著者
渡邉 高士 瀧藤 克也 三谷 泰之 窪田 昭男 山上 裕機
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.802-807, 2014-06-20 (Released:2014-06-20)
参考文献数
27

症例は在胎35 週3 日2,202 g で出生した男児.出生後より非胆汁性嘔吐を繰り返し,腹部単純レントゲン上拡張した胃泡を認めるのみでそれより肛門側の消化管ガスは認めず,上部消化管造影でも造影剤の胃からの流出を認めなかったため,先天性幽門閉鎖症の診断にて生後3 日目に手術を行った.幽門部の外観は棒状閉鎖であったが,筋層を切開すると筋性肥厚を伴った膜様閉鎖であったため,膜切除を行いHeineke-Mikulicz 法で幽門形成を施行した.先天性幽門閉鎖症の病型分類には膜様閉鎖,索状閉鎖,盲囊状閉鎖,棒状閉鎖が報告されているが,棒状閉鎖と筋性肥厚を伴う膜様閉鎖は外観上分類が困難であり手術術式を選択する上で注意が必要であると考えられる.
著者
梅田 聡 窪田 昭男 合田 太郎 田附 裕子 米田 光宏 川原 央好
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.259-262, 2015

外鼠径ヘルニア修復術後の子宮円靭帯血腫のために行った再手術の際に内性器を腹腔鏡下に観察し,内鼠径輪近傍で卵管の屈曲を認めた1 例を経験したので報告する.症例は1 歳女児.右外鼠径ヘルニアに対しMitchell-Banks 法を施行した.術後2 日目より創部の膨隆が出現し,術後8 日目の超音波検査で右鼠径部に腫瘤像を認め,血腫が疑われ再手術を行った.開創すると,遠位側ヘルニア囊内に子宮円靭帯の血腫を認めた.腹腔鏡で観察すると,卵管は内鼠径輪の近傍に鋭角に屈曲し癒着していた.腹腔鏡下に卵管の屈曲を解除後,ラパヘルクロージャー<sup>TM </sup>を用いて腹膜鞘状突起を再修復した.鼠径管を開放せず外鼠径輪の外で高位結紮を行うMitchell-Banks 法術後においても年少女児では卵管を巻き込む危険性があり,女児の外鼠径ヘルニア修復術の際には,年齢に応じたヘルニア囊内腔の十分な確認による高位結紮が肝要であると考えられた.
著者
井村 賢治 川原 央好 松尾 吉庸 窪田 昭男 福沢 正洋 鎌田 振吉 高木 洋治 岡田 正
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.815-821, 1990

Anthropometric measurements of 171 postoperative children, who had radical operations for neonatal surgical diseases from 1974 to 1985 in our institutions, were performed. Twenty-two percent of those out-patient children were classified as stunted (H/A<95%), and 26% as wasted (W/H<90%) according to Waterlow's classification. About 40% of the children had mild protein-energy malnutrition, although theier visceral protein status was preserved. In paticular, wasting was noted in patients with congeital esophageal atresia, abdominal wall defects and Hirschsprung's disease, while stunting was noted in patinets with congeital duodenal atresia. The usefulness of H/A and W/H for evaluating the long-term prognosis of post-operative children is discussed.