える。また,術式間でのROM比較では,術後の底屈および背屈で固定術群に対してTAA群で有意に改善が認められた。これはTAA群では関節置換によりROMがより向上した結果と考えられる。【結論】JSSF scaleとROMの比較により,固定術およびTAAともに術前に比して術後にROM低下は認められず,ADLとROMの改善には術前後における理学療法が重要であると考える。