著者
椿 雅俊
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.393, 2014 (Released:2014-12-16)

従来、管理型廃棄物処分場における遮水工については表面遮水では遮水シート、鉛直遮水では遮水矢板等があり、施工性や経済性、長期安定性が求められている。特に鉛直遮水工に採用される鋼矢板・鋼管矢板による遮水壁では継手部の遮水性能が求められる。本稿では処分場を上流側と下流側に分断する目的で鋼管矢板による遮水壁を処分場の廃棄物層内に構築した施工事例について報告する。
著者
青木 泰 西岡 政子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.29, 2014 (Released:2014-12-16)

微小粒子状物質(PM2.5)は、中国の大気汚染をきっかけに世に大きく知られることになった。PM2.5は、きわめて小さく吸い込むと肺の奥まで入りやすく、肺がんやぜん息を引き起こすリスクがある。アメリカのEnvironmental Protection Agency(EPA,米環境保護庁)でも、5年に1回環境基準の見直しを行い、昨年3月、年平均15μg/m3から12μg/m3に強化した。日本でも環境省は、注意を要する暫定的な指針値を、「1日平均で1立方メートルあたり70μg」、環境基準値の2倍とした。環境基準や指針値を設け、大気中へのPM2.5の排出を抑えるためには、排出源への対策対処が不可欠である。排出源の一つである都市ごみ焼却炉への対策は、集塵装置(バグフィルター)を備えれば99・9%捕獲できるという発表(1)などもあり、知見に寄れば、具体的な対策は取られてこなかった。しかし都市ごみ焼却炉を有する市町村の清掃工場の周辺では、児童・生徒のぜん息が多発している箇所があり、都市ごみ焼却炉によるぜん息への影響を考えたい。
著者
遠藤 和人 山田 正人
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.437, 2014 (Released:2014-12-16)

廃棄物最終処分場から放出されるガスや廃棄物中ガス濃度、土中ガス濃度等を測定する場合、現場で簡易に、かつ迅速に測定できるポータブル型のガスモニターを使用することが多い。一方で、ポータブルガスモニターは、処分場ガス等を測定する目的で開発された商品は少なく、労働環境や天然ガスの漏洩等を検出する目的で使用される。本論では、処分場ガスのような高濃度の共存ガスが存在する環境が、ポータブルガスモニターの指示値に及ぼす影響について検討した。気体熱伝導式センサーを用いてメタンを測定した場合、共存ガスとして水素ガスが1%上昇すると指示値が5.6~7%増加することが確認された。接触燃焼式センサーを用いてメタン(可燃性ガス)を測定する場合、酸素が8%以上存在する環境下でないと正確な値が表示されないことがわかった。また、電気化学セルを用いてCO濃度を測定する際には、水素ガスが存在していないことが条件となる。
著者
原田 征宏 崎田 省吾 西本 潤 西村 和之
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.425, 2014 (Released:2014-12-16)

カキ殻には、重金属や有機汚濁物質などに対する吸着能があることが知られており、微生物の付着機能も期待できることから、付着残渣を除去し、有機物含有量を下げたカキ殻を埋め立てると、埋立層の安定化促進に寄与すると考えられる。 本研究では、廃カキ殻を埋立層に投入した際の影響を調べることを目的として、廃カキ殻の環境庁告示第13号法試験(JLT13) 、pH依存性試験、重金属または栄養塩類の吸着実験を行った。また、アルカリフォスファターゼ(ALP)活性を測定した。 埋立地の環境下では、廃カキ殻からの重金属の溶出は、埋立基準値未満となることが分かった。また、廃カキ殻には、重金属、PO43--P、NH4+-N、NO3--Nに対する吸着能があった。さらに、ALP活性が認められたことから、微生物付着担体としての機能も有すると考えられた。したがって、廃カキ殻には、浸出水に対する浄化能があることが示された。
著者
坪井 俊貴 田村 典敏 野村 幸治 石田 泰之 樋口 壯太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.123, 2014 (Released:2014-12-16)

廃棄物処理処分に伴い排出される副生塩は、有効な処理処分方法あるいは資源化の方法がなく、最終処分場で保管または廃棄物として処理されているのが現状である。このような背景下で副生塩のリサイクル方法の一つとして、道路凍結防止剤や除草剤がある。この中で電気分解により次亜塩素酸ナトリウムを生成し、滅菌剤として利用する方法が実用化され始めた。副生塩には塩素とカリウムが含まれ、電気分解にかけると次亜塩素酸ナトリウムに次亜塩素酸カリウムが混在し、通常のソーダ工業の製品として流通できない。しかし、カリウムが含有されていても滅菌効果には支障がないため純正の次亜塩素酸ナトリウムに対してエコ次亜と呼称している。今回、放射能に汚染された焼却飛灰を水洗除染し、排水中の放射性セシウムを吸着剤により除去した後、イオン交換樹脂を用いて高濃度カルシウムを低減化した洗浄排水を用いて、エコ次亜生成実験及び自己酸化実験を行った。
著者
本間 寛己
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.311, 2014 (Released:2014-12-16)
被引用文献数
1

