著者
野口 琢郎 大谷 慶人 服部 力 阿部 恭久 佐橋 憲生
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.225-229, 2007-06-01
被引用文献数
1 3

熊本県阿蘇地方におけるスギ人工林の根株腐朽被害の原因となる菌を明らかにするため40〜83年生の12林分で腐朽伐根から菌株を分離し,主要な分離菌の諸性質について調査した。調査林分では,形態的特徴の異なる8種の担子菌が分離され,そのうち2種の担子菌(担子菌Aと担子菌B)が主要なものであった。担子菌Aは南小国町1の林分で比較的高い頻度で分離された。担子菌Bはすべての調査林分で高い頻度で分離されたことから,阿蘇地方で広範囲に分布しているものと推察された。腐朽力試験の結栄,担子菌A,Bはともに木材腐朽力を有することが明らかとなった。これらのことから,阿蘇地方におけるスギ根株腐朽被害には,少なくとも担子菌Aと担子菌Bが関与していると考えられた。
著者
射場 浩介 道家 孝幸 花香 恵 金谷 久美子 阿部 恭久 山下 敏彦
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.203-209, 2016-12-26 (Released:2017-01-27)
参考文献数
20

We have recently demonstrated that pathological changes leading to increased bone resorption by osteoclast activation are related to the induction of pain–like behavior in ovariectomized (OVX)mice. In addition,we have shown that the skeletal pain accompanying osteoporosis is possibly associated with the acidic microenvironment caused by osteoclast activation under a high bone turnover state. We, therefore, hypothesize that another osteoporosis model mouse might reveal the induction of pain–like behaviors in relation with osteoporotic changes. In this study, we demonstrated that regional osteoporosis of hind limbs induced pain–like behaviors using tailsuspended mice as another osteoporosis model.The hind limbs of tail–suspended mice were unloaded for 2 weeks, during which time the mice revealed significant regional osteoporotic changes in their hind limbs accompanied by osteoclast activation. In addition, these changes were significantly recovered by the resumption of weight bearing on the hind limbs for 4 weeks. Consistent with the pathological changes in the hind limbs, pain–like behaviors in the mice were induced by tail suspension and recovered by the resumption of weight bearing. Moreover, treatment with bisphosphonate significantly prevented the triggering of the regional osteoporosis and pain–like behaviors, and antagonists of the acid–sensing nociceptors, such as transient receptor potential channel vanilloid subfamily member 1 and acid–sensing ion channels, significantly improved the painlike behaviors in the tail–suspended mice.We, therefore, believe that pathologic changes of osteoporosis due to osteo clast activation might be a trigger for the pain–like behaviors in osteoporosis patients.
著者
軽部 友明 阿部 恭久 西郷 健一 青山 博道 平澤 博之 落合 武徳 奥山 和明
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.1549-1553, 2000-08-01

長時間の砕石位によりcrush syndromeとなった1例を経験した.症例は66歳の男性, 1995年, 直腸癌に対し低位前方切除術施行, 1998年8月3日直腸癌骨盤内再発により腹会陰式直腸切断術を施行.手術開始より砕石位とし, 会陰部操作の際下肢の屈曲を強化, その1時間後より血庄低下, 脈拍上昇をきたした.手術時間は14時間33分(出血量4,390g).手術終了より数時間後に下肢の変色に気づき乏尿を認め血清Cre, K値は上昇し続けた為, 持続的血液濾過透析を開始, 第22病日に透析を離脱, 全身状態が改善した.腓骨神経麻痺が残り現在は杖歩行可能である.文献的検索では砕石位によるcompartment syndromeのうち筋膜切開施行29例中, 腎不全発症率は0〜20%と低率であるが, 神経麻痺は75%以上に認めた.砕石位手術の際は, crush syndromeを念頭にいれ, 砕石位は必要時のみに留め, 予防に努めることが重要であると思われた.
著者
間宮 俊太 阿部 恭久 笹川 真一 指山 浩志 立石 順久 落合 武徳
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.1385-1389, 2003-10-01
参考文献数
10
被引用文献数
8

症例は82歳の男性.全身倦怠感を主訴に2002年4月近医を受診.高度貧血を指摘され,5月23日当科紹介受診,同日精査目的で入院となった.上部消化管内視鏡検査にて胃体部に潰瘍を有する巨大粘膜下腫瘍を認め,腫瘍の生検結果はGIST,uncommitted typeであった.CTでは胃体部に巨大なtumorを,肝臓に巨大な転移性腫瘍,腹腔内に腹膜播種と思われるmassを広範囲に認め,手術不能と考え,在宅中心静脈栄養を行っていた.生検組織を再評価するとc-kit陽性であったため,2002年9月24日よりメシル酸イマチニブの投与を開始した(300mg/日).投与約4週後のCTでは主病巣,すべての転移巣にて著明な縮小を認め(縮小率90%),新たな病変の出現も認められずPRと判断した.副作用として同質性肺炎が出現し,いったん投与を中止したが,ステロイドパルス療法にて速やかに改善したため,ステロイドを併用しつつ投与を再開,現在も外来にて投与継続中である.