木質バイオマス用の小型燃焼炉の一つであるロケットストーブは,製作が容易でありながら燃焼効率がよいため近年注目されている.2011年の東日本大震災では,停電地域における暖房および調理用熱源として多く用いられた.しかし,設計は経験的に最適化された側面が強く,学術的な評価はあまりされていない. 本研究ではコンクリート製U字溝を燃焼室およびヒートライザに用いたロケットストーブにおいて,吸気口の面積による自然吸気量の変化や,燃焼室に簡易型火格子を設置することによる燃焼状態への影響を実験的に検討した.実験の結果から,ヒートライザの断面積に対して吸気口の面積を1/4にしても吸気量は十分であり,加えて燃焼ガス温度も上昇すること,燃焼室に火格子を設置することで,COの発生量を抑えつつ燃焼ガス温度を高められることが分かった.
著者
秦野 賢一 金沢 一樹 山津 健司 角田 欣一 窪田 健二 若松 馨
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.195, 2014 (Released:2014-12-16)

製糖工程で発生する廃糖蜜から回収される暗色物質(DM)の特性解析を行い、DMが金属結合活性を持つことを見出した。現在、植物と共に金属結合剤などを添加し土壌の重金属の易動性を高めることによる効率的な植物修復が研究されている。植物修復の促進剤としてのDMの可能性を検証する為に、各種重金属塩を含む寒天培地中にDMを添加することによるダイコンRaphanus sativusの成長阻害の軽減効果を調査した。軽減効果が確認されたPb2+, Zn2+, Ni2+, Cu2+に関しては、DMを含めた4種類のキレート剤による植物体のバイオマス量と金属蓄積量に与える影響についても検証した。硫酸銅添加培地では、DMのみが植物体のバイオマス量とCu2+蓄積量の両者を同時に促進することができた。このことは、銅汚染土壌における理想的な次世代型植物修復の促進剤としてDMが大きな可能性をもっていることを示唆した。
著者
肴倉 宏史 仲川 直子 前田 直也 角田 康輔 水谷 聡 遠藤 和人 宮脇 健太郎
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.399, 2014 (Released:2014-12-16)
被引用文献数
1

水素イオン濃度指数(pH)は,有害物質である重金属等の挙動に大きな影響を与えるだけでなく,その変化自体が生態系へ多大な影響を及ぼす。海水のpHは約8.1で安定しているが,都市ごみ焼却灰,廃コンクリート,製鋼スラグなど,廃棄物や副産物の中には水と接触すると高いアルカリ性を示すものが多い。これらは最終処分やリサイクルのために海面に投入される場合があり,その際に,海水のpHに影響を及ぼす可能性がある。ただし,海水は,外的なpH変化の要因に対して緩衝能力を有しており,pH変化の幅は蒸留水等よりも小さいことが知られている。そこで本研究では,海水のpH緩衝能力のうちの、水酸化物イオンの添加に対するモデルを構築し,緩衝のメカニズムについて考察を行った。
著者
渡邉 洋一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.279, 2014 (Released:2014-12-16)

平成24年度環境省の一般廃棄物統計では、全国で3,399万トンが焼却処理されている。焼却施設数は1,188、そのうち634施設がごみ処理量100トン/日未満施設であり、中小規模のため発電によるエネルギー回収が難しく、新たなエネルギー回収方策が模索されている。 他方、ボイラー燃料をめぐる状況は大きく変化し、資源エネルギー庁の調べでは、この20年間でC重油の価格は4倍以上上昇した。そこで、ごみ処理量100トン/日未満焼却施設のごみおよび廃棄物系バイオマスをRDF(一般廃棄物等を原料としたごみ固形燃料)にして重油代替燃料として熱利用すれば、燃料コスト削減に加えて地球温暖化対策に資することとなる。本報告では、RDF等廃棄物系バイオマスの熱利用の方策について検討する。
著者
山本 貴士 長谷川 亮 鹿島 勇治 鈴木 幹夫 横田 大樹 吉田 幸弘 上東 浩 前原 裕治 木名瀬 敦 貴田 晶子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第25回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.547, 2014 (Released:2014-12-16)

2011年3月の原発事故により,下水汚泥や焼却灰から放射性物質が高い濃度で検出される事例が東日本各地で多数報告され,原発事故由来の放射性物質に汚染された廃棄物の処理基準が定められたが,これまで廃棄物分野に特化した放射能濃度等の調査・測定法は存在しなかった。よって同年末に廃棄物等の放射能調査・測定法研究会から「廃棄物等の放射能調査・測定法暫定マニュアル」が発行された。その後,廃棄物関連分野での放射線・放射能の調査・測定に関しても事例や知見の集約が進んだことから,廃棄物資源循環学会内に設置された「廃棄物関連試料の放射能分析検討会」において改訂を行い、マニュアル(第2版)として公開した。今回は,この改訂されたマニュアルについて,改訂の経過と主な改訂点について紹介する。